レオンライト叙事詩 〜異世界ガチで冒険した結果〜

加納ウノ

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第十六話 頼み事

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ーーードラゴンの友達ができた。ーーー

大きな爪を握り、小刻みに振った。その事実を互いに確認する様に。
握手とは程遠い様なその光景は、深く、二人の心に残ったであろう。

"さて、レオンよ。これから主はどうするのだ?"

ルグリッドが聞いてきた。

「もう山を降りるよ。俺はある冒険者に会いにきたんだ。」

"そうか。道中気をつけてな。ちなみに、どこへ向かっているのだ?"

「?、クローゲン地方だけど、それがどうした?」

"フム、、、"

俺がそう答えると、ルグリッドは手を顎に付け、考える様な仕草をした。

"、、、ならばレオンよ。一つ頼みを聞いてはくれんか?"

頼み?一体なんだろうか?
そう思っているとルグリッドは、真剣な面持ちで話し始めた。

"クローゲン地方と言ったな。そこで、ある者に我の言葉を伝えて欲しいのだ。"

「ある者?」

"あぁ、そいつは人魚族で、名をトルーバという。"

人魚!そんなのもいるのか~。

「、、、わかった。伝えておこう。」

そう答えると、ルグリッドは不思議そうに俺に問いかけた。

"なんだお主、あまり驚かぬのだな。人魚族はあまり見かけぬ種族のはずだが、、、"

「まぁ、多少は驚いたけど、あんた見た後じゃだいぶ耐性がついたと言うか、、、」

今まで驚かされっぱなしだったからな。想像力は大事なステータスだ。

「?、でもよ、あまり見かけねぇってことは、見つけるのもだいぶ大変なんじゃないか?俺、そこ初見だし。」

"奴がいるのは、陸地ではない。"

陸地じゃない、、、まぁ人魚なら自然なのか?

しかし、ルグリッドが放った言葉に俺は、衝撃を隠せなかった。

ーーー"奴が居るのは「海底」だ、、、"ーーー

「、、、、、、へ?」

あまりのことに一瞬思考が停止した。
どうやって行くのか。どうしてそんなところにいるのか。そんなことが起因ではなかった。

人魚族なら海にいるだろう事は理解できた。しかし、想像のエリアはもっと上。もっと海面に近いところだと思っていた。しかし、ルグリッドが言った場所は、生身の人間では到底辿り着くことのできない未知の世界だった。

元の世界でも、深海というのは謎が多い場所だった。
それ故に、無意識に想像の選択肢から外れていたのだ。

だが、再びルグリッドが発した言葉は、さらに俺の想像の上を行き、俺の感情を困惑から歓喜へと変えた。

"正しくは「海底都市カルセイン」だ。"

⁉︎⁉︎⁉︎

「、、、か、か、海底都市!、、、海底都市っつったか今‼︎」

"?、おう。"

「ウォォォキタァァァ~‼︎」

思わず声をあげてしまった。それほど、異世界に憧れを抱いていた俺には、海底都市という単語はあまりにも刺激が強過ぎたのだ。

"よくわからないが、喜んでいるのならよかった。トルーバは人魚族の長をしている。すぐに見つかるであろう。"

「それって、、、見つけても、お話しさせてもらえるんですかねぇ?、、、」

"我の名前を出せば問題あるまい。我と奴は腐れ縁でな、幾度か戦ったりもした。"

何この人、とりあえず突っかかる系?殴り合った後に河原でお互い認め合うの?めっちゃヤンキーじゃん。

てか、こいつと戦えるって何者よ、、、

「?、、、ってかさ、ルグリッドが言って伝えりゃあいいんじゃねぇのか?俺が言うより、あんたが言ったほうが確かなんじゃねぇの?」

一応そう聞いてみた。何か事情があるのだろうか?

"まぁ、そうできればいいのだが、、、。我は今、訳あってあそこに行けぬのだ。"

「、、、それは、何か結界みたいなもんか?、、、」

恐る恐る聞いてみた。もし何か理由があるのなら、俺もそこへ向かう限り、無関係というわけにもいかない。

するとルグリッドは、真剣な面持ちで答えた。

"、、、昔、少し暴れてな。それ以降、入ることを禁じられたのだ。"

「出禁くらってんじゃねぇかッ‼︎」

、、、聞いて損した。

「はぁ、、、。で?どうやって行けばいいんだ?泳いでいくのか?」

肝心の行き方がわからない。魔術かスキルを使うのだろう。このまま行こうったって、まず無理だ。普通に息が続かないし、続いたとしても水圧の問題がある。

"、、、わからん。"

なるほどな、わからないのか。

、、、

「、、、は?」

"だから、わからんと言っているのだ。"

、、、、、、本日2度目の思考停止。

「、、、ちょ、ちょっと待て、、、。行ったことあるんだよな?お前、、、」

"あぁ、勿論だ。何度もな。"

「じゃ、なんで分っかんねぇんだよ‼︎」

"我は龍ぞ?深海など行けて当然だ。故に、人間の様な弱い存在が深海を渡る術など知らん。"

「、、、はぁ⁉︎」

何が知らんだよ頼んだのテメェだろうがこのクソトカゲ‼︎胸張って言うことかよ、、、

「、、、頭痛くなってきた。」

"だが心配には及ばん。場所は魚人族に聞けばよい。"

「魚人族?人魚族とは違うのか?」

"魚人族は、陸に順応した種族なのだ。人魚とは違う。まぁ、見かけは人間の体に鱗をつけた様な感じだ。"

、、、ごめん想像できねぇわ。

「、、、まぁ、陸に居るんなら何とかなるか。」

"人魚族と魚人族は、今でも流行があるらしい。きっとカルセインへの行き方も知っているだろう。"

とりあえずは、街で魚人族を見つけて、話を聞くところからか。なんだか長い話になりそうだが、行ってみるか。

「OK!できるだけのことはやってみるよ。海底都市ってのも気になるしな!」

"そうか、引き受けてくれるか。すまんな。"

「ダチの頼みだ。無下には出来ないさ。」ーーー

ーーーーーー

ーーーそのあと俺は伝言を聞き、ルグリッドと別れた。

なだらかな山道を登り、3日。山頂に到達した。

ーーーそこから見える光景は、まさに絶景だったーーー

海だ。山を越え、その目に飛び込んできたのは、広大なブルーオーシャン。真っ青な海の水面にキラキラと反射する太陽の光。大小様々な船が行き来し、港に停泊している。

山裾には村々が広がり、その向こう側には大きな港街が見える。街は海岸線に沿って連なっており、白い屋根がずらりと続いていた。

「、、、着いた。」



ーーーここはグラン大陸東部最南端。クローゲン地方南部に位置する港町、「海洋都市ルブレア」。人口17万。漁港で栄えた海の街。陸と海を繋ぐ、巨大貿易都市である。ーーー

















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