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永遠なる魂
110.永遠なる魂(3) 魔王復活のために
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「で……結局どうすれば魔王達は蘇るのじゃ」
ドーンが口を挟んだ。
「あの時、私が再生の魔法を使ったにも関わらず、何故魔王達の肉体が再生できなかったのか? それはリリアという魔族の恨み、呪いがあまりにも強かったためです」
そうしてヴィクトリアは古の魔王リリアについて語り出す。
リリアは生前、両性具有の人間だった。
生まれつき飛び抜けて邪悪な信念と強大な魔力を持っていた。
征服欲は底知れず、辺境では飽き足らず、当時世界の中枢だったエルフ族のメルマトラに度々侵攻してはヴィクトリアとアルメダによって阻まれていた。
やがて彼はその人間とは思えぬ強大な力でもって太古の禁呪を蘇らせ、全てを滅ぼす『破滅召喚』で隕石を呼び寄せ、ヴィクトリアがそれを防ぐであろう事まで見通してメルマトラを滅ぼした。
更なる力を手に入れるため、もうひとつの禁呪『魂魔転生』によって魔族に転生した。
リリアの子孫でもある現在の魔族達が『人化』という特殊な能力を持つのは、元は人間だったリリアが『魂魔転生』を使った副作用のようなものだった。
リリアは彼が産み出した4人の魔神によって殺されたため、その魔神達の直系であるネルソ達に深い恨みを持っている。
魂だけの存在となった彼は4人の魔神達への恨みとこの世への執着に凝り固まる呪いそのものとなった。
ラクニールの王を唆して『魔界攻略』の方針を出させ、隕石の影響を大きく受けたリドを自らの再生の器と定め、彼に魔王達を殺させ、着々と自身を復活させる布石を打っていた。
「……従って魔王達を現世に戻す為にはリリアの呪いを解く必要があります。つまりリリアの魂の根絶です」
「なるほどな。あやつにはそのリリアとかいう我々の祖先の亡霊が取り憑いていると」とドーン。
「はい。ただ、リドも元々リリアと変わらぬ邪悪な性質を持っており、その凶暴さや虐待癖にリリアは関係ありません」
それを聞いてテスラがひとつ息を吐いた。
「そりゃあよかった。リリアがいなけりゃ善良な奴だとか言われた日にゃー剣も鈍るからな」
「そこは遠慮しなくて大丈夫ですよ。あなた方がリドを倒して頂ければリリアは私がなんとかしましょう。リリアもそれを恐れて真っ先に私を狙う筈。その為なんとかしてリドをこのメルマトラへ来させようとしていたようですが、貴方達が先で良かった」
「そうか。なら俺達のやる事は最初にあの館でネルソ様が仰った話から変わらなかったって訳だ」
テスラがニヤリと笑いながら拳で手のひらを打つ。
「だな。地下深くのどこかにいる相手を倒せっつーんなら面倒だが、リドを倒すだけなら話が早えー」とロゼルタ。
「二百年前に一度、そのリリアの封が解け掛けた事があったのですが、その時は私の影響を強く持っていたラダという魔神がそれを抑えてくれました。その恨みも加わって、リリアは復活すれば魔族を皆殺しにするかも……」
「お、おい! なんだと!」
突然テスラが大声で叫ぶ。
驚いたヴィクトリアが目をパチクリとさせ、「は、はい」と彼を見返した。
「あ、皆殺しと言っても……」
「そっちじゃねー。今……今、ラダと言ったか?」
ロゼルタが耳に指を入れて迷惑そうな顔をする。
「うっせーな……あーそういやぁ……」
言い掛けるがテスラが言葉を被せる。
「あれは……そういう事だったのか……クソッ! そうとも知らず、俺はあいつの何の役にも……」
ロトスでリドと戦い、気を失っている時に見た夢の中で会ったラダ。
彼女は二百年前、スルークを襲った伝染病の原因が魔王城付近の土から滲み出る猛毒の水であると突き止め、自らの命を犠牲にしてそれを防ぎ切った。
「元々あいつは大樹の魔神。毒を吸いとった位で死ぬ様な奴じゃねー。きっと……あいつは何となくその邪悪な気配を感じてたんだ」
「あの、ラダさんって……」
ノルトがロゼルタに小声で聞く。
「あいつの奥さんだ。そん時に死んじまったがな。何度か会った事があるんだが、優しくて美人だったんだぜ? あいつにゃもったいねーほどな」
それを聞いてノルトも驚いていたが、誰よりもヴィクトリアが驚いた。
「そんな奇縁があったのですね……ラダがいなければもっと早くにリリアは復活し、今頃は目も当てられない事になっていたでしょう」
ヴィクトリアは手を合わせて祈る様な素振りを見せ、
「あなた方の仇でもあるリド=マルスト。彼は2ヶ月前に貴方達が戦った時より更に強く、つまりリリアの力を深く受け継いでいます。気をつけて……」
その時。
話の途中だったヴィクトリアの首が、突然ゴロンと床に転がった。
虹の様に煌めいていた霊気が少しずつ消えてゆく。
「え……」
あまりにも呆気ない、ひとりの死を目の前にしてノルトはふと、エルフの里で聞いたナウラの神託を思い出した。
―――
破壊の意志が虹を殺す
虹はそなた達の希望であり光
その身に魔を宿す者
必ず虹を救うべし
―――
同時にゾッとする気配を感じ、恐る恐る後ろを振り返る。
