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最終章 魔王をその身に宿す少年
136.チョロゴッド(後)
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たじろぐメニドゥラを逃すまいとその手を掴んだ。
「はぁ……あわわわわ」
あれほど凛とした、クールな佇まいだったメニドゥラはどこへやら、目を右に左にキョロキョロと細かく動かし、みっともないほど狼狽えた。
「メニドゥラさん」
「は、はは、はい」
「届きません」
「あ、あの……私、男性とキスしたこと……」
「もう少し低くなって下さい」
「は、はい……はい!」
もはやノルトの言うがままのメニドゥラは素直に膝を着き、足の上にペタリと尻を着き、膝の上に手を置き、正座の格好となった。
頰を染め、指をこねくり回し、ノルトの顔を見上げるその姿からは到底彼女が恐るべき半神という種族だとは想像もつかない。
「メニドゥラさん、目を閉じて」
「は……」
メニドゥラは次は遂に口づけだと気付き、ハッとした顔をして更に顔を赤くする。
その彼女の仕草をなんともいえない表情でノルトが見つめる。
(『女帝』を持つクリニカさんと、魔族に対して無類の強さを持つメニドゥラさん)
(ふたりが揃っていてリドに負けたのは信じられないけど……)
そんな事を考えながらメニドゥラの肩に手を置き、顔を近付けた。
一方のメニドゥラはいよいよだと身を固くし、目を強く瞑り、赤い唇をギュッと閉じる。
「今日、あなた方を……絶対に解放するから」
その静かな、だが強い意志のこもった言葉に驚いたメニドゥラが薄く目を開ける。
その直後、彼女は意識を失った。
白く細い首筋にノルトの鋭い手刀が打ち込まれたのだ。
虹のように美しく煌めく七色の霊気に包まれていたノルトの手が、力を無くして倒れ込むメニドゥラの体を抱き止めた。
「メニドゥラちゃん!」
驚いたのはクリニカだった。
ドーンとの闇属性の魔法対決に集中していたらメニドゥラの気配が途絶えた。
見るとノルトが手刀を翳しているのだ。
「ノルト君? メニドゥラちゃんを失神になんて私でもできないのに……」
(さては私のアドバイスを聞いたのかしら?)
(七色の霊気……初めてみるわね)
そんな事を考えながらもメニドゥラの容態が気になった。
(まあノルト君のことだから殺しはしないと思うけど)
「よそ見とは良い度胸じゃ。幻霊砲!」
着弾すれば爆発するファントムが砲弾の如く次々とクリニカを襲う。
「『ダーク=レイヴン』」
無数のカラスが実体がないはずのファントムを切り裂き、それらはクリニカに近付く前に爆発して四散した。
「メニドゥラちゃんが心配だわぁ。究極の魔法いっちゃおうかなぁ」
「ふん。面白い」
「サキュバスの女王、古のアンズエラ。八の魔神と七万の同胞の精を……」
だが突然、詠唱の途中でクリニカの魔神化が解けた。
「ちょ、えええ!? なんでぇ!?」
(クリニカの魔素が一気に枯渇した?)
