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謝罪
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ヨハンの発言に、思わず固まってしまった。
「は?解雇?なんで!?皆ルヴァンヌ侯爵家に長く仕えてくれた人達なのに、若いミアやジュリアやレヴィ、カイル達なら、まだ分からなくは無いけど、代々、我が家に仕えていたヨハンや婆や達まで解雇だなんて」
「お嬢様、落ち着いてください」
「婆や、でも、」
「その事について今からご説明致します」
「・・・・・・、分かった」
婆やに宥められ、気持ちを落ち着かせるためにカップの中の冷めたミルクティーを飲み干す。
「・・・・・聞かせて、何があったの?」
レインは険しい顔色をする使用人達を見渡し言った。
話してくれたには、やはり、ヨハンだった。
「数日前、魔王軍の討伐成功の知らせが国全土に報じられました。そしてアリニア王国国王が第三王女ジョセフィーヌ王女様と魔王軍討伐を成功させた、ジルベール様との婚姻を宣言したのです」
「アリニア王族との婚姻、それって、」
「はい、ジルベール様が王族へ婿入りし、ルヴァンヌ侯爵家は王族の一員に招かれます」
「あの人達が泣いて喜んで飛び付きそうな話ね」
「ええ、実際、この知らせを国王陛下の使者様から聞いた時の旦那様と奥様は涙を流し狂喜乱舞のご様子でした」
レインの脳裏に両親が有頂天になり狂喜乱舞するその光景がありあり思い浮かぶ。
「そして、ジルベール様の婚姻を機に国王陛下の御好意で王宮より新しい使用人がルヴァンヌ侯爵家へ派遣される事になりまして・・・・・・、旦那様は、国王陛下の使者様が帰られた後すぐに、屋敷にいた使用人へ全員解雇を言い渡された。そして、ここにいる者を除き皆、故郷へ帰されました」
「え?なんで?」
「最後にこの屋敷の掃除をして出ていけと言われまして」
気まずそうに目を伏せるヨハンに、
「私の両親がごめんなさい」
「お、お嬢様!!」
「頭を上げてください!!」
「いや、もう、本当に申し訳ない。まさか、こんな事になっているだなんて。本当にすみませんでした」
レインは深く頭を下げ、ヨハンをはじめ、応接間にいる使用人達に謝罪した。
私のいきなりの謝罪に皆目を見開き、慌てミアとジュリアが駆け寄り宥めてくれたけど、私の気持ちは申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
今回の討伐の報酬は国から何かしらの褒美が出ると思っていたが、まさか、王族との婚姻が報酬とは。
王宮出の使用人が派遣されると言う事は、国王の信頼を得たという意味で貴族としての箔がつく。
王宮出の使用人は優秀で容姿端麗な教養が完璧な者が多いと聞く。連れて歩くだけでも、人々に羨まれると言われている。
それに加えて、ジルベールと王女の婚姻。
世間から見ればそれは、勇者の血筋と王族との結婚。
何かにつけて先祖が成し遂げた勇者の威光を周りに自慢をしたがる両親にとってこれ以上にない褒美だ。
つまり、あまりの朗報にあの人達が浮かれまくって、ついでに自分達にとって不要だと思ったモノを排除。
という考えに至ったんだろう。
それが、長年支えてくれて来た使用人達や実の娘も例外なくに、だ。
前々から関心の無い人物には無関心だと思ってたけど、
「・・・・・あああああ、本当に、もおぉぉ!!!」
レインは俯きながら頭を抱え、呻くように声を上げる。
レインの突然の叫びにみんなが驚いた顔をするが、それを気にする余裕が無かった。
「お、お嬢様」
「・・・・・・・うん、大丈夫」
ミアが声をかけてくれたけど、なんとかそう言い返すのがやっとだった。
私、なんで、あの人達に執着していたんだろう?
記憶を辿っても、あの人達はいつもジルベールと自分達優先で私の事は二の次三の次。
顔を合わせて話すのも一年に数回だった。目を合わせて話すのは何年振りだっただろう?
