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悪事
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情報と感情がたくさん入り混じって藤堂は固まっている。
お前も犯罪者だ、はっきり言われるまで自分はただの一般人という感覚しかなかった。だから居心地が悪いと感じて
杏里たちや自分を切り離して考えていたのだが。
「ねえ、あの日どうして僕を抱いたん?」
勢いが弱くなった利休が聞いてくる。
「嫌いなら手ぇ出さんやろ?何考えてたの?僕男だし、酒の勢いとかは言い訳にならんよ」
少し背伸びをして顔を覗き込んでくる利休を押さえながら、藤堂は混乱している頭に手を当ててしばらく視線を宙に泳がせていた。
性別を越えて、中野に興味がありそうで自分に関心がなさそうだったのが腹が立って…。そんなことは恥ずかしくて言えない。
「お前綺麗だからな」
「顔はこんなんだけど、男だよ?」
怒りは収まったのか、今は不思議そうに顔をかしげている。
「僕の事キライ?」
「…好き…、だよ」
「えへー」
藤堂の心の葛藤など気が付かないように利休は顔をふにゃっとさせて笑った。
本当によくころころ感情が変わるなと妙に感心する。
「だからあ、難しい事考えないで楽しく生きよう。僕の短い人生にちょっとだけ付き合って」
「短い人生とか、そんな事言うなよ」
そういう事を言うから不安になって振り回されてしまう。
不安げな藤堂の腕を掴んで利休は歩き出した。
「どこ行くの?」
問いには答えず無言のまま利休は最初に危険フロアと説明していた階に藤堂を引っ張っていく。
入り口に立つ男に何か言って、ほとんど顔パスで暗いフロアに藤堂を誘導しながら入った。
「う…、」
粘膜を刺激する空気に藤堂は顔をしかめる。煙草の煙が密室に充満しているような異様な部屋だった。
広いフロアにいくつかのソファとテーブルはあるが、位置は乱れて、所々広い空間があり、しばらくすると裸の男女たちがそこで醜態を始めた。
「ここが杏里が入り浸ってるパーティ」
藤堂の手を離さず、適当な席を見つけて利休は座り、テーブルに置いてある茶色い巻き煙草や怪しい錠剤を確認していた。
「換気が最悪だな…」
煙にやられて目を指で押さえて座っている藤堂の横で、利休は煙草に火をつけてゆっくり吸い込んだ。
「なにそれ…、ちょっと…灰が落ちる」
自分に吸わせようとしてくる利休の腕を押さえながらソファの端に逃げる。火傷する前に煙草を奪い取ってやけくそ気味に吸いこんだ。
「……」
ソファに寝転んでいる藤堂の上に乗って反応を見ている利休が、落ちそうな煙草を取り上げて灰皿に置く。
「どお?」
「んー…」
おそらく大麻なんだろうが、変わった味だなと思ったが一口吸っただけではよくわからない。
ぼんやりしている間に利休は怪しげな錠剤をみせつけるように舌に置いて藤堂の口に近づいてきた。
さすがにそれは危険な気がして上にのしかかる体を押しのけようとしたが、慣れた手つきで口を閉じられないように指で押さえてキスで錠剤を口に入れてきた。
吐き出すことも出来ず舌で奥まで入れられて飲み込んでしまう。
肘をついてなんとか上半身を起こして、自分の上にまたがっている利休を睨むが、本人は涼しい顔をしている。
「これで共犯者やで」
にやりと笑って、利休はまるでお菓子のようにがりがりと錠剤をかじっていた。
赤やピンクのどきつい色をした錠剤。聞かなくても答えはわかる。
「そのうち日本でも流行るやろな」
誰に言うでもなく利休は呟く。
キスをせがむ利休に唇を奪われている間なんとか目を開けてまわりを見るとほとんどの人間が半裸で交わっている。
ぐらついた体をソファに預けて利休はふわりと笑っていた。
その頃には藤堂の頭も酒とドラッグが混ざり合ってまともな思考をはじき出せない状況になって、朦朧としている利休の上にまたがってベルトをはずしてズボンを脱いだ。
満足そうな利休は自分も下を脱いで足を広げる。
スリットから見える利休の足が藤堂の欲を煽った。
まわりに人がいるのも気にならなくなって藤堂はただ利休の顔を見ていた。
「なんであの夜俺を拒否しなかったんだよ。男なんだから本気で逃げようと思えば出来ただろう」
白い足を担いで利休に逆の質問をしてみた。
「わかんな…あ…、今と同じ……かんじ…」
いつもより力強く突き上げられて言葉の断片しか吐き出せない。
ソファからずり落ちそうだった体を強引に戻されて利休は激しく犯される。
「答えろよ」
「好きな…人じゃなきゃしないよ…っ…この鈍感」
涙目で睨んでくる利休の態度に加虐心に火がついた。藤堂も正気を失っていたかもしれない。
普段イク時とは比べ物にならない快感が全身に走り鳥肌が立つ。
「ああ…」
受け身の利休は自分より倍の快感を得ているはずで、絶頂を迎えると激しく痙攣した。
たまに混ざろうと近寄ってくる連中を遠ざける。まわりの連中はいつからここにいるのか、杏里のように暇な時間ここに来て遊んでいるのか、初参加の藤堂は仕組みはよくわからない。
「藤堂さん…」
利休の求めてくる声が媚薬のように藤堂に染みる。ろくな愛撫もしないままずっと後ろの穴を犯しているがいつもより絡みついてくるような感覚がして夢中に腰を振ってしまう。
本能のまま、これじゃ動物だ。
まだそんな事を思える状態までは保っていられたが、利休の理性はクスリと一緒に溶けて消えてしまったようだった。
