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最終章 剣聖と5人の超人
剣聖と5人の超人(5)
しおりを挟む――― ヘルドゥーソ vs オレスト、アデリナ、ヘンリック、クラウス、リンリン ―――
『三千闇』は消えたものの、程なく復活するヘルドゥーソ。
「フッフッフ。その他大勢共が意外に頑張る。ではそろそろ黙らせてやるとするか」
そう言うと手のひらに小さな石を作り出す。周囲の瓦礫からの物質転移と再構築だ。宙に放り投げてなにやらブツブツと唱え出す。
すると先程の三千闇のように宙に形成される巨大な黒い岩! いや、それはもはや隕石!!
「この大地の一部になるがいい!『滅亡の日』!!」
ヒューヒュー
ヒューヒューヒューヒュー
ドン! ドォン!! ドォォォン!!
ドォォォン! ドドドドドォォォンッッ!!
直径1メートルほどの小さなものから、10メートルを越すような巨大なものまで大小入り乱れた隕石の雨!!
しかもそれぞれに闇属性の魔力が付与されており、さらなるダメージを与える!!
ドォォォォォォォォォォォンッッ!
バリィィィンッッ!!
そして遂に弾け飛ぶ絶対魔法防御!
皆、それぞれ岩を裂き、突き崩し、爆破させ……だが、その破片すら重力に従って彼らの頭上に降り注ぎダメージを与え、更には足場を悪くする。
程なく圧倒的物量の前にやられ始める。
吹き飛び、気を失うオレスト、ヘンリックそしてクラウス。
辛うじて身軽に逃れたアデリナ。だが、額からは血を流し、体中も傷だらけ、衣服も其処彼処が破れてしまう。
意図せず、ヘルドゥーソとの一騎打ちとなってしまったアデリナ。
「さあ、残るはお前1人。魔弓を持つとて、私に敵うものではない。さあ大人しく……」
ビィィィィィン……
矢をつがえず、ペルセウスの弦のみを弾くアデリナ。
「む……一体、何の真似……」
ドォォォォォォォン!!
「グゥオオオオオッッ!!」
いきなりヘルドゥーソの耳元で爆音!!
「着弾時の『威力』を操るには矢が必要、でもね……」
ビィィィィィンッッ!!
青ざめるヘルドゥーソ。
ドォォォォォォォォォォォォォォォン!!
「うあッッ!」
耳を塞いで地に膝をつく。
「『発射音』を操るのはペルセウス本体の能力なんだッ!!」
ビィィン! ビィィィィン!
ビィィィィィン!! ビィィィィィィィィィンッ!!
連続で弦を弾くアデリナ!
「な……な……やめろ! やめろ!!」
掌をアデリナに向け、無詠唱のビームを乱れ打ちするヘルドゥーソ。
だがまともに狙いもつけずに撃つ攻撃は身軽なアデリナには当たらない。
そしてヘルドゥーソの耳元で鳴る、大音量!
ガ―――ンッ!
パァ――――――ンッッ!!
ドォォォォォォォンッ!
ドガァァァァァンッ!
「ンンンンンムゥオオオオ!」
「耳元で発する『音』には、体力無限も魔力無限も関係ないッ!」
転げ回りながらもアデリナに反撃するヘルドゥーソ。
しかし!
グサっ!
「ンムゥォォォォ!!」
今度は無音で地面すれすれに撃ち放つヴォルドヴァルドの破魔の矢!!
音に気を取られているヘルドゥーソは気付かない。
弾道を曲げ、後頭部から口を抜け、突き刺さる!!
「ウォォォォッッ! 小娘ェェェッ! 闇の波動ッ!!」
(あれはッ! あれはヤバいッ!!)
両手を広げ、闇の波動を出すヘルドゥーソ。
「『神の御手』!!」
アデリナの眼前に現れる、透明な、そして彼女をすっぽり包めるほどの大きさの巨大な手。
闇の波動からアデリナを完全に守る。
「……リンちゃん!」
「遅くなってすまん!」
「来たか、リンリンよ……ハァハァ……お前を待っていたぞ」
肩で息をしながら、しかし何故か不敵な笑みを浮かべるヘルドゥーソ。
「ふん。この一撃で遥か彼方に吹っ飛ぶがよい! 《慈愛の女神》ツィよ、彼の地より舞い降り闇を吹き飛ばせ!」
白髪に薄い水色の衣を羽織った美しく、しかし目を釣り上げた怒りの女神の巨大な像が現れる!!
