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英雄神話
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水の巫女アリアと、話をさせるように
要求をして、ミストラルの全軍の前に
一人で、立ちはだかった
魔道師の少年が去った後
ミストラル軍の全軍を指揮していた
宮宰のデュランは
アリアから、報告を詳しく、受けていた。
「あの少年を信じるのか? アリア」
「はい、信じて、いい思います」
「たしかに、その魔石についた指輪は、貴重なものだ」
「はい」
「だからこそだ、お前を狙った、敵の罠かもしれんぞ」
「でも、デュラン様」
「なぜ、あの少年を、そこまで、信じるんだ?」
「水の精霊教会しか、知らないはずの秘密を、知ってたんです」
「精霊教会の秘密が、漏れていた可能性もあるな」
「ありえないとは言えないですけど」
「アリア、我々は、先を急がねばならんのだ」
「すいません、でも」
「時間がない、こちらから聞くぞ、正直に言うんだ」
「えっ? はいっ」
「お前が、あの少年を、信じてやりたいのだろ」
「う~ん、はっきり言えば、そうなんだと思います……」
「そうか、偶然だな、私も、お前と同じだ」
「デュラン様っ!」
「リオルド、お前はどう思う?」
「デュラン様、ここは信ずるべきだと」
「なぜかな?」
「我らの主(あるじ)が、ここに、いたなら、どう命ぜられるのか?」
「そうだな」
「迷わず、アリア様を信じろと、命ぜられるに違いありません」
「主の恩人は、我らの恩人でもあるからな」
「そのように考えます、我らにとっては、特にです」
「リオルド、決死隊は、お前に任せるつもりだ」
「そのつもりです、デュラン様」
「決死隊の名に恥じない、腕利きの者を、集めます」
「全て、お前に任せる」
「あのっ、デュラン様、ありがとうございます」
「我らが、主の信頼を得ている、お前の勝ちだ、お前には逆らえんよ、アリア」
「アリア様、では、急ぎましょう」
「はい、すぐに、魔道師達に準備をさせます、リオルド様」
アリアが、ソフィアを救うため
必死の願いを、託されていた
デュランは、ミストラルの宝物を
本来の持ち主に、届けるように、公都アイリスにいる
臣下達に向けて、すでに指示を出していた。
緊急時の連絡役となっている
ミストラル軍の伝令役が、幻獣のライナだ。
「ラーラントの火の巫女が、かくかくしかじか、○△×□ だ」
「ウッソ! それは大変だ、キュキュ」
ライナは、カワウソに、そっくりな姿をしている。
「キュキュキュキュキュキュ キュー」
カワウソのような泣き声をあげると
ライナの背中に、翼が二つ、現れる。
ライナは、水の幻獣でもあるので
目立ってしまう、空だけでなく
水の中を、飛ぶように、泳ぐのも得意だ。
重要な情報を伝達する連絡役は
危険な役割で、名誉の戦死をした幻獣も多い。
「レスティ…… お前のことは忘れないーー」
「お前の分もがんばる、キュキュ、安らかに眠る、キュキュ」
「ライナ…… お前ってやつあ」
目立ってしまいがちな
空を飛ぶのが、危険な場合に
水の中に身を隠して
敵の目から逃れることができるので
戦いの最中でも、敵に狙われることなく
確実に連絡をこなしてしまう。
「それでは、いってくる キューーーー」
今回はミストラル領内からの緊急連絡なので
特に狙われてしまう、危険もないので、空を飛んでいくようだ。
「キューーーーーーーーーーーーーーーン ☆=== !」
ミストラル公国は、国の運営が
デュラン、一人に委ねられている状態なので
重要な事を、決める時には
公都アイリスに、残してきている
臣下達と、すぐに連絡が取れるように
しておくためにも
ライナのような幻獣達は、大事な存在だ。
どうやら、この少年はミストラル公の宮殿にいる人物で
デュランが、翼カワウソのライナに託した連絡を受けて
宝物を持って、急いで、天馬に乗り、空を翔けて来たのだろう。
「デュランより、先だな、でかしたぞ、サージリアス」
近づいてきた渓谷を見ると、両側を高い岩壁に挟まれいて
幅が狭くなっているだけでなく
清らかな、澄んだ水が流れる、大河ヴィーズが、流れ込んでいる場所の
川幅が、狭くなっているせいか、川底が削られていて
周囲より一段低くなり、人が河に降りて水に触れるのも
難しいぐらいに、周辺より、深く窪んでいるのが、はっきりと見えている。
「おい、あれを見ろ、なんだ!?」
「敵かも知れんぞ」
運良くとしか、いいようがない、ぎりぎりの戦いを生き残り
身体が動ける程度に、回復しただけの、少しばかりの癒しを
アリアと共に駆けつけた、ミストラルの魔道師達から
受けた後、疲れ果てて、仰向けに寝そべり、渓谷の空を見つめていた
親衛隊の兵士が、渓谷をめがけて、天から駆け下りてくるような
白く神々しい使いを見つけて、驚いたのか
戦いで痛んだ重い身体を、無理に起こして立ち上がり
他の兵士に知らせるために、指をさしている。
「馬が空を飛んでるぞ…… 見ろ、ありゃ、ペガサスだ!」
「そ、そ、そ、空からペガサスが、ふ、ふ、ふ、降ってきましたあ!」
「おい、雨じゃないんだぞ! きっちりとラッセル副隊長に、報告してこい!」
「はい、すみません、いってきます」
「おお、あれか、なんて、美しいんだ」
闇の存在の影響を受けやすい魔物達は
闇の支配者達と、眷属が封印された後は
影響が薄くなり、動物と同じように理由も無く人を襲うことは
なくなったが、その闇の不在を埋め合わせるように
さらに、争い合うようになった相手は魔物と人ではなく、人と人だ。
「人間ほど、野蛮で、絶望的な生き物は、ないぴょん」
シーザリアの深き森の中で
ウサギのような幻獣、同士が世間話をしているようだ。
どこで、人間の言葉を覚えたのかも知らないし
なぜ人間の言葉で話しているのかもわからないが
角がはえているのでウサギではなく、アルミラージだ。
人間の寿命より、遥かに、長く生きているのが、幻獣達だ。
エルフの国から、森に移住をして来た
エルフ達がいる、お陰で
目に見えて、数は減ったが
自分達が最低限、生きるために、必要なわけでもないのに
欲望のままに、森で、余計に動物を狩って、命を奪う
人間を、散々見てきたので、呆れているようだ。
「ほんと、闇の神々がいた、世の中のほうが、まだ、ましだったぴょん」
「あんな、獣みたいな野蛮な生き物と、ご先祖様たちは戦った、ぴょん」
「ほんと、勇気あるし、えらいぴょん」
「ほっといても、自分達で殺しあうし、問題ないぴょん」
「人間なんかには、無理に、関わらないほうが良い、ぴょん」
「そうだぴょん」
闇がいなくなり、人と魔物は異なる場所で、無理に争うこともなく
共存していて、人の住んでいる場所から離れた場所で
遭遇する事はあっても、動物に会うぐらいの日常の事でしかない。
魔物は普通にいても、ペガサスのような希少な幻獣は、とても珍しく
絵でしか、見たことがないような、天翔る荘厳(そうごん)な雄志を
生まれて初めて見た者ばかりで、驚くのは当然だ。
「誰か乗ってるな、後ろに、なにか、ひっついてるぞ、なんだ!?」
「ほんとだ、ありゃ、乗ってるのは、子供だぞ」
「お前、目がいいな」
「あのガキ、こっちを見て、にやけてるやがるぜ」
少なくない数の目線を感じた、少年はいよいよ
この時が来たと、いわんばかりの気持ちが込み上げてしまい
少しばかり緊張したのか、両手の手綱を、きゅうと強く握り締め
緊張で、震える手を、なんとか落ち着かせる。
「フフフ、見てる、見てるぞ、ニヤニヤ」
「サージリアス、約束の英雄らしく、さっそうとな」
約束の英雄とは、半神半人で、神々とさえ真っ向から戦い
エリサニアを統一した後、不老不死を求め彷徨った、英雄神話の王の事だ。
神話に習って、大陸を制した人物は
1000年前の伝説として、記されている
エリサニア帝国、初代皇帝のカイザルだけだ。
全てが、曖昧な言い伝えでしかない
伝説に続いた者は、歴史の中には、いない。
どうやら、この高貴な姿をした少年も