藤堂の全てを吸い込もうとするように、両腕を背中にまわしてぎゅっと力を入れてきた。
お前も犯罪者だ、はっきり言われるまで自分はただの一般人という感覚しかなかった。だから居心地が悪いと感じて
杏里たちや自分を切り離して考えていたのだが。
「ねえ、あの日どうして僕を抱いたん?」
勢いが弱くなった利休が聞いてくる。
「嫌いなら手ぇ出さんやろ?何考えてたの?僕男だし、酒の勢いとかは言い訳にならんよ」
少し背伸びをして顔を覗き込んでくる利休を押さえながら、藤堂は混乱している頭に手を当ててしばらく視線を宙に泳がせていた。
性別を越えて、中野に興味がありそうで自分に関心がなさそうだったのが腹が立って…。そんなことは恥ずかしくて言えない。
「お前綺麗だからな」
「顔はこんなんだけど、男だよ?」
怒りは収まったのか、今は不思議そうに顔をかしげている。
「僕の事キライ?」
「…好き…、だよ」
「えへー」
藤堂の心の葛藤など気が付かないように利休は顔をふにゃっとさせて笑った。
本当によくころころ感情が変わるなと妙に感心する。
「だからあ、難しい事考えないで楽しく生きよう。僕の短い人生にちょっとだけ付き合って」
「短い人生とか、そんな事言うなよ」
そういう事を言うから不安になって振り回されてしまう。
不安げな藤堂の腕を掴んで利休は歩き出した。
「どこ行くの?」
問いには答えず無言のまま利休は最初に危険フロアと説明していた階に藤堂を引っ張っていく。
入り口に立つ男に何か言って、ほとんど顔パスで暗いフロアに藤堂を誘導しながら入った。
「う…、」
粘膜を刺激する空気に藤堂は顔をしかめる。煙草の煙が密室に充満しているような異様な部屋だった。
広いフロアにいくつかのソファとテーブルはあるが、位置は乱れて、所々広い空間があり、しばらくすると裸の男女たちがそこで醜態を始めた。
「ここが杏里が入り浸ってるパーティ」
藤堂の手を離さず、適当な席を見つけて利休は座り、テーブルに置いてある茶色い巻き煙草や怪しい錠剤を確認していた。
「換気が最悪だな…」
煙にやられて目を指で押さえて座っている藤堂の横で、利休は煙草に火をつけてゆっくり吸い込んだ。
「なにそれ…、ちょっと…灰が落ちる」
自分に吸わせようとしてくる利休の腕を押さえながらソファの端に逃げる。火傷する前に煙草を奪い取ってやけくそ気味に吸いこんだ。
「……」
ソファに寝転んでいる藤堂の上に乗って反応を見ている利休が、落ちそうな煙草を取り上げて灰皿に置く。
「どお?」
「んー…」
おそらく大麻なんだろうが、変わった味だなと思ったが一口吸っただけではよくわからない。
ぼんやりしている間に利休は怪しげな錠剤をみせつけるように舌に置いて藤堂の口に近づいてきた。
さすがにそれは危険な気がして上にのしかかる体を押しのけようとしたが、慣れた手つきで口を閉じられないように指で押さえてキスで錠剤を口に入れてきた。
吐き出すことも出来ず舌で奥まで入れられて飲み込んでしまう。
肘をついてなんとか上半身を起こして、自分の上にまたがっている利休を睨むが、本人は涼しい顔をしている。
「これで共犯者やで」
にやりと笑って、利休はまるでお菓子のようにがりがりと錠剤をかじっていた。
赤やピンクのどきつい色をした錠剤。聞かなくても答えはわかる。
「そのうち日本でも流行るやろな」
誰に言うでもなく利休は呟く。
キスをせがむ利休に唇を奪われている間なんとか目を開けてまわりを見るとほとんどの人間が半裸で交わっている。
ぐらついた体をソファに預けて利休はふわりと笑っていた。
その頃には藤堂の頭も酒とドラッグが混ざり合ってまともな思考をはじき出せない状況になって、朦朧としている利休の上にまたがってベルトをはずしてズボンを脱いだ。
満足そうな利休は自分も下を脱いで足を広げる。
スリットから見える利休の足が藤堂の欲を煽った。
まわりに人がいるのも気にならなくなって藤堂はただ利休の顔を見ていた。
「なんであの夜俺を拒否しなかったんだよ。男なんだから本気で逃げようと思えば出来ただろう」
白い足を担いで利休に逆の質問をしてみた。
「わかんな…あ…、今と同じ……かんじ…」
いつもより力強く突き上げられて言葉の断片しか吐き出せない。
ソファからずり落ちそうだった体を強引に戻されて利休は激しく犯される。
「答えろよ」
「好きな…人じゃなきゃしないよ…っ…この鈍感」
涙目で睨んでくる利休の態度に加虐心に火がついた。藤堂も正気を失っていたかもしれない。
普段イク時とは比べ物にならない快感が全身に走り鳥肌が立つ。
「ああ…」
受け身の利休は自分より倍の快感を得ているはずで、絶頂を迎えると激しく痙攣した。
たまに混ざろうと近寄ってくる連中を遠ざける。まわりの連中はいつからここにいるのか、杏里のように暇な時間ここに来て遊んでいるのか、初参加の藤堂は仕組みはよくわからない。
「藤堂さん…」
利休の求めてくる声が媚薬のように藤堂に染みる。ろくな愛撫もしないままずっと後ろの穴を犯しているがいつもより絡みついてくるような感覚がして夢中に腰を振ってしまう。
本能のまま、これじゃ動物だ。
まだそんな事を思える状態までは保っていられたが、利休の理性はクスリと一緒に溶けて消えてしまったようだった。
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