短編まとめ

ちゃあき

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撮るならきみ(恋愛R18)

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 やわやわと未恩くんの大きな手が乳房を揉む。その内服の上から胸の飾りを探し出して、指先でそこをもてあそびはじめた。

 身体の奥に知らない感覚が湧き起こって、彼の太腿を跨ぐ脚が震える。
 怖いようなきもちわるいような、不思議な感覚だった。

「あ、ぁ……それ…….」
「嫌か?」
「……ん、分から、な……」
「そう?」

 セーラー服の裾から手が中へ入ってきた。背中を支える手でブラのホックを外して、緩んだアンダーから入った掌が直に乳房に触れた。
 先程弄った胸の頂を今度は摘んで、指先でぐりぐりと転がし始める。

「…ひゃ、あ……ぁ……」

 知らない刺激と未知の感覚に、今度は生理的な涙がまなじりに溜まる。乳首を刺激されるたび甘えた声が漏れて、恥ずかしさから逃げ出したくなる。しかし腰に回された腕が力強くて、動けないまま彼の好きなように翻弄されてしまう。

「あんッ…みぉ、く……や……」
「ひな? ひなの身体、見てもいい?」
「….あ、あぁ……え……!?」

 未恩くんががば、とセーラーふくをたくし上げ、裸の胸が露わになった。そこへ今度は唇を寄せた。ちゅと吸いつかれ、舌にくすぐられてお腹の奥に甘い鈍痛が走る。

「あ、やぁ……へん、はぁ、あぁぁ……」

 片方を舌と唇で、もう一方を指で愛撫され、背中がびくびくと震えてしまう。崩れそうになりながら彼の肩に捕まり懸命に耐える。

 ふいに身体を浮遊感が襲う。抱き上げられたのだと分かった。

「向こう行こう」
「ん……?」  

 立ち上がる彼の首にしがみついていると、運ばれて寝室のベッドの上に下ろされた。
 未恩くんもベッドにのぼって、そのまま白いシーツの上にどさりと押し倒された。

 涙でぼやけた視界に未恩くんを見上げる。
 笑って髪を撫でてくれて、こんなに近い事に胸がきゅんとなる。

「好きだよ、ひな。ずっと好きだった」
「……なんで?」

 萌華ちゃんがいるのに、と言うと未恩くんはモカは関係ないだろと苦笑いした。

「モカちゃんの方が、可愛いし」
「顔?まぁ世間的にはな」
「スタイルもいいし、む……胸もだし……」
「別に巨乳だから好きになるとかないよ」

 貧相な裸の胸を晒してから言う事じゃなかったけど。未恩くんは冗談めかして笑ってくれた。

「いっぱい喋るし」
「ひなは聞き役だもんね。昔から」
「……そう?」
「うん。……だから、何考えてんのかな~って考えながらひなの事見てた」

 そうやって気にして見てたから、好きになったんじゃないの。むしろもう好きだったから見てたのかも。

 未恩くんがそう言った。短い文章に好きが2回も入っていて、うれしさと恥ずかしさでまた赤面する。

「俺、撮るならひなを撮りたい。今こうしてる所もできれば映像に残したい。……でも、誰にも見せないけどね」

 俺だけのにする、と言って未恩くんはくすくす笑う。
 少し涙が出てくる。うれしさからか興奮のせいか分からない。

「悲しくて泣いてる?」
「……ち、ちがう……」
「じゃなんで?」
「分かんない……はじめてなった」
「まだ続き、していい?」
「……うん」

 いいよと言うと、太腿の隙間に片手が入って下着の上から花弁のあわいをそっと撫でる。ぐちゅと音がして、下着が張りつく不快感をおぼえた。

 布越しに指がそこを行き来する。そのたびくちゅくちゅと濡れた音がして顔が熱くなる。

 下着をずらし指がその間に入ってきた。花弁の隙間をぬるりと辿って、花芯を見つけ指先で摘んでもてあそぶ。
 その瞬間、身体に電流が走るような感覚をおぼえて視界がちかちかと点滅した。

「……ひゃ!? あ、あぁ……あ…」

 驚いて身体を引いて逃げようとすると、空いた手で腰を引き寄せられた。
 敏感なそこをまたぬるぬる指先で撫でられる。その度に腰がびくびくと震え、まだ閉じた花弁の奥からじわりと愛液がにじんだ。

