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砂漠の王太子
064.ふたりの王子
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リサはロトス王子であり、次期国王であるユリスの息子、スライブの護衛隊長である。
彼女はスライブから『ハミッドと妹メイを引き合わせ、無事国外まで連れ出すこと』と厳命されていた。
それは問題なく遂行できる筈だったのだが、マッカが直接的な行動に出たことで計算が狂ってしまった。
(クソッ。あの豚野郎め。不遜にも程がある。まさか王家の人間に手を出すなんて……)
城に戻った彼女はまっすぐに地下へと向かう。リサにはハミッドの行き先に心当たりがあった。
(ハミッド様は恐らく地下牢に捕えられている)
ロトス王城のそれは頑丈な造りであり、かつては大型のデーモンなどですら囚われていたほどだった。ハミッドの武勇は拘束でもしなければクヌムとヨアヒムであっても手を焼くほどのものだ。きっとそこに拘束しているに違いない。
(一緒にいたロゼルタという女性もひょっとするとそこにいるかもしれない。であれば同時に助け出せる)
そう自分に言い聞かせるがその可能性が限りなくゼロに近いこともわかっていた。
あの時の襲撃者はクヌムとヨアヒム、つまりマッカの手の者だ。
(あれほど美しい女性を地下牢になど入れるはずは……)
何度もクソッと吐き捨てながらひた走る。
時折、テスラが言った言葉が頭を過ぎる。
『わかった。信用したぜ? ロゼルタを頼む』
ブンブンと頭を振ってその記憶を消そうとした。
(すまない。私には使命が……)
地下牢を守る衛兵達はマッカの息がかかったものが大勢いた。当然リサといえどもすんなりと釈放させることは出来ない。それが出来るのはマッカ、もしくは王族だけだ。
壁の影に隠れ、他よりも多くの衛兵がいる牢を見て、ハミッドがそこにいると確信する。だが手が出せず、ただ気が焦っていた。
そんな時、背後から彼女に安心を与えてくれる声が聞こえてきた。
「お待たせ。苦労かけたみたいだな」
そこにいたのは彼女の主人のスライブだった。本来、この様なところに居る人間ではない。
「わ、若様。何故、こんな所に」
「んん? 血相変えて城に飛び込むお前を見てここだろうと思ってね」
「ハミッド様がここに居ることを?」
「ご存知ですよぉ。数時間前に彼ともうひとり綺麗な女性も一緒に、豚君達に連れてこられたと聞いたからね」
戯けた調子で笑うスライブに、リサの焦る心が和らいでいく。そのままの柔和な顔つきでスライブが尋ねた。
「ところでメイは?」
「メイ様は無事フュルトへとお連れしました。ハミッド様のお連れの方々が守ってくれているので大丈夫です」
「そうかい。なら、ハミッドともうひとりの女性を助けてあげなくちゃな」
「……はい」
スライブは壁からスッと牢の前の廊下に出る。リサもその後に続く。
衛兵達は思ってもいない賓客の登場に驚いて敬礼をした。
「あ――。大丈夫大丈夫。ハミッド殿を捕らえたと聞いたが?」
「こ、こちらでございます」
それはリサが見当を付けていた牢屋だった。
スライブが中を覗くとハミッドが胡座をかいて座っている。
「ハミッド殿!」
「……スライブ!」
「うむ。本物みたいだね。おい君。釈放したまえ」
そばにいた衛兵に挨拶でもするかのような気楽さで言う。言われた男はどうしたものか、他の衛兵に相談し始めた。
「これこれ。時間があまりない。さっさとせよ」
「し、しかしクヌム様の御命令でして……」
「知ってるよ。でも多分俺のが偉いよ?」
「そ、それは勿論……」
「わかってんなら早くしよう。国交が無いとはいえ、ハミッド殿はネイザールの王太子だぞ。戦争でもしたいのかい」
