12 / 41
じゅーにー
しおりを挟む昔のことを思い出す。
人に興味がなく、王位にも興味がなく。何にも興味が持てなかった俺の、初恋。
「リゼ」
俺の、学友であり、初めての恋人。
同性愛が許されないこの国で、俺たちは確かに好き合ったはずだ。愛し合ったとは言えない。愛しているという言葉をもらったことはないからだ。
ユリスは俺をからかうのが好きで、虐めるのも好きだった。
どうして俺にだけ冷たくするのか聞いたら、
「好きな子は虐めたいって言うだろ?」
と簡単に言って退けられた。
恥ずかしくて俯いて、少し顔を上げると、耳だけ真っ赤になったユリスが俺から顔を背けた。本心なのだと浮かれていたあの頃の自分がバカみたいだ。
俺は所詮、王子だった。
「…住む世界が違う。男同士で、俺は血迷っていたんだ」
その言葉はゆっくりと、じわじわと、俺の心に突き刺さった。痛くて堪らなくて、何度も声を上げて泣いた。
憎んでしまおうとしたけれど、姿を見るたびに好きだと思ってしまう。そんな自分が嫌で嫌で仕方ないのに、それでもいいと思ってしまう自分がいて。
少しでも彼の目に映りたかった。だから、王の座に就いてやると決めた。
血を吐くような努力をして、認められて、嬉しさに倒れたくらいだ。
そして即位式も終わり、ようやく落ち着いた頃。
俺は未だ溢れていた気持ちを、もう一度伝えたのだ。
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
運命じゃない人
万里
BL
旭は、7年間連れ添った相手から突然別れを告げられる。「運命の番に出会ったんだ」と語る彼の言葉は、旭の心を深く傷つけた。積み重ねた日々も未来の約束も、その一言で崩れ去り、番を解消される。残された部屋には彼の痕跡はなく、孤独と喪失感だけが残った。
理解しようと努めるも、涙は止まらず、食事も眠りもままならない。やがて「番に捨てられたΩは死ぬ」という言葉が頭を支配し、旭は絶望の中で自らの手首を切る。意識が遠のき、次に目覚めたのは病院のベッドの上だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる