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責任
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ガリバルドと従う貴族達は
ラッセルが、ちょうど、気にかけてしまった
全軍の指揮を取る上で、避けては通ることは
できない難しい話を切り出した。
まずは明るい話題をしながら
どこかで、話をしたいとは思っていたのだろう。
「ところで、巫女殿のご様子が、かんばしくないようだが……」
ガリバルドは、手に力を入れ、掴んでいた
手綱を握り締めると、顔をうつむけた。
「まさか、このような、結末になろうとは……」
「まことに、我らが力のなさが情けない」
「戦いの前は、我らを励ますほどであったのに……」
貴族達も、ガリバルドに同調するように
顔を上げ続けることができなくなって、うつむけてしまう。
巫女同士の戦いに勝利したはずが
予想外の結末に、肩を落とさざるを得ないのだ。
「戦いに望む前に、無茶を諌めるべきであったのであろうか」
「公のせいではありません!」
「己を責めても、しょうがない、我らとて…… くっ」
「結果論にすぎませんぞ!」
「……」
勝利したとはいえ、ここに来るまでに
死骸となっている、大勢の兵士達の変わり果てた
姿を見せ付けられている。
ラーラントは王族や貴族が
先頭に立って戦い、民衆は守られるべき存在と考えている。
戦いに参加した、民衆である兵士達が、大勢死ぬのは
不手際であって、責任は感じざるを得ない。
「巫女殿だけでなく、負傷しておる兵士も大勢おるのだ……」
「お迷いなさるな!」
「我らが、ついておりますぞ」
「ここは、正直になるべきかと」
「……」
例え、死んだ者の立場が契約しているだけの傭兵で
あったとしても、一切関係はない。
綺麗ごとではなく、戦場で、命がけで戦い抜き
王から契約で、任されている領地を見事に
治めて来た者達だからこそ、自然と身についている感情だ。
大貴族ともなれば、役割を務めてきた
時も長く、世代を超えて引き継いできたものでもある。
実際の困難を乗り越え、豊富な経験した上での
感情があるので、物事を、どちらかに、簡単には割り切れない。
「命は間違っておるのかもしれん、だが」
後方で、起きていた、全ての事を聞いていた上で
ガリバルドは助かる見込みがないかもしれない事を知っていて
それでも、ソフィアを、第一に考えて
戦いの後始末を行うように指示を下していた。
「公、我らも、同じです」
「なぜなのか、納得はできませぬ」
「不満な兵士達もいるだろうが、しかし……」
「……」
戦場での厳しさや、つらさを何度も経験してきた
ガリバルドや貴族達がそれでも
気持ちを、明るくしようとしてもできない
理由は考え込んでいたラッセルと、やはり同じだった。
ソフィアを救いたいのだろう。
そうでなければ、ラッセルだけでなく
ラスマールに、頭ごなしに命令さえすればいいのだ。
助かりそうもない
ソフィアの事も、あきらめて
助かりそうな者から、優先して手当てしろと。
しかし、それは今の所ないようだ。
なぜなら、ガリバルドと、貴族達も
おかしいと判断をしているからだ。
「私は、誤っていても、巫女殿に拘りたいのだ」
「間違っているなどと!」
「そうされるのが、よろしい」
「気持ちは、我らも同じ」
「……」
どう考えても、助かるとは思えない者よりも
助かる見込みのある大勢を
助けるべきなのが全軍を指揮するのなら、当然だ。
決断を、変えるつもりはないのだろうが
ガリバルドは、素直な感情と
理屈で考えた、命令の間で、思い悩んでいる。
「わかっておる、ここは皆に我慢してもらう」
「責めがあるなら、我らも、おいましょう」
「死ぬときは同じですぞ」
「立てた、誓いを忘れては、おりませぬ」
「……」
誓いとは、騎士達が交わした
生死を供にする約束だ。
ラッセルは
ガリバルドと貴族達のやり取りを
黙って聞いていた。
「……」
今回の戦いで、目立った功績を立てた者が
自分達と同じ立場をとっている。
全軍の指揮を任されている立場だ。
既に決断を下していることからも
ラッセルに、今後の方針も、変らない事をしっかりと
しっかりと、聞いてもらい
徹底して、伝えて、おきたかっただけだ。
決断を下したことで、大勢の兵士達に
後で、不満を買うことを覚悟している
ガリバルドや貴族達の意思が、揺らぐことなどなさそうだ。
「あの~…… ガリバルドさま……」
「今後も気にせんでいい、ラッセル殿、あくまで私の命だ」
「ラッセル殿は黙って、支持に従っているだけだ」
「ここは、我らに全て任せよ、ラッセル殿」
「気を楽にな、ラッセル殿」
ラッセルはまだ、できる事を
やり尽くしては、いなかった。
自らの全く、迷っていない感情を
ガリバルドや貴族に、しっかりと
伝えなければならない。
戦いの中で、ベルナルドが、
