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あたたかな涙
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日が暮れ薄暗くなって来た部屋の入り口でメガネの奥にあるソフィの目が大きく見開かれたまま固まっている。
「ッ、チィ」
グイ!!
「ッ、」
レインは咄嗟にソフィの腕を掴み、部屋の中に引きずり込んだ。
ソフィはルヴァンヌ侯爵家に長年仕えるメイド長。産まれた頃から世話になっているこの人に下手な誤魔化しは通じない。
右手でソフィの口を塞ぎ、左手でソフィの両手を封じる。
細く骨張ったソフィの両手は驚くほどにレインの左手に収まった。
「お願い、動かないで、声を上げないで、大人しくして」
私は至近距離で婆やの目を見て言う。
「下手な抵抗をされて傷付けたくはない。だから、抵抗はしないで。混乱するのは当然の事だ。だけど、どうか落ち着いて、私の話を、」
レインは思わず、言葉を止めた。
いつも優しい鳶色のソフィの目から涙が止めどなく溢れていた。
でも、その表情からは、怯えも恐怖も感じられない。
いつも、私に向けてくれていた優しい目をしていた。
「え?す、すまない、そんなに強く掴んでしまった?」
レインはそっとソフィの口と手を塞いでいた右手と左手を離すと、ソフィは涙を流しながら、慈しむように両手でレインの頬を優しく包み、レインの顔を覗き込む。
「ああ、私は夢を見ているのかしら?それとも、幻?お化けさん?神様が私の想いを聞き届けてくれたのかしら?ああ、もう一度、お嬢様にお会いする事が出来るなんて」
「え?」
よく見ると、ソフィの顔色が酷く悪く、目の下に隈が出来ていた。
「あの時、私達が旦那様達の計画を止める事が出来たら、お嬢様をあの人達からお逃がしすることが出来たら、小さな変化でもお知らせする事が出来たら、」
そう言ったソフィの顔が堰を切ったように哀しみに歪んでいく。
「ッ、ううう、申し訳ありません。申し訳ありません!!」
頬を包み込んでいた手が肩に落ち、縋るように、懺悔する様に、ソフィはレインを抱きしめた。
「何故、お嬢様が、女の身であるお嬢様が戦場に行かされるだけでも、お辛い事なのに、何故、お嬢様がこの様な目に遭わなければいけないのでしょか!?今まで我儘の一つも言わずに、努力を惜しまず頑張ってきて、魔王軍の討伐の成功もお嬢様がなされな事なのに、全部、ジルベール様の手柄になってしまうなんて。挙げ句の果てに、身代わりのお嬢様を亡き者にするだなんて、ううううう・・・・・、あんなに優しくて思いやりのあるお嬢様は、もう、もう!!うううう!!!」
溢れ出す思いがそのままソフィ口から声になっていくのが分かった。
彼女は、どんな時でも、冷静で、優しいて、でもとても厳しい人で、母親の愛情をもらえなかった私をいつも守ってくれた。
そんな人が、ここまで涙を流し取り乱す姿を初めて見た。
私の事でこんなにも心を痛めてくれたんだ。
婆やの涙を見て胸が苦しくなり、抱き締められている婆やの温かさに心が熱くなった。
「婆や」
「え?」
「婆や、私、生きてる」
「は?」
「生きているよ、婆や」
私は出来るだけ、優しい口調でソフィに声をかける。
ソフィは、私の言葉に顔を上げ、キョトンとした顔をする。
「へ?あなた、お化けさん、じゃないの?」
「婆やはお化けに触れられて会話が出来る類の人種だったのか?初耳だけど?」
「お、お嬢様?」
「うん」
「本当に?本物?」
「うん、私はレインだよ。婆や」
ソフィの目元に溜まっている涙を指で拭う。
「ただいま、婆や」
私は笑顔でソフィを抱き締め返した。
すると、
「お、お、お、お、」
「え?」
ドアの方向から声が聞こえ、振り向くと、若いメイド、ミアがこちらを見て目を見開いて震えていた。
「ミ、ミア・・・・」
「お、お、レ、レ・・・・・レインお嬢様のお化けが出たぁぁぁぁ!!!!!」
「ッ、!?!?」
「へ?ミア?」
目の前の光景に混乱しているのか、いきなりミアが大声量の叫びを上げた。
そして、
「ふにゃあ~」
フラ、バタン!!
そのまま目を回し後ろに倒れてしまった。
「ミ、ミア!!!」
「あら、あら」
レインは慌てて倒れたミアに駆け寄り、そんなレインと倒れているミアを見てソフィは小さく笑った。
「ッ、チィ」
グイ!!
