最強の魔道師に成り上がって、人気者のアイドルをやってるんですけど、燃え尽きて死んじゃうぐらいやらないとダメな前のめりな性格なんです。

ちちんぷいぷい

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騎士

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王の号令の下で、馬に乗って集結した
少数精鋭の騎士達は魔法と弓による遠距離からの
狙い澄まされた攻撃を最も警戒しながら
後方を馬で駆け、自軍が劣勢になっている場所で
馬から降り、剣を勇敢に振って、味方の兵士の支援をしながら
戦うべき時が必ず来る事を信じて待ち続けていた。

アウグスト王が騎士の象徴である剣を抜き去り、尖端で正面を示す。

「敵兵は追うな、正面からくる騎兵の突進を阻止せよ!」

鋭い槍のように、縦長の2列に並んだ縦列を組んだ
馬に乗る騎士達が速度を上げながら果敢に突進していく。

槍と盾を持っている多数の騎士達のうち
何人かは槍先につけた紋章が描かれた軍旗を
向かい来る風に、強くはためかせ
敵に見せ付けるように、馬に乗ったまま
天に向かって誇らしげに掲げて突き進む。

縦に長い列を組んだ騎士達の先頭で
剣と盾を持っている騎士が横に並んで2人いて
黄金の鎧を纏(まと)った、ラーラント王アウグストが右側に
左側には騎兵隊長である白銀の鎧の王弟ガリバルドが
騎士達を率いている。

勢いに乗り、なだれ込んで来た圧倒的多数の敵兵に向かって
破れた城門から決死の覚悟で討って出るかのように
馬に乗ったままの騎士達は凄まじい突進をみせつけながら
逃げ遅れた敵兵にぶつかると速度に乗っている
重量感溢れる軍馬で、力づくで正面から跳ね飛ばし突き進む。
縦に並んで続々と迫り来る強靭な軍馬の馬脚に
踏みしだかれた敵兵は足蹴にされ
その場で苦しそうに喘(もが)いた後、しばらくして動かなくなる。

騎士達が全身を鎧で身を固めて、重武装し
軍馬に騎乗して突進してくる
騎兵を相手にするのは、分が悪いとみた敵兵の多くは
突進を避けるようにして、ベルナルド達が布陣している
ラーラント軍の最後方へと向かってなだれ込んで行く。

押し寄せている敵の厚い壁を切り裂いて
誰もそこには居ないかのように突破すると
正面に敵の騎兵を見据えた王は
馬を走らせながら、騎乗したまま
手に持つ剣を天に向かって突きたてる。

高く掲げられた剣を確認した
騎兵達はアウグスト王と王弟ガリバルドを隊列の底にし
翼を広げ、敵を逃さないよう、
左右から包み込むような隊形に変化させ
正面の敵に向い、突き進んでいく。

先ほど後(うしろ)にし、駆け抜けた
ラーラント軍の戦列は中央から完全に崩壊しており
立て直す事はもはや不可能になっている。

足の速い騎兵の突破まで許してしまえば
自軍の崩壊は早まり撤退はさらに困難になってしまう
ラーラント軍のため騎兵達は正面から敵の騎兵達に激突し
決死の覚悟で、突進を食い止めなければならない。

「突き進めえっ、勝利は我らの目前だ!」

頑強な城門を破城槌(はじょうつい)で、打ち破るように
ラーランド軍の中央を粉砕して、突破口を開き奥に
なだれ込んで行った、自軍の兵士達の後を追うかのように
シーザリア王、ヴェサリウスを中心に
取り囲むように隊列を組んだ
漆黒の鎧に身を固めた騎兵達は
挑んできた正面の敵で、エリサニアで最強の
ラーラントの騎兵に向かって
騎士らしく臆することなく突進を開始すると、瞬く間に速度を上げていく。

互いに譲れない決意を競うように速度を上げたままの
騎兵同士が、正面から交差するように激突すると
槍で突かれた敵味方の騎士達が互いに落馬する。
盾と鎧で身を固めた騎士達は
致命傷は受けておらず、その場で立ち上がり
周囲を見回すと、同じように落馬した
近くにいる敵の騎士に向かって
剣を抜き果敢に立ち向かっていく。

「ガルバルド公っ!」

激戦の中、先ほど倒した敵の反撃で切りつけられ
負傷している王弟ガリバルドをラーラントの
何人かの騎士達が見つけると、その身を案じ
次々と駆け寄ってきて、周囲を見渡しながら
剣を構えて、警戒するように敵から護り抜こうとする。

「公を、ここで失う訳にはいきません」

ガルバルドは騎兵隊長の座を譲っていた
ベルナルドが王の命で、親衛隊に移ってからは
騎兵隊長に再び返り咲いていた。
公はシーザリアの前に敗戦が続いて
内心ではかつての自信と勢いを失いつつある
貴族が多くを占める騎士達の頼れる相談役でもある。

「ここは、私が!」

ガリバルドの周囲で警戒する騎士の一人が
誇り高さを示すように複数の騎士を前に
一人で襲いかかってきた敵に味方の騎士を制して
一騎打ちで、真っ向から立ち向かう。

今回の決戦での魔道師の魔法だけでなく
騎士の頑強な鎧さえ刺し貫く
強力な威力を持つ、騎兵を阻止するために
特別に作られた魔法の矢を放てる
大弓の発達のせいもあって
戦場の主役は騎兵ではなくなってきつつあり
騎士同士が名誉と誇りをかけ、真っ向から戦う事は
ガリバルドの若い頃に比べれば少なくなっている。

「ぬうっ、見つけたぞ、アウグスト!
その命、今ここで貰い受けるぞ!」

王国をその手で護り続けてきた
騎士の意地を互いの見せ付け、騎兵同士が真正面から
ぶつかり合う激戦の中、漆黒の鎧を纏った王が黄金の鎧の王を
鋭く黒き瞳で見つけると、あっと言う間に馬で駆け寄り
近づくと馬から降りて、剣を構えて好敵手を睨み付ける。

「ヴェサリウス、ここは通さんぞ」

同じように馬から降りたアウグスト王に
ヴェサリウス王は手に持つ剣で、鋭く切りかかるが
アウグスト王は、その渾身の一撃を負けじと
力強い剣で受け止めて、なんなく押し留める。

「ぬかせアウグスト、1000年に渡る戦いの勝利は、シーザリアのものぞ」

貴族だけでなく、抜きん出た強さを誇り選ばれた勇士も
加わっている周囲で斬り合う騎士達と同じように
王の剣は何度も交わり、目の前で、無数の火花を散らし
騎士達の名誉と誇りをかけた、一歩も譲ることの出来ない激戦は
熱を帯びていくが、ステリオ渓谷を吹き抜けていく風は冷たさを増していく。
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