その目に映ったのは、邪悪な闇を身に纏い、それと対照的に瞳を真紅に輝かせる覇王、若き日のリド=マルストの姿だった。
ドーンが口を挟んだ。
「あの時、私が再生の魔法を使ったにも関わらず、何故魔王達の肉体が再生できなかったのか? それはリリアという魔族の恨み、呪いがあまりにも強かったためです」
そうしてヴィクトリアは古の魔王リリアについて語り出す。
リリアは生前、両性具有の人間だった。
生まれつき飛び抜けて邪悪な信念と強大な魔力を持っていた。
征服欲は底知れず、辺境では飽き足らず、当時世界の中枢だったエルフ族のメルマトラに度々侵攻してはヴィクトリアとアルメダによって阻まれていた。
やがて彼はその人間とは思えぬ強大な力でもって太古の禁呪を蘇らせ、全てを滅ぼす『破滅召喚』で隕石を呼び寄せ、ヴィクトリアがそれを防ぐであろう事まで見通してメルマトラを滅ぼした。
更なる力を手に入れるため、もうひとつの禁呪『魂魔転生』によって魔族に転生した。
リリアの子孫でもある現在の魔族達が『人化』という特殊な能力を持つのは、元は人間だったリリアが『魂魔転生』を使った副作用のようなものだった。
リリアは彼が産み出した4人の魔神によって殺されたため、その魔神達の直系であるネルソ達に深い恨みを持っている。
魂だけの存在となった彼は4人の魔神達への恨みとこの世への執着に凝り固まる呪いそのものとなった。
ラクニールの王を唆して『魔界攻略』の方針を出させ、隕石の影響を大きく受けたリドを自らの再生の器と定め、彼に魔王達を殺させ、着々と自身を復活させる布石を打っていた。
「……従って魔王達を現世に戻す為にはリリアの呪いを解く必要があります。つまりリリアの魂の根絶です」
「なるほどな。あやつにはそのリリアとかいう我々の祖先の亡霊が取り憑いていると」とドーン。
「はい。ただ、リドも元々リリアと変わらぬ邪悪な性質を持っており、その凶暴さや虐待癖にリリアは関係ありません」
それを聞いてテスラがひとつ息を吐いた。
「そりゃあよかった。リリアがいなけりゃ善良な奴だとか言われた日にゃー剣も鈍るからな」
「そこは遠慮しなくて大丈夫ですよ。あなた方がリドを倒して頂ければリリアは私がなんとかしましょう。リリアもそれを恐れて真っ先に私を狙う筈。その為なんとかしてリドをこのメルマトラへ来させようとしていたようですが、貴方達が先で良かった」
「そうか。なら俺達のやる事は最初にあの館でネルソ様が仰った話から変わらなかったって訳だ」
テスラがニヤリと笑いながら拳で手のひらを打つ。
「だな。地下深くのどこかにいる相手を倒せっつーんなら面倒だが、リドを倒すだけなら話が早えー」とロゼルタ。
「二百年前に一度、そのリリアの封が解け掛けた事があったのですが、その時は私の影響を強く持っていたラダという魔神がそれを抑えてくれました。その恨みも加わって、リリアは復活すれば魔族を皆殺しにするかも……」
「お、おい! なんだと!」
突然テスラが大声で叫ぶ。
驚いたヴィクトリアが目をパチクリとさせ、「は、はい」と彼を見返した。
「あ、皆殺しと言っても……」
「そっちじゃねー。今……今、ラダと言ったか?」
ロゼルタが耳に指を入れて迷惑そうな顔をする。
「うっせーな……あーそういやぁ……」
言い掛けるがテスラが言葉を被せる。
「あれは……そういう事だったのか……クソッ! そうとも知らず、俺はあいつの何の役にも……」
ロトスでリドと戦い、気を失っている時に見た夢の中で会ったラダ。
彼女は二百年前、スルークを襲った伝染病の原因が魔王城付近の土から滲み出る猛毒の水であると突き止め、自らの命を犠牲にしてそれを防ぎ切った。
「元々あいつは大樹の魔神。毒を吸いとった位で死ぬ様な奴じゃねー。きっと……あいつは何となくその邪悪な気配を感じてたんだ」
「あの、ラダさんって……」
ノルトがロゼルタに小声で聞く。
「あいつの奥さんだ。そん時に死んじまったがな。何度か会った事があるんだが、優しくて美人だったんだぜ? あいつにゃもったいねーほどな」
それを聞いてノルトも驚いていたが、誰よりもヴィクトリアが驚いた。
「そんな奇縁があったのですね……ラダがいなければもっと早くにリリアは復活し、今頃は目も当てられない事になっていたでしょう」
ヴィクトリアは手を合わせて祈る様な素振りを見せ、
「あなた方の仇でもあるリド=マルスト。彼は2ヶ月前に貴方達が戦った時より更に強く、つまりリリアの力を深く受け継いでいます。気をつけて……」
その時。
話の途中だったヴィクトリアの首が、突然ゴロンと床に転がった。
虹の様に煌めいていた霊気が少しずつ消えてゆく。
「え……」
あまりにも呆気ない、ひとりの死を目の前にしてノルトはふと、エルフの里で聞いたナウラの神託を思い出した。
―――
破壊の意志が虹を殺す
虹はそなた達の希望であり光
その身に魔を宿す者
必ず虹を救うべし
―――
同時にゾッとする気配を感じ、恐る恐る後ろを振り返る。
その目に映ったのは、邪悪な闇を身に纏い、それと対照的に瞳を真紅に輝かせる覇王、若き日のリド=マルストの姿だった。
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