レオンライト叙事詩 〜異世界ガチで冒険した結果〜

加納ウノ

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第十七話 再会

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それから5日。レオンは山を下り、海洋都市ルブレアへと到着した。

本来ならば、1ヶ月かかるところを、約半分の15日で到達することができた。通常のルートは、ルグリッドがいた山を迂回するものだったが、山越えすることにより、約一週間ほどしかかからなかった。

「、、、すっげぇ。」

ルブレアはまさに巨大都市だった。
行き交う人々も、店も、商品の数も、尋常ではないほど多かった。

活気あふれる街並みは勿論。高台になっていることで、どこからでも見える青い海。少し暑いほどの太陽がギラギラと輝いている。観光名所としても、人気があるのだろう。

何を比べても、王都と同格。またはそれ以上だ。貿易で発展した都市なので、商品はもちろん。種族さえも、多種多様な者たちが行き交っていた。

「そこの人!」

「?、俺か?」

露店の横を通ったその時、店の店主らしき人に声をかけられた。

「そう、あんたさ!新鮮な魚はいらんかい?今朝採れたてだ!今は脂も乗っててうんめぇぞ!」

「おぉ、、、」

確かに。見てみると、かなり上等な魚がたくさん置いてある。これなら刺身でもいけそうだ。元の世界だといくらぐらいなのだろう?

「なぁお前さん!」

そんなことを考えていると、隣の露店からも呼ばれた。

「ウチには塩があるよ!塩!混じりっ気なしのあら塩だ!どうだい一つ?安くしとくよ!」

塩の露店だ。真っ白な塩が山積みになっている。
しかし、元の世界じゃ昔の塩は高級品だったはず。この世界には魔術があるが、そこらへんの金銭的価値はどうなのだろう?

「おーい!旅のお方!ナッツはいらんかい?ナッツ!」

「旦那!果物はどうだい?みかんだよ!」

「海鮮ならうちも負けてねぇぞ!」

「ルブレア名物、魚介の串焼きいらんかい?」

あっちからも、こっちからも、声が飛び交って来る。色々な店があるが、寄るのはまた今度にしようーーー

ーーーーーー

ーーー「さてと、まずはギルドに寄りたいんだが、、、」

こう人が多いと、歩くのさえままならない。

空を見ると、空を飛んでいる種族がいた。あんな風に移動できたら楽なんだろうな。

「うお!、、、」

なんてことを考えていると、人混みに流されて大通りに出た。何とか顔を出して周りを見ると、ギルドの看板があった。

「く、く、、、」

人混みを掻き分けて、出ようとするが、あまりの多さにまた、流され始めてしまった。

このままじゃ埒が開かない。
しょうがないから、思いっきり飛び込んで道を開けようとした。

しかし、人混みは一瞬途切れ、俺は、勢いそのまま人にぶつかってしまった。

ドサ、、、

不思議だった。

何故って?痛くないからさ。そう。痛くないんだ。ぶつかった相手が、というか、ぶつかったところが、痛覚を感じるほど硬くなかった。



柔らかいまであった、、、



俺は悟った。この展開に、この体勢。この感触。

落ち着け。落ち着くんだ。ここで慌てては、更なる被害を生んでしまう。

まずは落ち着いて謝ろう。心を込めて、誠心誠意謝るんだ。相手の目を見て、しっかりと。

顔を上げて、相手を見る。

俺は蒼白した。

相手の顔に驚いてしまった。そのせいで、俺は謝るタイミングを完全に逃してしまったのだ。

何とか謝ろうとはした。

「、、、ごm」

「イィィィィィィィィィィィィィィィヤァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!!!」

叫び声と共に、俺の左頬には鋭い痛みが走り、言葉を途切れさせられた。

目の前にいたのは、見覚えのある女性。

俺の探していた人。


ーーー相手はレイナだったーーー


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ーーー「、、、、、、ハッ。」

目が覚めた。どうやら気絶していた様だ。気がつくと、ギルドの長椅子に横たわっていた。

「ウゥ、、、」

ゆっくりと起き上がって、周りを見渡す。

「お、おはよう、、、」

後ろから、小さな声が聞こえた。

振り返るとそこには、緑色のマントを被った美少女がいた。レイナだ。

「あ、え~っとその、、、ごめんなさい、、、」

謝った。誠心誠意。

「いや、その、、、こ、こちらこそ、、、ごめんなさい、、、」

((き、気まずい、、、))