そう言われると彼らにそれ以上言い返す言葉はなく、大人しくハミッドを牢から出した。
「彼の2本の剣もお返しするように」
「ハッ」
「他の者は各自の仕事に戻るように」
「は、はい」
ようやく3人になったところでハミッドがスライブとリサの2人の肩をポンと叩き、
「2人とも、助かった。礼を言う」
「なあに。お互い様ですよ」
「実はもうひとり助けたいのだが、どこにいるかわかるかな?」
「多分だけど作戦中会議室にいる。俺らは『豚小屋』と呼んでいるがね」
「すぐ案内してくれ」
だがリサがそこに割り込んだ。
「ロゼルタは私が。ハミッド様は一刻も早くメイ様の元に」
そこに衛兵がハミッドの剣を携えて来た。ハミッドはそれを受け取ると長短のある2本を両腰に差し、リサに笑うでもなく言った。
「リサ、スライブ。君達が想うのと同じくらい、俺もメイが心配だ。だがロゼルタには返し切れぬ程の恩がある。絶対に豚共如きにくれてやるわけにはいかぬ。案内してくれ。俺が助けだす」
「しかし……」とリサが食い下がる。
「いや、それでこそ漢。砂漠の剣神様だ。急ごう、こうしている間も惜しい」
スライブはまだ何か言おうとしていたリサの背中をポンと叩くと、ウインクしながら言った。
「大丈夫さリサ。全てうまくいく」
その言葉に最悪ロゼルタを犠牲にしてでも、と考えていた自分を恥じ、走り出すふたりの王子の背中を追った。
◆◇
スライブが『豚小屋』と呼ぶその部屋は5階にあるという。
だがスライブは4階まで駆け上がると階段を登らずに広い廊下を走り、倉庫のような部屋へと入っていった。
「スライブ、どこへ行く?」
「奴がお楽しみ中だというなら、その部屋の入り口は少々手強い豚2匹に守られているはずでね。といってあの部屋の左右の壁も硬いんだ」
無造作に武器や宝物が置かれているその部屋の中ほどでスライブは上を見上げ、ハミッドに尋ねた。
「ハミッド殿のお連れはお強いか?」
「文字通り、怪物級だ」
その答えにニヤリと笑い、胸元から3枚のスクロールを取り出した。
「ならこれに耐えられるかな」
「それは?」
「爆破の呪符さ。その後はハミッド殿、頼むよ?」
「なるほど。承知した」
マッカの悪趣味なプレイに耐えられるように改築された部屋の壁と床はかなり強度がある。
上方へと爆発が広がる爆破の魔法では横壁を破壊し切れないかもしれない。だから下から爆破して救出しようというのだ。
だがそれはロゼルタを救うだけでなく、マッカも共にここに落ちてくるという事でもある。スライブはその処理を頼むと言ったのだ。
腕に自信がないのではなく、ハミッドと違ってロトスにいる彼はまだ表立ってマッカと対立したくはない。
それら全てを敏感に感じ取ったハミッドの即答だった。
スライブが2本の指を口元に当て、何かを唱えると3枚のスクロールは重力を無視してヒラヒラと舞い上がり、天井の一点に貼り付いた。
「爆破!」
その声と同時に凄まじい爆発が起き、それは上階の部屋、つまり中会議室の床を吹き飛ばし、真上にあったベッドを真っ二つに破壊した。
それはマッカがロゼルタの体内に挿入しようとする、まさに直前の出来事だった。
下からの爆圧によって押し上げられたロゼルタは仰け反って宙に浮き、次の瞬間、真っ逆さまに下の階へと落ちた。
「あ、痛ててて……あん?」
訳が分からず混乱する彼女の目の前にはハミッドとリサ、そして見覚えの無い、品格のある男がひとり並ぶ。
「ロゼルタ、遅くなってすまん。無事か?」
手足に繋がれたロープを斬りながらハミッドが言う。
「多分な。今の衝撃が爆破のものなら」
首をコキコキと鳴らしながら肩を回す仕草を見せる。
知性のある魔族というものを見るのが初めてのリサは驚き、スライブは口を尖らせてヒューと口笛を吹いた。だがロゼルタの胸元が破れ、形の良い女性の部分までが露わになっているのを見て慌てて目を逸らす。