「ッ、」
レインは咄嗟にソフィの腕を掴み、部屋の中に引きずり込んだ。
ソフィはルヴァンヌ侯爵家に長年仕えるメイド長。産まれた頃から世話になっているこの人に下手な誤魔化しは通じない。
右手でソフィの口を塞ぎ、左手でソフィの両手を封じる。
細く骨張ったソフィの両手は驚くほどにレインの左手に収まった。
「お願い、動かないで、声を上げないで、大人しくして」
私は至近距離で婆やの目を見て言う。
「下手な抵抗をされて傷付けたくはない。だから、抵抗はしないで。混乱するのは当然の事だ。だけど、どうか落ち着いて、私の話を、」
レインは思わず、言葉を止めた。
いつも優しい鳶色のソフィの目から涙が止めどなく溢れていた。
でも、その表情からは、怯えも恐怖も感じられない。
いつも、私に向けてくれていた優しい目をしていた。
「え?す、すまない、そんなに強く掴んでしまった?」
レインはそっとソフィの口と手を塞いでいた右手と左手を離すと、ソフィは涙を流しながら、慈しむように両手でレインの頬を優しく包み、レインの顔を覗き込む。
「ああ、私は夢を見ているのかしら?それとも、幻?お化けさん?神様が私の想いを聞き届けてくれたのかしら?ああ、もう一度、お嬢様にお会いする事が出来るなんて」
「え?」
よく見ると、ソフィの顔色が酷く悪く、目の下に隈が出来ていた。
「あの時、私達が旦那様達の計画を止める事が出来たら、お嬢様をあの人達からお逃がしすることが出来たら、小さな変化でもお知らせする事が出来たら、」
そう言ったソフィの顔が堰を切ったように哀しみに歪んでいく。
「ッ、ううう、申し訳ありません。申し訳ありません!!」
頬を包み込んでいた手が肩に落ち、縋るように、懺悔する様に、ソフィはレインを抱きしめた。
「何故、お嬢様が、女の身であるお嬢様が戦場に行かされるだけでも、お辛い事なのに、何故、お嬢様がこの様な目に遭わなければいけないのでしょか!?今まで我儘の一つも言わずに、努力を惜しまず頑張ってきて、魔王軍の討伐の成功もお嬢様がなされな事なのに、全部、ジルベール様の手柄になってしまうなんて。挙げ句の果てに、身代わりのお嬢様を亡き者にするだなんて、ううううう・・・・・、あんなに優しくて思いやりのあるお嬢様は、もう、もう!!うううう!!!」
溢れ出す思いがそのままソフィ口から声になっていくのが分かった。
彼女は、どんな時でも、冷静で、優しいて、でもとても厳しい人で、母親の愛情をもらえなかった私をいつも守ってくれた。
そんな人が、ここまで涙を流し取り乱す姿を初めて見た。
私の事でこんなにも心を痛めてくれたんだ。
婆やの涙を見て胸が苦しくなり、抱き締められている婆やの温かさに心が熱くなった。
「婆や」
「え?」
「婆や、私、生きてる」
「は?」
「生きているよ、婆や」
私は出来るだけ、優しい口調でソフィに声をかける。
ソフィは、私の言葉に顔を上げ、キョトンとした顔をする。
「へ?あなた、お化けさん、じゃないの?」
「婆やはお化けに触れられて会話が出来る類の人種だったのか?初耳だけど?」
「お、お嬢様?」
「うん」
「本当に?本物?」
「うん、私はレインだよ。婆や」
ソフィの目元に溜まっている涙を指で拭う。
「ただいま、婆や」
私は笑顔でソフィを抱き締め返した。
すると、
「お、お、お、お、」
「え?」
ドアの方向から声が聞こえ、振り向くと、若いメイド、ミアがこちらを見て目を見開いて震えていた。
「ミ、ミア・・・・」
「お、お、レ、レ・・・・・レインお嬢様のお化けが出たぁぁぁぁ!!!!!」
「ッ、!?!?」
「へ?ミア?」
目の前の光景に混乱しているのか、いきなりミアが大声量の叫びを上げた。
そして、
「ふにゃあ~」
フラ、バタン!!
そのまま目を回し後ろに倒れてしまった。
「ミ、ミア!!!」
「あら、あら」
レインは慌てて倒れたミアに駆け寄り、そんなレインと倒れているミアを見てソフィは小さく笑った。
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