将来、立派な騎士になる事を、目指しているのだろう。
「あそこだな、ゆくぞっ!」
天馬の背に乗る主は魔法で
地上に見える小さな人や物を
大きくして、目で確認する事ができる。
遠くの空から、弓や魔法を放ち、狙い撃ちにする事も可能だ。
要求をして、ミストラルの全軍の前に
一人で、立ちはだかった
魔道師の少年が去った後
ミストラル軍の全軍を指揮していた
宮宰のデュランは
アリアから、報告を詳しく、受けていた。
「あの少年を信じるのか? アリア」
「はい、信じて、いい思います」
「たしかに、その魔石についた指輪は、貴重なものだ」
「はい」
「だからこそだ、お前を狙った、敵の罠かもしれんぞ」
「でも、デュラン様」
「なぜ、あの少年を、そこまで、信じるんだ?」
「水の精霊教会しか、知らないはずの秘密を、知ってたんです」
「精霊教会の秘密が、漏れていた可能性もあるな」
「ありえないとは言えないですけど」
「アリア、我々は、先を急がねばならんのだ」
「すいません、でも」
「時間がない、こちらから聞くぞ、正直に言うんだ」
「えっ? はいっ」
「お前が、あの少年を、信じてやりたいのだろ」
「う~ん、はっきり言えば、そうなんだと思います……」
「そうか、偶然だな、私も、お前と同じだ」
「デュラン様っ!」
「リオルド、お前はどう思う?」
「デュラン様、ここは信ずるべきだと」
「なぜかな?」
「我らの主(あるじ)が、ここに、いたなら、どう命ぜられるのか?」
「そうだな」
「迷わず、アリア様を信じろと、命ぜられるに違いありません」
「主の恩人は、我らの恩人でもあるからな」
「そのように考えます、我らにとっては、特にです」
「リオルド、決死隊は、お前に任せるつもりだ」
「そのつもりです、デュラン様」
「決死隊の名に恥じない、腕利きの者を、集めます」
「全て、お前に任せる」
「あのっ、デュラン様、ありがとうございます」
「我らが、主の信頼を得ている、お前の勝ちだ、お前には逆らえんよ、アリア」
「アリア様、では、急ぎましょう」
「はい、すぐに、魔道師達に準備をさせます、リオルド様」
アリアが、ソフィアを救うため
必死の願いを、託されていた
デュランは、ミストラルの宝物を
本来の持ち主に、届けるように、公都アイリスにいる
臣下達に向けて、すでに指示を出していた。
緊急時の連絡役となっている
ミストラル軍の伝令役が、幻獣のライナだ。
「ラーラントの火の巫女が、かくかくしかじか、○△×□ だ」
「ウッソ! それは大変だ、キュキュ」
ライナは、カワウソに、そっくりな姿をしている。
「キュキュキュキュキュキュ キュー」
カワウソのような泣き声をあげると
ライナの背中に、翼が二つ、現れる。
ライナは、水の幻獣でもあるので
目立ってしまう、空だけでなく
水の中を、飛ぶように、泳ぐのも得意だ。
重要な情報を伝達する連絡役は
危険な役割で、名誉の戦死をした幻獣も多い。
「レスティ…… お前のことは忘れないーー」
「お前の分もがんばる、キュキュ、安らかに眠る、キュキュ」
「ライナ…… お前ってやつあ」
目立ってしまいがちな
空を飛ぶのが、危険な場合に
水の中に身を隠して
敵の目から逃れることができるので
戦いの最中でも、敵に狙われることなく
確実に連絡をこなしてしまう。
「それでは、いってくる キューーーー」
今回はミストラル領内からの緊急連絡なので
特に狙われてしまう、危険もないので、空を飛んでいくようだ。
「キューーーーーーーーーーーーーーーン ☆=== !」
ミストラル公国は、国の運営が
デュラン、一人に委ねられている状態なので
重要な事を、決める時には
公都アイリスに、残してきている
臣下達と、すぐに連絡が取れるように
しておくためにも
ライナのような幻獣達は、大事な存在だ。
どうやら、この少年はミストラル公の宮殿にいる人物で
デュランが、翼カワウソのライナに託した連絡を受けて
宝物を持って、急いで、天馬に乗り、空を翔けて来たのだろう。
「デュランより、先だな、でかしたぞ、サージリアス」
