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シーザリア王国
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両側を岩壁に阻まれた、深き渓谷に布陣している
ラーラント軍の頭上には、透き通るような青い空と
翼を広げた、一匹の白い小竜が飛翔している。
「ぎゃあ、ぎゃあ」
そこは、土埃が舞い上がらんとする、戦場だった。
ラーラント王国の隣国で、その唯一の敵対国である大国シーザリア。
帝国滅亡とともに引き裂かれた、エリサニア帝国の継承者である
4つの国を巻き込んだ、2つの勢力の雌雄を分かつ戦いは
はるか幾世代に及ぶ、1000年戦争と呼ばれ
戦いは、空にある星の数の様に、数え切れないほどに達していた。
「怯むな、同胞よ! ラーラントのラヒニを護る我らに、1000年に渡り
このステリオ渓谷で、勝利の女神アステリアスは、微笑み続けてきた!」
重厚な戦列を組む、自軍の前を馬にまたがり一人の若者が駆け抜けていき
その真ん中で、たずなを引き、馬を制し、騎乗したまま立ち止まる。
「なぜか! 我らには最も古き火の精霊との盟約の元にある
火の巫女と魔道師達がいるからだ!」
腰に剣をさした騎士は白銀の大盾を持ち、背中には青いマントをひるがえし
全身に盾と同じ、白銀の鎧を纏っている。
若者に向かって、決戦に望む、名も無き無数の勇者達による
大地を震わすような、地鳴りが響く。
「ベルナルド王子万歳! 我らのアウグスト王に栄光あれ!」
「うおおおおおおおおおおおおっ」
自軍の勇敢さが溢れる、決意の雄たけびをきっかけに、再び馬を走らせ
ベルナルド王子は、自らが率いる国王親衛隊に戻っていく。
その背中には、先ほど手に持っていた王国を守護する、火の精霊像が刻まれ
魔法により祝福された、まばゆいばかりの、巨大な白銀の盾を背負っている。
「1000年に渡る、我らシーザリアの悲願は何か!
エリサニア帝国、帝都であったラヒニ奪還と帝国復活のため
その中心となるエリサニアの統一である」
大国シーザリアの国境線を超え、ラーラント王国の
王都ラヒニへの、最短ルートである渓谷は
ラーラント東方の、オルトザル山脈から生じて
領内を縦断しつつ、恵みをもたらす、大河ヴィーズの出口ともなっている。
軍事力において劣勢な、ラーラントは、ミストラル公国と同盟を組み
この自軍に有利な隘路で、1000年に渡り大国の侵入を阻止してきた。
渓谷はラヒニに向かい、緩やかな傾斜のまま高台になっていき
川沿いに狭くなっており、そこにシーザリア軍の動きを察知し
重厚な壁のような隊列を組んだ、ラーラント軍が先に待ち受けていた。
敵軍と向かい合い、同じように重厚な隊列を組んでいる
シーザリア軍の前を、全身を漆黒の鎧に包まれている
騎乗の男が駆け抜け立ち止まる。
「エリサニア継承国の中で、最強のわが国にあるのは突撃のみである。
姑息な手をもちいたところで、エリサニアを再統一し
広大なラシアル大陸に、帝国の再びの栄光を、蘇らせることができようか」
漆黒の鎧を纏った、騎乗の男の呼びかけに
シーザリア軍の各部隊指揮官の中から賛同者が
兵士に促し、答える事を促す様に、自らの意思で叫んだ。
「ヴェサリウス王に続けえっ!死を恐れるな、恐れるべきは
掲げた理想を失う事だ」
「うおおおおおおおおおおおおおっ」
「そうだあ~!」
「シーザリアに栄光あれえ!」
「ここで、決着をつける!」
「王と、供に戦うぞ!」
「我らが姫さまを、お護りするんだあ!」
各部隊の指揮官からの叫びに、呼応するかのように少し遅れて
地響きのような、うなり声が一斉にシーザリア軍全体から巻き起こり
答えるかのように、漆黒の鎧に身を包んだ、シーザリアの君主である
ヴェサリウス王は、背中に背負った、巨大な漆黒の盾を手に持ち、軍の正面に掲げる。
「風の精霊メルキルの祝福と守護が、皆とともにあらん事を!」
黒き王が掲げた漆黒の盾には、風の精霊メルキルの像が刻まれている。
高く掲げた盾を降ろした、王の傍には
同じく、馬に乗り、漆黒のフード付マントを来た
若い女性の魔道師に続いて
護衛の親衛隊長と、年老いた魔道師が揃って、王に近づいていく。
「援護はまかせたぞ、風の巫女(プリステス)ラーシャ、我が姫よ」
「国王陛下、ラーシャらに、後は全てお任せください」
「では、王よ、盾をお渡し下さい」
「うむ」
風の巫女と呼ばれた若き姫は、傍に従っている馬上の親衛隊長に目線を送ると
重量感ある巨大な大盾を、王から隊長が引き取る。
「では、戻りましょう、マージナス、スフィルオル」
「はっ! 姫様」
「では、参りますかの、姫様」
風の巫女ラーシャに従っている親衛隊長と年老いた魔道師は
共に、自らがいるべき後方へと、足で合図を送り、馬を巧みに、走らせて戻っていく。
黒き鎧の王が、待ち構えている、ラーラント軍を正面に見据えると
決戦の開始を告げる号令が下される。
「敵の中央を正面から食い破る、それこそ帝王への道なるぞ、全軍突撃!」
「うおおおおおおおおおおおおおお」
「いくぞ~~~~~~~~~」
「敵を倒せ~~~~」
王の号令と同時に、進軍のラッパが全軍に鳴り響き、渓谷には兵士達の
足音が無数に響き渡る。
「今こそ、1000年の止まった時を動かすときが来たのだ!」
馬上にまたがり、戦いの始まりを告げた
黒き鎧の王は、その場に留まったまま、陣頭指揮をするために
兵士達が突き進んでいく、光景を自軍の背後から冷静に見守っていた。
ラーラント軍の頭上には、透き通るような青い空と
翼を広げた、一匹の白い小竜が飛翔している。
「ぎゃあ、ぎゃあ」
そこは、土埃が舞い上がらんとする、戦場だった。
ラーラント王国の隣国で、その唯一の敵対国である大国シーザリア。
帝国滅亡とともに引き裂かれた、エリサニア帝国の継承者である
4つの国を巻き込んだ、2つの勢力の雌雄を分かつ戦いは
はるか幾世代に及ぶ、1000年戦争と呼ばれ
戦いは、空にある星の数の様に、数え切れないほどに達していた。
「怯むな、同胞よ! ラーラントのラヒニを護る我らに、1000年に渡り
このステリオ渓谷で、勝利の女神アステリアスは、微笑み続けてきた!」
重厚な戦列を組む、自軍の前を馬にまたがり一人の若者が駆け抜けていき
その真ん中で、たずなを引き、馬を制し、騎乗したまま立ち止まる。
「なぜか! 我らには最も古き火の精霊との盟約の元にある
火の巫女と魔道師達がいるからだ!」
腰に剣をさした騎士は白銀の大盾を持ち、背中には青いマントをひるがえし
全身に盾と同じ、白銀の鎧を纏っている。
若者に向かって、決戦に望む、名も無き無数の勇者達による
大地を震わすような、地鳴りが響く。
「ベルナルド王子万歳! 我らのアウグスト王に栄光あれ!」
「うおおおおおおおおおおおおっ」
自軍の勇敢さが溢れる、決意の雄たけびをきっかけに、再び馬を走らせ
ベルナルド王子は、自らが率いる国王親衛隊に戻っていく。
その背中には、先ほど手に持っていた王国を守護する、火の精霊像が刻まれ
魔法により祝福された、まばゆいばかりの、巨大な白銀の盾を背負っている。
「1000年に渡る、我らシーザリアの悲願は何か!
エリサニア帝国、帝都であったラヒニ奪還と帝国復活のため
その中心となるエリサニアの統一である」
大国シーザリアの国境線を超え、ラーラント王国の
王都ラヒニへの、最短ルートである渓谷は
ラーラント東方の、オルトザル山脈から生じて
領内を縦断しつつ、恵みをもたらす、大河ヴィーズの出口ともなっている。
軍事力において劣勢な、ラーラントは、ミストラル公国と同盟を組み
この自軍に有利な隘路で、1000年に渡り大国の侵入を阻止してきた。
渓谷はラヒニに向かい、緩やかな傾斜のまま高台になっていき
川沿いに狭くなっており、そこにシーザリア軍の動きを察知し
重厚な壁のような隊列を組んだ、ラーラント軍が先に待ち受けていた。
敵軍と向かい合い、同じように重厚な隊列を組んでいる
シーザリア軍の前を、全身を漆黒の鎧に包まれている
騎乗の男が駆け抜け立ち止まる。
「エリサニア継承国の中で、最強のわが国にあるのは突撃のみである。
姑息な手をもちいたところで、エリサニアを再統一し
広大なラシアル大陸に、帝国の再びの栄光を、蘇らせることができようか」
漆黒の鎧を纏った、騎乗の男の呼びかけに
シーザリア軍の各部隊指揮官の中から賛同者が
兵士に促し、答える事を促す様に、自らの意思で叫んだ。
「ヴェサリウス王に続けえっ!死を恐れるな、恐れるべきは
掲げた理想を失う事だ」
「うおおおおおおおおおおおおおっ」
「そうだあ~!」
「シーザリアに栄光あれえ!」
「ここで、決着をつける!」
「王と、供に戦うぞ!」
「我らが姫さまを、お護りするんだあ!」
各部隊の指揮官からの叫びに、呼応するかのように少し遅れて
地響きのような、うなり声が一斉にシーザリア軍全体から巻き起こり
答えるかのように、漆黒の鎧に身を包んだ、シーザリアの君主である
ヴェサリウス王は、背中に背負った、巨大な漆黒の盾を手に持ち、軍の正面に掲げる。
「風の精霊メルキルの祝福と守護が、皆とともにあらん事を!」
黒き王が掲げた漆黒の盾には、風の精霊メルキルの像が刻まれている。
高く掲げた盾を降ろした、王の傍には
同じく、馬に乗り、漆黒のフード付マントを来た
若い女性の魔道師に続いて
護衛の親衛隊長と、年老いた魔道師が揃って、王に近づいていく。
「援護はまかせたぞ、風の巫女(プリステス)ラーシャ、我が姫よ」
「国王陛下、ラーシャらに、後は全てお任せください」
「では、王よ、盾をお渡し下さい」
「うむ」
風の巫女と呼ばれた若き姫は、傍に従っている馬上の親衛隊長に目線を送ると
重量感ある巨大な大盾を、王から隊長が引き取る。
「では、戻りましょう、マージナス、スフィルオル」
「はっ! 姫様」
「では、参りますかの、姫様」
風の巫女ラーシャに従っている親衛隊長と年老いた魔道師は
共に、自らがいるべき後方へと、足で合図を送り、馬を巧みに、走らせて戻っていく。
黒き鎧の王が、待ち構えている、ラーラント軍を正面に見据えると
決戦の開始を告げる号令が下される。
「敵の中央を正面から食い破る、それこそ帝王への道なるぞ、全軍突撃!」
「うおおおおおおおおおおおおおお」
「いくぞ~~~~~~~~~」
「敵を倒せ~~~~」
王の号令と同時に、進軍のラッパが全軍に鳴り響き、渓谷には兵士達の
足音が無数に響き渡る。
「今こそ、1000年の止まった時を動かすときが来たのだ!」
馬上にまたがり、戦いの始まりを告げた
黒き鎧の王は、その場に留まったまま、陣頭指揮をするために
兵士達が突き進んでいく、光景を自軍の背後から冷静に見守っていた。
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