ドーンがそう思った瞬間、城全体を揺るがす様な爆音が鳴り響き、天井からは大小織り交ぜた石が落ち始め、地震のように床が揺れた。
「これ……どういうこと?」
手のひらを見つめながら呟いたクリニカがハッと何かに気付く。
「これは……まさかあの魔法? まさか、まさか彼女が生きて……」
クリニカが眉を寄せ後ろを振り返る。
(なにか心当たりがある様じゃな)
(だがチャンスじゃ。あやつはレイドックの指輪を持っている。あれは所持者に無限に魔素を提供する。その前に)
「冥府、顕現」
両手を広げるドーンの背後から一切の光を遮断する、漆黒の闇が広がる。
「しまっ……これはヤバイわぁ!」
クリニカの視界が闇に閉ざされた。
いや視界だけではない。
匂いも耳も、皮膚の感覚さえ消え去った。
クリニカの上下左右の方向感覚が無くなった。
「もう一度、その素っ首撥ねてくれる。デスサイズ!」
ドーンの手の中に巨大な死神の鎌が現れた。
「はぁ……あわわわわ」
あれほど凛とした、クールな佇まいだったメニドゥラはどこへやら、目を右に左にキョロキョロと細かく動かし、みっともないほど狼狽えた。
「メニドゥラさん」
「は、はは、はい」
「届きません」
「あ、あの……私、男性とキスしたこと……」
「もう少し低くなって下さい」
「は、はい……はい!」
もはやノルトの言うがままのメニドゥラは素直に膝を着き、足の上にペタリと尻を着き、膝の上に手を置き、正座の格好となった。
頰を染め、指をこねくり回し、ノルトの顔を見上げるその姿からは到底彼女が恐るべき半神という種族だとは想像もつかない。
「メニドゥラさん、目を閉じて」
「は……」
メニドゥラは次は遂に口づけだと気付き、ハッとした顔をして更に顔を赤くする。
その彼女の仕草をなんともいえない表情でノルトが見つめる。
(『女帝』を持つクリニカさんと、魔族に対して無類の強さを持つメニドゥラさん)
(ふたりが揃っていてリドに負けたのは信じられないけど……)
そんな事を考えながらメニドゥラの肩に手を置き、顔を近付けた。
一方のメニドゥラはいよいよだと身を固くし、目を強く瞑り、赤い唇をギュッと閉じる。
「今日、あなた方を……絶対に解放するから」
その静かな、だが強い意志のこもった言葉に驚いたメニドゥラが薄く目を開ける。
その直後、彼女は意識を失った。
白く細い首筋にノルトの鋭い手刀が打ち込まれたのだ。
虹のように美しく煌めく七色の霊気に包まれていたノルトの手が、力を無くして倒れ込むメニドゥラの体を抱き止めた。
「メニドゥラちゃん!」
驚いたのはクリニカだった。
ドーンとの闇属性の魔法対決に集中していたらメニドゥラの気配が途絶えた。
見るとノルトが手刀を翳しているのだ。
「ノルト君? メニドゥラちゃんを失神になんて私でもできないのに……」
(さては私のアドバイスを聞いたのかしら?)
(七色の霊気……初めてみるわね)
そんな事を考えながらもメニドゥラの容態が気になった。
(まあノルト君のことだから殺しはしないと思うけど)
「よそ見とは良い度胸じゃ。幻霊砲!」
着弾すれば爆発するファントムが砲弾の如く次々とクリニカを襲う。
「『ダーク=レイヴン』」
無数のカラスが実体がないはずのファントムを切り裂き、それらはクリニカに近付く前に爆発して四散した。
「メニドゥラちゃんが心配だわぁ。究極の魔法いっちゃおうかなぁ」
「ふん。面白い」
「サキュバスの女王、古のアンズエラ。八の魔神と七万の同胞の精を……」
だが突然、詠唱の途中でクリニカの魔神化が解けた。
「ちょ、えええ!? なんでぇ!?」
(クリニカの魔素が一気に枯渇した?)
ドーンがそう思った瞬間、城全体を揺るがす様な爆音が鳴り響き、天井からは大小織り交ぜた石が落ち始め、地震のように床が揺れた。
「これ……どういうこと?」
手のひらを見つめながら呟いたクリニカがハッと何かに気付く。
「これは……まさかあの魔法? まさか、まさか彼女が生きて……」
クリニカが眉を寄せ後ろを振り返る。
(なにか心当たりがある様じゃな)
(だがチャンスじゃ。あやつはレイドックの指輪を持っている。あれは所持者に無限に魔素を提供する。その前に)
「冥府、顕現」
両手を広げるドーンの背後から一切の光を遮断する、漆黒の闇が広がる。
「しまっ……これはヤバイわぁ!」
クリニカの視界が闇に閉ざされた。
いや視界だけではない。
匂いも耳も、皮膚の感覚さえ消え去った。
クリニカの上下左右の方向感覚が無くなった。
「もう一度、その素っ首撥ねてくれる。デスサイズ!」
ドーンの手の中に巨大な死神の鎌が現れた。
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