二人は同じことを思っていた。

この時、二人を覆う空気は、果たしてどれだけの重さだったのだろう。馬何頭分?いや、象何頭分?あのやらかしの代償は、気まずさという精神的負荷によって支払われた。

そして、二人は同時に話し出す。

「「あ、、、」」

重力が増した。

「ど、、、どうぞ。」

俺は話を譲った。いや、それしかできなかった。

「じゃ、、、じゃあ」

レイナは話し始めた。

「ギルドに来たってことは、冒険者になったのね?」

レイナがそう聞いてきた。

「あぁ、ここまで来るのに色々あったんだ。本当。」

「そうね、、、」

レイナは俺の服装を見ていた。正直、かなり痛みが目立ってきていると思う。

「本当に色々あったらしいわね。」

レイナは納得した様に答えた。

「それで?冒険者になった感想は?」

レイナがニヤリと笑い、イタズラっぽく聞いてきた。

「そりゃあ、もう毎日がスリルとワクワクに満ち溢れていますよ。」

まぁ、実際野宿が多かったから?スリルはかなりあったけども、、、

「フフッ。そう、よかった。」

笑った。気づけば俺は、その美しさに目を奪われていた。

天使ですか?

「話したいこともいっぱいあるんだ。でも、俺はまだまだ手探りで、ここに来るのもやっとだった。」

そう、俺はこの世界についてまだまだ無知だ。

「だからさ、その、、、また教えてくれないか?魔術やこの世界のこと。」

国王にしょっ引かれたこと。王都に巣食っていた盗賊団のこと。パルパ村でのこと。ルグリッドのこと。、、、
話したいことは山ほどある。
だけど今は、会えたことをしっかりと感じたい。

俺がそう聞くと、レイナはにっこりと笑いながら答えた。

「もちろん。宜しくね、レオン。」

、、、可愛すぎて悶えそうな心情を抑え付け、その問いかけに答える。

コクッ、、、

頷くことしかできませんでした。

「それにしても、ずいぶん早かったわね?てっきり私はあと一週間はかかると見積もっていたのだけど。」

そうしていると、レイナが問いかけてきた。

「山を突っ切ったんだ。おかげで半分の日数でたどり着けたよ。」

「あら、ずいぶんと無茶をしてきたのね?あそこは魔物の群生地だったから。」

「?、魔物?一匹もでなかったが、、、」

「?、そんな筈はないわ。あそこは並みの冒険者でも、急ぎの時しか通らない様な場所だもの。」

「?」

どうなってんだ?魔物なんて一匹も出なかった。これは事実だ。しかし、レイナの話では、あそこは魔物の群生地であるという。いったい、、、

、、、考えられるのはただひとつ。

ルグリッドの仕業だ。
恐らくルグリッドがいることにより、魔物はあの山を避ける様になったということ。

なんという皮肉。
人間を嫌って、関わりたくもない彼が、自分から人間の踏み込みやすい状態にしてしまうとは。

やっぱりあいつ、、、かなり抜けてる。

「多分今はもっと危険だ。行かないほうがいい。」

一応忠告しておいた。

「?、なぜ?」

「なぜでもです。」

流石に友達を売る様な真似はできませんからな。

「、、、まぁいいわ。それで?私に会いにきた理由はそれだけ?」

そうだった!忘れてはいけない。大事な用があった。

「それだけ、、、じゃない。実はレイナに聞きたいことがあったんだ。」

「?、何かしら?」

不思議そうに俺を見つめてくるレイナに、俺は答えた。

「魚人族について知らないか?」

「魚人族?」

「住処でも、名前でも、なんでもいい。とにかく何か情報があったら教えて欲しいんだ。」

人魚族の話をしても、恐らく知っている確率は低いだろう。ルグリッド曰く、とても珍しい種族らしい。
ならば、魚人族のことを聞いた方がいい。

とはいえ、質問してみたものの、正直望み薄だ。

というのも、街を歩いていて思った。
魚人族らしき人がいないのだ。もちろんよく見えなかっただけかもしれない。街全てを見たわけでもない。

だが、海洋都市で、これだけ見つからないとすると、かなり希望が薄れてしまう。

レイナは考えていたが、すぐに俺を見て言った。

「、、、住処はわからないけど、名前なら知っているわ。」

「‼︎、そりゃ本当か⁉︎」

「なんなら合わせてあげられる。」

マジか!なんという収穫!これはかなり期待できそうだ。

「彼女の名前はルルナ」

そしてレイナはこう言った。

「私たちと同じ、冒険者よ。」ーーー


















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