「な……なんだと……まさかッ!」
「そう、そのまさかじゃ! 闇のお主では逆さになっても敵う相手ではない!」
ヘルドゥーソの顔に明確な怯えの表情が浮かぶ!
そしてリンリンの全身に白銀のオーラが何重にも発生する。
「神召喚!『慈愛の一撃』!!!」
リンリンが詠唱を終えると女神ツィの巨像がヘルドゥーソに向けて腕を引き、殴る!!!
ドォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォンッ!!
「グワァァァァァ!!」
体が弾け飛びながら、後方に吹き飛ぶヘルドゥーソ!
そして消え去るツィの巨像。
「凄……い……あれがツィ様」
「ふふふ。無論、本物ではないが、力を借りたのじゃ」
「ふわぁ……でも、マッツが惚れるわけだ。綺麗過ぎ……」
バリバリバリバリバリバリバリバリッ!
ホッと気を抜いた瞬間のアデリナとリンリンに、突然降る稲妻!!
それを浴びて『神の御手』の効力がかき消える。
「バカな、一撃で消えるなんぞ! 誰じゃ!?」
空を仰ぐリンリン。
そこにいたのは……
「サ……サイエン! お前!!」
――― メフィスト vs リタ、ヴォルドヴァルド ―――
「どうせなら、かっこよくリタちゃんを助けたかったのう」
そう言うなり踵を返し、オリオンと戦うマッツに方向に飛んで行くサイエン。
兎にも角にも難を逃れたリタとヴォルドヴァルド。
「ハァァァァァァァァッッ!!」
リタが気合いを入れるとベテルギウスとリゲルからも力の応答がある。リタが扱える最大限の聖剣の力を解放!
ガッキィィィィンッ!!
双剣による同時攻撃で、魔剣の片われ、エルドラドを叩き折る!
「バカな! 聖剣如きに遅れを取るなど!」
返す刀で更に一閃!
バッシュウウウウウッ!
ガキンッッ!!
だが今度は残る魔剣、クリスティーナでそれを捌くメフィスト。リタの2本を流し、空いたリタの顔めがけてクリスティーナをふるう!
しかし、横からヴォルドヴァルドの魔槍バンデット!
ズシュゥゥゥッ!!
バキィィンッ!!
今度はクリスティーナをヴォルドヴァルドが破壊!!
「何だとォォォ!!」
折れた魔剣を見て驚愕するメフィスト!
そのメフィストに向かう、現世最強、2本の聖剣!!
「どぅりゃあぁぁぁぁぁ!!」
ズバッ! ズババッッ!!
「アゥギャァァァァッ!!」
「聖芒!『戦乙女』!!」
ドドドドドドドドドドドドッッ!
衝撃波を生み出す程の凄まじい突きの連続!!
そして更にその突きの数分のヴァルキリーを召喚、それぞれが槍の魔法攻撃を相手に与える。
ズザザザザザザザザザザザザッッッ!!
「グォォォォォォォ……」
断末魔をあげながら遂に消えゆくメフィスト!
「ふぅ……有難う、ヴォルドヴァルド。助かったわ」
「礼は早い。さて、ヘルドゥーソとサミジナ。どちらもやばそうだが、サイエンの動向が怪しい。今、サイエンまで加わったら手も足も出まい。ヘルドゥーソに行くぞ」
「そうね。でも、貴方、普通に話せるのね」
「何だとッッ!!」
「……」
――― vs サミジナ(死者オリオン vs マッツ) ―――
オリオンに飛びかかるマッツ!
