国王の嫁って意外と面倒ですね。

2,幸せを探しましょう。

　レイのせいか、リヴィウスはその日からバッタリとレイの部屋には来なくなった。
　おかげで側妃たちは機嫌が良く、レイは絡まれることなく穏やかな日々を過ごしていた。

　そんなある日だ。
　急に王城が騒がしくなったが、その理由をレイは知ることはなかった。

　気になっていたレイに、唯一つけられた護衛のローレンが教えてくれた。

「今、王城に陛下の従弟君であるエルヴィス様がいらしているのです」

　陛下の従弟のエルヴィスといえば、自由奔放で好きな時に好きなところに旅に出る、変人で有名だ。

「そういえば、陛下との結婚前に一度だけお会いしたっけな…」

　遠目からだけれど、リヴィウスと似ているのにそれを感じさせない雰囲気が不思議だったのを覚えている。

「レイ様、最近陛下がいらしていませんが…」
「…それは…」
「…差し出がましいことを申しました、すみません」
「あ、ごめん。大丈夫、俺が言ったことだから」

　ついつい口を滑らす。

「え？」
「あっ」
「レイ様？」

　ローレンは昔からレイの相談に乗ってくれる。誰よりもレイの幸せを願ってくれる相手だ。

「…実は…」




「はぁ!?なにやってんだよ！」
「ろ、ローレン、落ち着いて…」
「今すぐ仕度して、陛下に謝罪に行くのです！」
「な、なんで…俺は悪くないのに……」
「アンタ幸せになりたいって言っただろ！なんのために今まであの性悪女共の嫌がらせも我慢してきたんだよ！」
「ローレン…」
「早く、」
「もう、いい」
「はぁ!?」
「ここにいても幸せにはなれないよ」
「…どういうことですか」
「俺、新しい幸せでも探そうと思って」

　その時が本当に久しぶりに、レイが心の底から笑った日だった。