どんなに頑張っても、認めてもらおうとしても真面に見てくれた事なんて、一度も無かったのに。
それでも、私は、親の、あの人達の愛情を求めていた。
いつか、認めてもらえる。
そう、自分に言い聞かせて来た。
だけど、もう、なんだか、冷めた。
多分、倒れた私を見下す笑顔の両親と弟の顔を見たあの時に、両親への愛情の執着も、期待に応えなければと言う熱意も、完全に冷めてしまっていた。
怒りとか、悲しみとか、辛さとか、悔しさとか色んな感情を通り越して、最早、『無』になっていた。
だけど、ここにいる使用人達は違う。
両親や弟の目があった為、表立って私に構う事はできなかったが、皆、優しくて、こっそり私の話を聞いてくれたり、傷ついて時、傍にいてくれた。
本当はこっそり家を出て誰にも別れを言わずに去るつもりだったけど、事情が変わった。
レインは伏せていた顔を上げ、不安げな顔をする使用人達を見渡す。
「お嬢様」
「ヨハン、話してくれてありがとう」
私はそう言い、座っていたソファから立ち上がり、姿勢を正し、皆に向かって深く頭を下げた。
「、お嬢様」
「みんな、改めて、謝罪させてほしい。
今の私はルヴァンヌ侯爵家にとって既に亡き存在。本当なら私は、もうお嬢様と呼ばれる人間では無い。
だけど、元両親が皆に迷惑をかけた事は変える事の無い事実。
そして、私はここに居るみんなに助けられた。
小さい頃から何度も。両親に相手されず泣いてしまった時も、剣や魔法の修行中に失敗して怒られた時も、ここに居る誰かが必ず、傍にいてくれた。
助けてくれた。本当に感謝してます。
そんなみんなが、あの人達の理不尽な理由で、職を失った。
もう、私は、この家の人間では無いけど、せめて、元この侯爵家の人間として、謝らせて下さい。
本当に、申し訳ありませんでした」
私は、頭を上げず、皆に謝罪の言葉で精一杯謝罪する。
レインの言葉に応接間の空気がシンと静まった。
「は?解雇?なんで!?皆ルヴァンヌ侯爵家に長く仕えてくれた人達なのに、若いミアやジュリアやレヴィ、カイル達なら、まだ分からなくは無いけど、代々、我が家に仕えていたヨハンや婆や達まで解雇だなんて」
「お嬢様、落ち着いてください」
「婆や、でも、」
「その事について今からご説明致します」
「・・・・・・、分かった」
婆やに宥められ、気持ちを落ち着かせるためにカップの中の冷めたミルクティーを飲み干す。
「・・・・・聞かせて、何があったの?」
レインは険しい顔色をする使用人達を見渡し言った。
話してくれたには、やはり、ヨハンだった。
「数日前、魔王軍の討伐成功の知らせが国全土に報じられました。そしてアリニア王国国王が第三王女ジョセフィーヌ王女様と魔王軍討伐を成功させた、ジルベール様との婚姻を宣言したのです」
「アリニア王族との婚姻、それって、」
「はい、ジルベール様が王族へ婿入りし、ルヴァンヌ侯爵家は王族の一員に招かれます」
「あの人達が泣いて喜んで飛び付きそうな話ね」
「ええ、実際、この知らせを国王陛下の使者様から聞いた時の旦那様と奥様は涙を流し狂喜乱舞のご様子でした」
レインの脳裏に両親が有頂天になり狂喜乱舞するその光景がありあり思い浮かぶ。
「そして、ジルベール様の婚姻を機に国王陛下の御好意で王宮より新しい使用人がルヴァンヌ侯爵家へ派遣される事になりまして・・・・・・、旦那様は、国王陛下の使者様が帰られた後すぐに、屋敷にいた使用人へ全員解雇を言い渡された。そして、ここにいる者を除き皆、故郷へ帰されました」
「え?なんで?」
「最後にこの屋敷の掃除をして出ていけと言われまして」
気まずそうに目を伏せるヨハンに、
「私の両親がごめんなさい」
「お、お嬢様!!」
「頭を上げてください!!」
「いや、もう、本当に申し訳ない。まさか、こんな事になっているだなんて。本当にすみませんでした」