近づいてきた渓谷を見ると、両側を高い岩壁に挟まれいて
幅が狭くなっているだけでなく
清らかな、澄んだ水が流れる、大河ヴィーズが、流れ込んでいる場所の
川幅が、狭くなっているせいか、川底が削られていて
周囲より一段低くなり、人が河に降りて水に触れるのも
難しいぐらいに、周辺より、深く窪んでいるのが、はっきりと見えている。
「おい、あれを見ろ、なんだ!?」
「敵かも知れんぞ」
運良くとしか、いいようがない、ぎりぎりの戦いを生き残り
身体が動ける程度に、回復しただけの、少しばかりの癒しを
アリアと共に駆けつけた、ミストラルの魔道師達から
受けた後、疲れ果てて、仰向けに寝そべり、渓谷の空を見つめていた
親衛隊の兵士が、渓谷をめがけて、天から駆け下りてくるような
白く神々しい使いを見つけて、驚いたのか
戦いで痛んだ重い身体を、無理に起こして立ち上がり
他の兵士に知らせるために、指をさしている。
「馬が空を飛んでるぞ…… 見ろ、ありゃ、ペガサスだ!」
「そ、そ、そ、空からペガサスが、ふ、ふ、ふ、降ってきましたあ!」
「おい、雨じゃないんだぞ! きっちりとラッセル副隊長に、報告してこい!」
「はい、すみません、いってきます」
「おお、あれか、なんて、美しいんだ」
闇の存在の影響を受けやすい魔物達は
闇の支配者達と、眷属が封印された後は
影響が薄くなり、動物と同じように理由も無く人を襲うことは
なくなったが、その闇の不在を埋め合わせるように
さらに、争い合うようになった相手は魔物と人ではなく、人と人だ。
「人間ほど、野蛮で、絶望的な生き物は、ないぴょん」
シーザリアの深き森の中で
ウサギのような幻獣、同士が世間話をしているようだ。
どこで、人間の言葉を覚えたのかも知らないし
なぜ人間の言葉で話しているのかもわからないが
角がはえているのでウサギではなく、アルミラージだ。
人間の寿命より、遥かに、長く生きているのが、幻獣達だ。
エルフの国から、森に移住をして来た
エルフ達がいる、お陰で
目に見えて、数は減ったが
自分達が最低限、生きるために、必要なわけでもないのに
欲望のままに、森で、余計に動物を狩って、命を奪う
人間を、散々見てきたので、呆れているようだ。
「ほんと、闇の神々がいた、世の中のほうが、まだ、ましだったぴょん」
「あんな、獣みたいな野蛮な生き物と、ご先祖様たちは戦った、ぴょん」
「ほんと、勇気あるし、えらいぴょん」
「ほっといても、自分達で殺しあうし、問題ないぴょん」
「人間なんかには、無理に、関わらないほうが良い、ぴょん」
「そうだぴょん」
闇がいなくなり、人と魔物は異なる場所で、無理に争うこともなく
共存していて、人の住んでいる場所から離れた場所で
遭遇する事はあっても、動物に会うぐらいの日常の事でしかない。
魔物は普通にいても、ペガサスのような希少な幻獣は、とても珍しく
絵でしか、見たことがないような、天翔る荘厳(そうごん)な雄志を
生まれて初めて見た者ばかりで、驚くのは当然だ。
「誰か乗ってるな、後ろに、なにか、ひっついてるぞ、なんだ!?」
「ほんとだ、ありゃ、乗ってるのは、子供だぞ」
「お前、目がいいな」
「あのガキ、こっちを見て、にやけてるやがるぜ」
少なくない数の目線を感じた、少年はいよいよ
この時が来たと、いわんばかりの気持ちが込み上げてしまい
少しばかり緊張したのか、両手の手綱を、きゅうと強く握り締め
緊張で、震える手を、なんとか落ち着かせる。
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エリサニア帝国、初代皇帝のカイザルだけだ。
全てが、曖昧な言い伝えでしかない
伝説に続いた者は、歴史の中には、いない。
どうやら、この高貴な姿をした少年も
将来、立派な騎士になる事を、目指しているのだろう。
「あそこだな、ゆくぞっ!」
天馬の背に乗る主は魔法で
地上に見える小さな人や物を
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