時間差で放たれる上段からの打ち下ろしと、中段からの薙ぎ払い。打ち下ろしを読み、ステップで避け、薙ぎ払いをシュタークスで受け止めるマッツ。
そして、
「火竜剣技!『突!』」
オリオンの腹に命中、腹部に大きな穴が開き、更にその周囲を燃やしながら後方に吹っ飛ぶオリオン。
だが、更に追撃しようとしたマッツの頭上に不意に現れたサイエン。
「お前! やった……来てくれたか!!」
喜色を浮かべて叫ぶマッツに、
「うむうむ。確かに借りは返したからの」
飄々とした顔でそう言うと、クルクルと回りながら上昇、手に持つ酒ツボから雷雲を出し、雷をリンリンとアデリナに落とす!
「サイエン! お前!!」
響くリンリンの声。そしてマッツ。
「お前! まさか……ヘルドゥーソにも借りがあるとでも!?」
「ま、どうとでも思うが良い。わしは元々、ヘルドゥーソと組んでいたのじゃから」
「な、何だとお前!」
「じゃあの。リンリンは厄介じゃ。叩いてくるからの」
「おい、リタのキスはさっきので返せるくらい、安くはねえぞ!!」
マッツの声を後ろ姿で聞き、首をすくめるサイエン。
その間に胴体に穴が空いたままのオリオンが突進してくる!
「くそったれ、サイエンめ……」
ギリッとひとつ、歯ぎしりをする。
だが、目の前の敵を忘れるマッツではない。
「いい加減、くたばれ! いくら英雄だろうと意思のない操り人形に俺が負けるか!! 火竜剣技!」
黒いオリオンの周囲に現れる、数百のシュタークスのイメージ!!
「『円』!!」
ズドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドッッ!!
数十の剣を防いだ後、為す術なく串刺しになって燃え盛りながら消えていくオリオン!
「ふぅ……うッ! ディヴィヤ!!」
ロビンと戦っているディヴィヤの危機に、勝利の余韻に浸る間も無く、駆け出すマッツ。
――― vs サミジナ(死者ロビン vs ディヴィヤ、ラディカ、ナディヤ) ―――
跳ね返ってきた矢を軽く跳ね除け、地上に降り立つ黒いロビン。二度と今の攻撃をさせまいと一気に間合いを詰める3人。
ヒュンッ!
ディヴィヤの剣を屈んで避け、そのロビン目掛けて、
ガキィンッ!
縦に振られたラディカの剣を弓で受け、更にそのまま、矢を放つ!!
シュンッ!!
「くっ!」
すんでのところで避けるラディカ、ロビンの背後からナディヤの振り下ろし!
ヒュンッ!
後ろに目があるかのように右に転がって避け、回転しながら矢を打つ!!
シュシュシュシュンッ!
ドスッ!
「あうッ!」
「ナディヤッ!」
避けきれずに一本がナディヤの腕に刺さる!
だがさすがは元暗殺者、小さく呻くに留める。ナディヤに駆け寄るディヴィヤがロビンに向き直ると、一気に矢を十本つがえていたロビン!
「……ぐッ」
ナディヤを庇うディヴィヤに矢が雨と降り注ぐ!
「ディヴィヤ!」
マッツの声がする。しかし、マッツに心配をかけてはならない、と、幅広の剣ファルシオンを円の動きで振り回し、全ての矢を払うディヴィヤ。
しかしロビンは止まらない!
更に距離を取りながら矢をつがえた、その瞬間!
ズバァァァァァァッッ!!
マッツに首をはねられるロビンの影!
転げ落ちた首と共に、姿が消えていく。
――― サミジナ vs ヒムニヤ、リディア、コンスタンティン ―――
「なるほど。これは、手強いな……」
「そういうお前さんも大したもんじゃ。さっきのはヤバかったぞ……」
「『荊の縛鎖』!」
コンスタンティンに気を取られていたサミジナにヒムニヤの風属性デバフ魔法が発動!
棘だらけの蔦がサミジナに巻き付く!
「アイダダダダダッッ!!」
苦しそうにしながらも、掌を前に出し、更にヒムニヤを怯えさせる魔法を詠唱!
「『死者召喚』」
「しまった!」
ヒムニヤの白い肌から更に血の気が失せる!
ヒムニヤ達の真後ろに現れた、茶色いローブのフードまでをすっぽり被った大柄な魔術師。
「な、な……」
「ヒムニヤさん!!」
リディアがヒムニヤに駆け寄る。
「あれは……メリー! メリー・トト!!」
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