最強の魔道師に成り上がって、人気者のアイドルをやってるんですけど、燃え尽きて死んじゃうぐらいやらないとダメな前のめりな性格なんです。

ちちんぷいぷい

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君主

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アレクシスの傍には
ミストラルのリオルドが、親衛隊に残していた
決死隊の腕利きの騎士達が
ラッセルの指示を受けて、護衛についている。

力だけでなく、道理をより重んじている
デュランが、アレクシスを将来の君主として
英才教育をしているせいもあって
とても正義感が強くて、真面目な少年だ。

「すまない、アレクシス公、いや、アレクシス
今はそれどころではないんだ……」

アレクシスは妹として、扱っている、アンの弟だ。

いつもは、忙しい時でも
相手をしているのだが、今はそうしたくても無理だ。

「礼など、全て後回しでいい、アレクシス」

「あっ、ガルバルド様」

「あっ、とは何だ、あっとは…… 急いでおるのだぞ」

「はい、ガルバルド様」

天馬の後ろで、浮かんでいる宝物箱だけでなく
魔道師の使用するものとしか考えられない白銀のロッドを
君主であるミストラル公自身が
天馬の背に乗り、天を翔け、運んできたのだ。

古代魔法としか考えられない
強力な魔法の詠唱が行われ
執行される事は、魔法に詳しくない者でも
様子を見ればわかる。

宝物が、水の巫女アリアに渡される物なのは間違いない。

「サージリアス!」

振り向いた主に命じられた天馬は
ソフィアの傍に寄り沿って
癒しの魔法を続けている、アリアの近くに
自らが運んできたシルバーロッドと宝物箱を
魔法の力で、宙に浮かせたまま、運んでいく。

ふわふわと、本来の主の下へと
近づいていくロッドは
アリアの傍に、急いで駆け寄った
アレクシス公の手で、しっかりと握られた。

「よし、受け取ったぞ」

宙に浮いたままの宝物箱には
魔法で、固く鍵がかけられているようだ。

「フェステル様、我らが鍵を」

「うむ、急ぎなされ」

ミストラルの青星の魔道師達が
慣れた手つきで、手をかざし、鍵を解除すると
同時に、宝物箱は、そのまま
ゆっくりと地面に舞い降りる。

開かれた宝物箱の中には
繊細さを感じさせる、白銀のティアラと
銀で装飾された、フードつきの白いローブが
外からの衝撃を受けて
箱が揺れても傷がつかないように
魔法の力で、浮かんでいた。

ティアラとローブも
シルバーロッドと同じく
時を越えて、大切に保管されていたものだ。

「貴重なものだから慎重にあつかわんと
傷一つ、つけても、秘められている魔力が
損なわれるやもしれぬからな、そおっと、きおつけなされよ」

「はい、フェステル様」

魔道師達が、慎重に
宝物箱から取り出した
折りたたまれている
フードつきの白いローブの上に
白銀のティアラを、そっと乗せ
そのままフェステルに慎重に手渡す。

「では、おばば!」

「おばばではありません……」

「ではなんと呼べばいい」

「お忘れになられておりまするが
おばばには、フェステルと言う立派な名がありますのじゃ」

「おばばと、自分で言ってるだろ」

「フェステルに、ございます」

「うむ、では、おばば」

「フェステルに……」

「……」

つらそうな、アリアを少しでも
元気付けようと、いつも
フェステルに会った時のように
絡んでみるのだが、どうも感じが違う。

おそらく、火の巫女の置かれた状態は
考えてるよりも、厳しいのだ。

離れた場所から見ても顔色は良いので
それほどでもないのかと、勝手に勘違いをしていたが
近寄って、よく見るとソフィアはもう、息をしていない。

「すまない、アリア……」

「アレクシス様、ありがとうございます。でも今は……」

アリアは、ソフィアの手を持ち
癒しを続けている姿勢のまま
主君に、頭を下げて、できるかぎりの
礼を取とるのが精一杯だ。

「……」

アレクシスは、前の君主である父と、公妃の母を
東方の諸国から、運ばれてきた
流行病(はやりやまい)で、失ってしまっている。

姉のアンは、見知らぬ父と母の思い出を伝えてくれる
残された最後の家族だ。

アンがラーラントに嫁いだ後
巫女として、君主である自分に会って
話すだけでじゃなく
姉代わりとなって
相手をしてくれていたのがアリアだ。

アリアも、孤児だからなのか
父母の顔を知らない、アレクシスの
気持ちがよく解かるのだろう。

公国の中心は、補佐役のデュランなので
幼い君主は、宮中の飾りも同然だった。

「今から、我が軍は、このアレクシスが、全て預かる。
デュランには、主を補佐するように伝えよ」

若い君主は、金色で豪華に装飾された
鞘に納まっている、変わった形のそり返った剣に手をかけ
戦場で生まれて、初めて、配下に命じる。

「失礼ながら、デュラン様はまだ来られてはおりません」

「そうだな、ならリオルドから、デュランへ伝えさせよ」

「はっ 早速、リオルド様に、伝えて参ります」

護衛についていたミストラルの騎士の一人が
持ち場を離れたガリバルドに、後をまかされている
リオルドに、主の意思を伝えるために、離れていく。

主が剣に手をかけたという事は逆らえば
その場で、即座に切り伏せるという、強い気持ちだ。

「アリアが姉のように慕う、火の巫女は私にとっても
姉のように思うぞ、出来る事は、遠慮せず、言ってくれ」

「ソフィア、いえ、火の巫女との、約束を守りたいんです」

「わかった、デュランにも、そう命じる、拒否はさせん」

「はい」

美術品としても扱われている刀と呼ばれる
切れ味するどい特殊な剣は
東方にある黄い肌のドワーフ達の国の中でも
最果てにある、ワクワークという国でつくられたものだ。

東方を、見聞して来た、旅の商人が
人づてで、聞いた話を纏めた
貴重な本には、貴人であるオカーミイに
厚い忠誠心を持って従っている、サムラードのもので
民衆である、ムラビートを支配している
潔癖で誇り高いリーダー達だと、記されている。

戦うことを恐れる、ムラビートとは異なり
サムラードは、死を恐れぬ、手ごわい戦士達だ。

サムラードの使う、刀の余りの切れ味の鋭さに
子供であるアレクシスが振り廻すと危険なため
本物はデュランによって、取り上げられている。

腰にあるのは、木でできている、模造刀だが
別の目的のために、特殊な魔法が、かけられている。
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