レインは深く頭を下げ、ヨハンをはじめ、応接間にいる使用人達に謝罪した。
私のいきなりの謝罪に皆目を見開き、慌てミアとジュリアが駆け寄り宥めてくれたけど、私の気持ちは申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
今回の討伐の報酬は国から何かしらの褒美が出ると思っていたが、まさか、王族との婚姻が報酬とは。
王宮出の使用人が派遣されると言う事は、国王の信頼を得たという意味で貴族としての箔がつく。
王宮出の使用人は優秀で容姿端麗な教養が完璧な者が多いと聞く。連れて歩くだけでも、人々に羨まれると言われている。
それに加えて、ジルベールと王女の婚姻。
世間から見ればそれは、勇者の血筋と王族との結婚。
何かにつけて先祖が成し遂げた勇者の威光を周りに自慢をしたがる両親にとってこれ以上にない褒美だ。
つまり、あまりの朗報にあの人達が浮かれまくって、ついでに自分達にとって不要だと思ったモノを排除。
という考えに至ったんだろう。
それが、長年支えてくれて来た使用人達や実の娘も例外なくに、だ。
前々から関心の無い人物には無関心だと思ってたけど、
「・・・・・あああああ、本当に、もおぉぉ!!!」
レインは俯きながら頭を抱え、呻くように声を上げる。
レインの突然の叫びにみんなが驚いた顔をするが、それを気にする余裕が無かった。
「お、お嬢様」
「・・・・・・・うん、大丈夫」
ミアが声をかけてくれたけど、なんとかそう言い返すのがやっとだった。
私、なんで、あの人達に執着していたんだろう?
記憶を辿っても、あの人達はいつもジルベールと自分達優先で私の事は二の次三の次。
顔を合わせて話すのも一年に数回だった。目を合わせて話すのは何年振りだっただろう?
どんなに頑張っても、認めてもらおうとしても真面に見てくれた事なんて、一度も無かったのに。
それでも、私は、親の、あの人達の愛情を求めていた。
いつか、認めてもらえる。
そう、自分に言い聞かせて来た。
だけど、もう、なんだか、冷めた。
多分、倒れた私を見下す笑顔の両親と弟の顔を見たあの時に、両親への愛情の執着も、期待に応えなければと言う熱意も、完全に冷めてしまっていた。
怒りとか、悲しみとか、辛さとか、悔しさとか色んな感情を通り越して、最早、『無』になっていた。
だけど、ここにいる使用人達は違う。
両親や弟の目があった為、表立って私に構う事はできなかったが、皆、優しくて、こっそり私の話を聞いてくれたり、傷ついて時、傍にいてくれた。
本当はこっそり家を出て誰にも別れを言わずに去るつもりだったけど、事情が変わった。
レインは伏せていた顔を上げ、不安げな顔をする使用人達を見渡す。
「お嬢様」
「ヨハン、話してくれてありがとう」
私はそう言い、座っていたソファから立ち上がり、姿勢を正し、皆に向かって深く頭を下げた。
「、お嬢様」
「みんな、改めて、謝罪させてほしい。
今の私はルヴァンヌ侯爵家にとって既に亡き存在。本当なら私は、もうお嬢様と呼ばれる人間では無い。
だけど、元両親が皆に迷惑をかけた事は変える事の無い事実。
そして、私はここに居るみんなに助けられた。
小さい頃から何度も。両親に相手されず泣いてしまった時も、剣や魔法の修行中に失敗して怒られた時も、ここに居る誰かが必ず、傍にいてくれた。
助けてくれた。本当に感謝してます。
そんなみんなが、あの人達の理不尽な理由で、職を失った。
もう、私は、この家の人間では無いけど、せめて、元この侯爵家の人間として、謝らせて下さい。
本当に、申し訳ありませんでした」
私は、頭を上げず、皆に謝罪の言葉で精一杯謝罪する。
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