国王ほど不自由なモノはない

榎本 ぬこ

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よんじゅーいち

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 それに気が付いたのは、そろそろ通常の責務に戻らなければとリオンの言葉を無視して立ち上がろうとした時だった。
「え……?」
 ベッドから足を下ろして、首を傾げる。足が地面についている感覚が全くといって良いほど無かった。
「……嘘だろ……?」
 まさか。有り得ない、と自分の足に拳を振り落とすが、痛みは感じない。つねっても叩いても同じことで、いい加減焦りしか無くなる。
「っ…立てよ…ふざけんな、こんなのっ」
 無理に立ち上がろうとするけれど、腰が浮くことはない。どうにかベッドの柱に身体を凭れさせるけれどそれだけでも一苦労、しかもそこから動くことはままならない状態となってしまった。
「ーーリゼ?何してるんだ?」
 定例の時刻に来たリオンは、床に座り込むリゼを見て変な顔をした。
「リ、オン…」
「…リゼ…!?」



 下半身麻痺状態。恐らく毒が上半身よりも先に下半身に回っており、解毒剤を飲んだものの後遺症が残るであろうということ。
「…ふざけんな」
 治る見込みは殆ど無く、そもそも劇薬のアモネ草はとても高価で早々使われることもないため、治療法が分からないのだという。
 解毒剤すらも飲ませて良いのか分からない方法だったらしい。
「リゼ…」
「…アイツ、次に会ったら俺の手でブッ殺す」
 暗にさっさと見つけ出して引きずって来いという意味なのだが、リオンは眉を下げた。
「すまない。俺がもっと……どうしてこんなに気が抜けて居たのか…」
「もういいって言っているだろう、気が抜けていたのは俺も同じだ」
 というより、気が回らなかったというか。まるでこの忙しい時期を見計らったかのようなタイミングだ。
 さて、どう調理してやろうか。馬鹿な奴らだ、先代の時にどうして身元が割れたのか覚えていないのか。
「…アモネ草を取引した店を徹底的に調べろ。希少なものだ、どうせすぐに出てくる」
「っ…分かりました…」
 ーーさてはて、この足はどうしたものやら。
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