ロゼルタは特にそれを隠そうともせず、体の埃をパンパンと払う。
「助かったぜハミッド。借りが出来たな」
「何を言う。それを言うなら俺の方が返しきれない程の借りがある」
そこで一度辺りを警戒する様に見回し、ハミッドが言葉を続ける。
「悠長にはしてられん。マッカもいるだろう」
「ああ、ここにいるぜ。てめえら全員死刑だ」
言い様、二つに折れたベッドの下敷きとなっていたマッカがそれを粉砕し、姿を現す。張り裂けんばかりに目を怒らせ、殴りかかって来た。
ハミッドが応戦するが、この足場の悪い、狭い部屋の中ではかなり分が悪い。
「ブラッドシュート!」
ベッド、正確には魔素を吸い取るロープから解き放たれたロゼルタは僅かながらに魔素を回復する。魔素の濃い魔界であればこれの数倍の威力が出るのだが、人間界でこの短時間では数発分の霊気の弾丸を放つのが精一杯だった。
だがその内の1発がマッカの鼻のすぐ横に命中、かろうじてマッカの突撃は止まり、体を震わせる。
「む……あれは」
マッカの髪が青から黒へと変化し、急速に逆立つ。更に霊気が迸り、体格が一際大きくなった。
「オークキングか」
ハミッドがポツリと言う。
リサへと向かい、
「テスラ達は来たか?」
「はい。今、フュルトのくすんだ緑色の屋根の建物の中でメイ様をお守りいただいています」
その答えに満足そうに頷くと素早く剣を鞘へと戻し、ロゼルタに言った。
「ここは無理せず一旦退き、テスラ達と合流しよう」
「それが良さそうだな」
正気を失ったかのように見えるマッカを尻目に2人は4階の窓から飛び出した。
その後を追おうとするリサの肩をグイと掴み、抱き寄せてスライブは物陰に隠れる。
白目を剥いたままのマッカは雄叫びを上げるとロゼルタ達の後を追い、窓から飛び出した。
続けて何事かと5階から飛び降りて来たクヌムとヨアヒムもマッカの戦斧を持ち、同じように後を追う。
スライブはそれら全てを見送ると、
「俺達は邪魔になる。後は彼らに任せよう」
と言った。
彼女はスライブから『ハミッドと妹メイを引き合わせ、無事国外まで連れ出すこと』と厳命されていた。
それは問題なく遂行できる筈だったのだが、マッカが直接的な行動に出たことで計算が狂ってしまった。
(クソッ。あの豚野郎め。不遜にも程がある。まさか王家の人間に手を出すなんて……)
城に戻った彼女はまっすぐに地下へと向かう。リサにはハミッドの行き先に心当たりがあった。
(ハミッド様は恐らく地下牢に捕えられている)
ロトス王城のそれは頑丈な造りであり、かつては大型のデーモンなどですら囚われていたほどだった。ハミッドの武勇は拘束でもしなければクヌムとヨアヒムであっても手を焼くほどのものだ。きっとそこに拘束しているに違いない。
(一緒にいたロゼルタという女性もひょっとするとそこにいるかもしれない。であれば同時に助け出せる)
そう自分に言い聞かせるがその可能性が限りなくゼロに近いこともわかっていた。
あの時の襲撃者はクヌムとヨアヒム、つまりマッカの手の者だ。
(あれほど美しい女性を地下牢になど入れるはずは……)
何度もクソッと吐き捨てながらひた走る。
時折、テスラが言った言葉が頭を過ぎる。
『わかった。信用したぜ? ロゼルタを頼む』
ブンブンと頭を振ってその記憶を消そうとした。
(すまない。私には使命が……)
地下牢を守る衛兵達はマッカの息がかかったものが大勢いた。当然リサといえどもすんなりと釈放させることは出来ない。それが出来るのはマッカ、もしくは王族だけだ。
壁の影に隠れ、他よりも多くの衛兵がいる牢を見て、ハミッドがそこにいると確信する。だが手が出せず、ただ気が焦っていた。
そんな時、背後から彼女に安心を与えてくれる声が聞こえてきた。
「お待たせ。苦労かけたみたいだな」