死を覚悟した時に、その想いを
ラッセルに命がけで、伝えてくれたように。
ラッセルが、ちょうど、気にかけてしまった
全軍の指揮を取る上で、避けては通ることは
できない難しい話を切り出した。
まずは明るい話題をしながら
どこかで、話をしたいとは思っていたのだろう。
「ところで、巫女殿のご様子が、かんばしくないようだが……」
ガリバルドは、手に力を入れ、掴んでいた
手綱を握り締めると、顔をうつむけた。
「まさか、このような、結末になろうとは……」
「まことに、我らが力のなさが情けない」
「戦いの前は、我らを励ますほどであったのに……」
貴族達も、ガリバルドに同調するように
顔を上げ続けることができなくなって、うつむけてしまう。
巫女同士の戦いに勝利したはずが
予想外の結末に、肩を落とさざるを得ないのだ。
「戦いに望む前に、無茶を諌めるべきであったのであろうか」
「公のせいではありません!」
「己を責めても、しょうがない、我らとて…… くっ」
「結果論にすぎませんぞ!」
「……」
勝利したとはいえ、ここに来るまでに
死骸となっている、大勢の兵士達の変わり果てた
姿を見せ付けられている。
ラーラントは王族や貴族が
先頭に立って戦い、民衆は守られるべき存在と考えている。
戦いに参加した、民衆である兵士達が、大勢死ぬのは
不手際であって、責任は感じざるを得ない。
「巫女殿だけでなく、負傷しておる兵士も大勢おるのだ……」
「お迷いなさるな!」
「我らが、ついておりますぞ」
「ここは、正直になるべきかと」
「……」
例え、死んだ者の立場が契約しているだけの傭兵で
あったとしても、一切関係はない。
綺麗ごとではなく、戦場で、命がけで戦い抜き
王から契約で、任されている領地を見事に
治めて来た者達だからこそ、自然と身についている感情だ。
大貴族ともなれば、役割を務めてきた
時も長く、世代を超えて引き継いできたものでもある。
実際の困難を乗り越え、豊富な経験した上での
感情があるので、物事を、どちらかに、簡単には割り切れない。
「命は間違っておるのかもしれん、だが」
後方で、起きていた、全ての事を聞いていた上で
ガリバルドは助かる見込みがないかもしれない事を知っていて
それでも、ソフィアを、第一に考えて
戦いの後始末を行うように指示を下していた。
「公、我らも、同じです」
「なぜなのか、納得はできませぬ」
「不満な兵士達もいるだろうが、しかし……」
「……」
戦場での厳しさや、つらさを何度も経験してきた
ガリバルドや貴族達がそれでも
気持ちを、明るくしようとしてもできない
理由は考え込んでいたラッセルと、やはり同じだった。
ソフィアを救いたいのだろう。
そうでなければ、ラッセルだけでなく
ラスマールに、頭ごなしに命令さえすればいいのだ。
助かりそうもない
ソフィアの事も、あきらめて
助かりそうな者から、優先して手当てしろと。
しかし、それは今の所ないようだ。
なぜなら、ガリバルドと、貴族達も
おかしいと判断をしているからだ。
「私は、誤っていても、巫女殿に拘りたいのだ」
「間違っているなどと!」
「そうされるのが、よろしい」
「気持ちは、我らも同じ」
「……」
どう考えても、助かるとは思えない者よりも
助かる見込みのある大勢を
助けるべきなのが全軍を指揮するのなら、当然だ。
決断を、変えるつもりはないのだろうが
ガリバルドは、素直な感情と
理屈で考えた、命令の間で、思い悩んでいる。
「わかっておる、ここは皆に我慢してもらう」
「責めがあるなら、我らも、おいましょう」
「死ぬときは同じですぞ」
「立てた、誓いを忘れては、おりませぬ」
「……」
誓いとは、騎士達が交わした
生死を供にする約束だ。
ラッセルは
ガリバルドと貴族達のやり取りを
黙って聞いていた。
「……」
今回の戦いで、目立った功績を立てた者が
自分達と同じ立場をとっている。
全軍の指揮を任されている立場だ。
既に決断を下していることからも
ラッセルに、今後の方針も、変らない事をしっかりと
しっかりと、聞いてもらい
徹底して、伝えて、おきたかっただけだ。
決断を下したことで、大勢の兵士達に
後で、不満を買うことを覚悟している
ガリバルドや貴族達の意思が、揺らぐことなどなさそうだ。
「あの~…… ガリバルドさま……」
「今後も気にせんでいい、ラッセル殿、あくまで私の命だ」
「ラッセル殿は黙って、支持に従っているだけだ」
「ここは、我らに全て任せよ、ラッセル殿」
「気を楽にな、ラッセル殿」
ラッセルはまだ、できる事を
やり尽くしては、いなかった。
自らの全く、迷っていない感情を
ガリバルドや貴族に、しっかりと
伝えなければならない。
戦いの中で、ベルナルドが、
死を覚悟した時に、その想いを
ラッセルに命がけで、伝えてくれたように。
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