「あ、やめ……やぁ、はなし、て……あぁぁ……」
「大丈夫だよ」
「……だめ、や、何か……やぁぁ、やめ、やだ……あぁあ!」


 ぐり、と指先でそこを擦られ、大きくのけぞって痙攣した。意識がちかちかして、身体の自由がきかない。それでもまだそこをいじられるから、しばらく続けて絶頂しカクカクと腰が震え続けた。

「あ、あぁあ……ゃら、やめ……や、ぁんッ……」
「可愛い」
「んッ、やぁ、も……やら……やめ……」

 力の入らない手で、悪戯を続ける彼の手を懸命におしかえす。するとようやく刺激がとまって、大きく息をつくと未恩くんが覆い被さってキスをしてくれた。

「こうなったのはじめて?」
「はぁ……うん……」
「イけたね」
「いまの……?」
「そう」
「あ……!」

 油断していたら、止まったと思った指が今度は花弁のあいだを割ってその奥にまで入り込んできた。
 そこに何かを感じたのははじめてだけど、濡れてぬるぬると中で指がすべるのが分かる。

 ぐるりと円を書くように、中を広げながら奥へと指が入り込んでくる。

「あ、ぁあ……」

 中指が根元まで入って、中の壁をさぐる。指の腹の摩擦をにぶく感じた。ゆるく抜き差ししながら壁を広げて、中の感覚をたしかめていく。






 大きく呼吸しながら違和感に耐えていた。
 指がある所をざらりと掠めた時、今までと違う感覚をおぼえて背中がぴくとふるえた。

「…え、ぁ……!?」
「ここ?」
「や……ゃ、待っ…あぁ…」

 そこを優しく、指の腹ので押したりなでたりされる。仕草は優しいのに背筋があまく痺れて、また意識がぼんやりしてしまう。
 怖くなって腰を引くけど、未恩くんの片手が太腿を掴んで離さないままでいた。

「あ、ぁあっ……未恩く……そこ、へん……だから」
「変じゃないよ、可愛い」
「待っ……まっ、て……ゃ、おかし……」
「おかしくなってよ?」

 指がいつのまにか二本に増えていた。抜き差しされながら中の弱い所を擦られる。
 じゅぶ、ぐちゅ、と粘液が泡立つ音がして、ピストンされるたびにどんどんそれが滲んで、溢れていくのがわかる。

 追い上げられて、また腰が揺れて、さっき初めて知ったあの感覚がまた背筋を這い上っていく。

「ぁ、あ!みぉ……も……」
「好き、ひな。イって?」
「あ、ぁああぁー……ッ!」

 びゅと指の隙間から潮が飛び出た。先程より激しく痙攣して、抽送されるたびぽたぽたと透明な雫がこぼれ落ちてくる。
 身体の芯が痺れて、まだ止まらない指に翻弄されるまま、襲って来る快感に身を任せて腰を震わせる。

「あっ、あ……や!?やぁ、なに……ぁ、こわ、みぉ…….く……」

 頭が痺れて言葉もしどろもどろだった。その様子を見て彼がくすりと笑う。
 羞恥と快感でまだ中にあった指をきゅんと締め付けた。

「きつくなった」
「あ……ぇ……!?」
「イくのすき?」
「……んん……」
「ごめん」

 セクハラだなと笑って未恩くんが中から指を引き抜いて、濡れた下着を下ろされた。

 未恩くんはベッドサイドの引き出しからゴムの袋を取り出した。パッケージを破って、自分のスラックスの前をはだけてそれをつける。

「何であるのかは聞くなよ」
「……え、あはは……」

 もうお前にしか使わないからと言って、太腿を掴んで引き寄せる。指が抜けたそこに、さっきとは違う硬さを感じた。

「あ、未恩くん……」
「いい?いやならもうしないから」
「……ううん、いいよ」

 未恩くんの腕に捕まると、それに力をかけて中に割り入ってきた。先ほどの比じゃない圧迫感に息が詰まる。眉を寄せて耐えていたら、片手がまた花芯に戻って指先で優しくくすぐられる。