そこにいたのは彼女の主人のスライブだった。本来、この様なところに居る人間ではない。
「わ、若様。何故、こんな所に」
「んん? 血相変えて城に飛び込むお前を見てここだろうと思ってね」
「ハミッド様がここに居ることを?」
「ご存知ですよぉ。数時間前に彼ともうひとり綺麗な女性も一緒に、豚君達に連れてこられたと聞いたからね」
戯けた調子で笑うスライブに、リサの焦る心が和らいでいく。そのままの柔和な顔つきでスライブが尋ねた。
「ところでメイは?」
「メイ様は無事フュルトへとお連れしました。ハミッド様のお連れの方々が守ってくれているので大丈夫です」
「そうかい。なら、ハミッドともうひとりの女性を助けてあげなくちゃな」
「……はい」
スライブは壁からスッと牢の前の廊下に出る。リサもその後に続く。
衛兵達は思ってもいない賓客の登場に驚いて敬礼をした。
「あ――。大丈夫大丈夫。ハミッド殿を捕らえたと聞いたが?」
「こ、こちらでございます」
それはリサが見当を付けていた牢屋だった。
スライブが中を覗くとハミッドが胡座をかいて座っている。
「ハミッド殿!」
「……スライブ!」
「うむ。本物みたいだね。おい君。釈放したまえ」
そばにいた衛兵に挨拶でもするかのような気楽さで言う。言われた男はどうしたものか、他の衛兵に相談し始めた。
「これこれ。時間があまりない。さっさとせよ」
「し、しかしクヌム様の御命令でして……」
「知ってるよ。でも多分俺のが偉いよ?」
「そ、それは勿論……」
「わかってんなら早くしよう。国交が無いとはいえ、ハミッド殿はネイザールの王太子だぞ。戦争でもしたいのかい」
そう言われると彼らにそれ以上言い返す言葉はなく、大人しくハミッドを牢から出した。
「彼の2本の剣もお返しするように」
「ハッ」
「他の者は各自の仕事に戻るように」
「は、はい」
ようやく3人になったところでハミッドがスライブとリサの2人の肩をポンと叩き、
「2人とも、助かった。礼を言う」
「なあに。お互い様ですよ」
「実はもうひとり助けたいのだが、どこにいるかわかるかな?」
「多分だけど作戦中会議室にいる。俺らは『豚小屋』と呼んでいるがね」
「すぐ案内してくれ」
だがリサがそこに割り込んだ。
「ロゼルタは私が。ハミッド様は一刻も早くメイ様の元に」
そこに衛兵がハミッドの剣を携えて来た。ハミッドはそれを受け取ると長短のある2本を両腰に差し、リサに笑うでもなく言った。
「リサ、スライブ。君達が想うのと同じくらい、俺もメイが心配だ。だがロゼルタには返し切れぬ程の恩がある。絶対に豚共如きにくれてやるわけにはいかぬ。案内してくれ。俺が助けだす」
「しかし……」とリサが食い下がる。
「いや、それでこそ漢。砂漠の剣神様だ。急ごう、こうしている間も惜しい」
スライブはまだ何か言おうとしていたリサの背中をポンと叩くと、ウインクしながら言った。
「大丈夫さリサ。全てうまくいく」
その言葉に最悪ロゼルタを犠牲にしてでも、と考えていた自分を恥じ、走り出すふたりの王子の背中を追った。
◆◇
スライブが『豚小屋』と呼ぶその部屋は5階にあるという。
だがスライブは4階まで駆け上がると階段を登らずに広い廊下を走り、倉庫のような部屋へと入っていった。
「スライブ、どこへ行く?」
「奴がお楽しみ中だというなら、その部屋の入り口は少々手強い豚2匹に守られているはずでね。といってあの部屋の左右の壁も硬いんだ」
無造作に武器や宝物が置かれているその部屋の中ほどでスライブは上を見上げ、ハミッドに尋ねた。
「ハミッド殿のお連れはお強いか?」
「文字通り、怪物級だ」
その答えにニヤリと笑い、胸元から3枚のスクロールを取り出した。
「ならこれに耐えられるかな」
「それは?」
「爆破の呪符さ。その後はハミッド殿、頼むよ?」
「なるほど。承知した」
マッカの悪趣味なプレイに耐えられるように改築された部屋の壁と床はかなり強度がある。
上方へと爆発が広がる爆破の魔法では横壁を破壊し切れないかもしれない。だから下から爆破して救出しようというのだ。
だがそれはロゼルタを救うだけでなく、マッカも共にここに落ちてくるという事でもある。スライブはその処理を頼むと言ったのだ。
腕に自信がないのではなく、ハミッドと違ってロトスにいる彼はまだ表立ってマッカと対立したくはない。
それら全てを敏感に感じ取ったハミッドの即答だった。
スライブが2本の指を口元に当て、何かを唱えると3枚のスクロールは重力を無視してヒラヒラと舞い上がり、天井の一点に貼り付いた。
「爆破!」
その声と同時に凄まじい爆発が起き、それは上階の部屋、つまり中会議室の床を吹き飛ばし、真上にあったベッドを真っ二つに破壊した。
それはマッカがロゼルタの体内に挿入しようとする、まさに直前の出来事だった。
下からの爆圧によって押し上げられたロゼルタは仰け反って宙に浮き、次の瞬間、真っ逆さまに下の階へと落ちた。
「あ、痛ててて……あん?」
訳が分からず混乱する彼女の目の前にはハミッドとリサ、そして見覚えの無い、品格のある男がひとり並ぶ。
「ロゼルタ、遅くなってすまん。無事か?」
手足に繋がれたロープを斬りながらハミッドが言う。
「多分な。今の衝撃が爆破のものなら」
首をコキコキと鳴らしながら肩を回す仕草を見せる。
知性のある魔族というものを見るのが初めてのリサは驚き、スライブは口を尖らせてヒューと口笛を吹いた。だがロゼルタの胸元が破れ、形の良い女性の部分までが露わになっているのを見て慌てて目を逸らす。
ロゼルタは特にそれを隠そうともせず、体の埃をパンパンと払う。
「助かったぜハミッド。借りが出来たな」
「何を言う。それを言うなら俺の方が返しきれない程の借りがある」
そこで一度辺りを警戒する様に見回し、ハミッドが言葉を続ける。
「悠長にはしてられん。マッカもいるだろう」
「ああ、ここにいるぜ。てめえら全員死刑だ」
言い様、二つに折れたベッドの下敷きとなっていたマッカがそれを粉砕し、姿を現す。張り裂けんばかりに目を怒らせ、殴りかかって来た。
ハミッドが応戦するが、この足場の悪い、狭い部屋の中ではかなり分が悪い。
「ブラッドシュート!」
ベッド、正確には魔素を吸い取るロープから解き放たれたロゼルタは僅かながらに魔素を回復する。魔素の濃い魔界であればこれの数倍の威力が出るのだが、人間界でこの短時間では数発分の霊気の弾丸を放つのが精一杯だった。
だがその内の1発がマッカの鼻のすぐ横に命中、かろうじてマッカの突撃は止まり、体を震わせる。
「む……あれは」
マッカの髪が青から黒へと変化し、急速に逆立つ。更に霊気が迸り、体格が一際大きくなった。
「オークキングか」
ハミッドがポツリと言う。
リサへと向かい、
「テスラ達は来たか?」
「はい。今、フュルトのくすんだ緑色の屋根の建物の中でメイ様をお守りいただいています」
その答えに満足そうに頷くと素早く剣を鞘へと戻し、ロゼルタに言った。
「ここは無理せず一旦退き、テスラ達と合流しよう」
「それが良さそうだな」
正気を失ったかのように見えるマッカを尻目に2人は4階の窓から飛び出した。
その後を追おうとするリサの肩をグイと掴み、抱き寄せてスライブは物陰に隠れる。
白目を剥いたままのマッカは雄叫びを上げるとロゼルタ達の後を追い、窓から飛び出した。
続けて何事かと5階から飛び降りて来たクヌムとヨアヒムもマッカの戦斧を持ち、同じように後を追う。
スライブはそれら全てを見送ると、
「俺達は邪魔になる。後は彼らに任せよう」
と言った。
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