 苦痛と快感がせめぎ合って、離した片手でまくらを握りしめた。 

「……ぅ、んっ……!」
「大丈夫? やめる?」
「……あ、や、やめないでっ……」

 ぐっと深く腰を押し込まれて、ようやくそれの動きが止まった。
 未恩くんを見上げる。未恩くんも苦しそうだ。さっきまでの意地悪な笑いをやめて、余裕がなさそうに見える。

「未恩くんも苦しい?」
「……ちょっとね、きつくて」

 出そうではある、と少し腰を揺らして中の具合を確かめた。
 ぐち、ぐちと中を広げて抽送がはじまる。だんだんと痛みや苦しさとは違う感覚をそこに感じるようになってきた……。

「あ、はぁ……あぁ、ぁ……」
「痛い?」
「ん……も、ない……だいじょぶ、ぁあ…」

 身体を揺らす動きは優しいけど、大きくなって、中を擦られるたびに意識が朦朧としていく。身体の奥で甘い痛みにも似た快感が生まれては、その花弁から溢れてこぼれてくるみたいだった。

「み、お……くん、ぁ、あ……」
「掴まって」

 姿勢を倒してくれた未恩くんの首に、腕をまわしてしがみついた。すぐ耳元で荒い呼吸が聞こえて、背筋に悪寒に似た甘い痺れがはしる。

「あ、あぁーなんか……また……」
「イけそう?」
「わかんな……あ、あ——……ッ」

 律動が早まって中を出入りするそれの刺激が増して、否応なしに煽られていく。
 未恩くんはわたしの腰を持ち上げて、奥にぐりぐりとその先を押し当てた。その瞬間、またあの落ちていくような脱力感に包まれて、代わって襲ってきた快感に結合部の隙間から潮が飛び出した。

「あ、ぁあ……ゃ、や……っあぁぁ……」

 ビクビク震える私の身体の奥で未恩くんが震えて、薄い皮膜のむこうに欲望を吐き出すのがわかった。










————「ひな、ひな?」
「……なぁに」

 ゆっくり瞼を開けると、未恩くんがわたしのとなりに寝そべっていた。私はまだ服が脱げたままで、慌ててセーラー服を引き下ろすと彼が笑った。

「こっちきて」
「ん……?」

 彼の腕の中に抱き寄せられて、またキスをした。涙の味はもうしなくて、他の味もしないのに甘かった。

「俺が出ていくの嫌だった?」
「……うん……」
「俺、出て行かないけど」
「……え!?」

 驚いて大きな声をあげてしまった。未恩くんの身体が震えている。笑っているのだ。わたしは訳が分からなくて、腕の中から彼を見上げた。

「何でそう思ったの?」
「モカちゃんのママが未恩くんがそう言ってたって」
「モカのお母さん……? そういえば、俺の両親も亡くなって随分経つから、服とか貴金属とかそろそろ本格的に処分しないとなって話はしたよ」
「この家じゃないの?」
「違うよ。俺が借りてる部屋は、資料とか機材で寝る場所もないもん」
 
 何て言っていいのか分からなくて、勘違いが恥ずかしくて俯いてしまう。未恩くんはまた調子に乗ってきて楽しそうにわたしをからかう。

「しかも俺の部屋、そこの駅から出てる〇〇線で一駅だし、駅から徒歩5分のマンションだよ」
「……うぅ」
「引っ越しても15分だよ」
「未恩くん」
「遊びにくる?今度」

 もうしらない! とまた胸をたたいたけど、やっぱりびくともしなかった。未恩くんはいつもの余裕顔に戻って、にやにやしながら私を見ている。

「だって黙ってたらついてくるかなと思って」
「ひどいよ……」
「ごめん。でも可愛かったもん、泣いてるの」
「きらい!」
「ひな? あのね、あっちの部屋なら機材があるから、そしたらひなを撮ろう?」
「…あっ、えっ!?」
「大丈夫だよ、誰にも見せないから」

 そう言って、未恩くんはまた笑ってわたしの頭を撫でてくれた。
 彼の部屋に遊びに行ったら何が起こるのか、わたしは今からすこしこわいのだった。




fin.



初出 2020.12.13
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