最強の魔道師に成り上がって、人気者のアイドルをやってるんですけど、燃え尽きて死んじゃうぐらいやらないとダメな前のめりな性格なんです。

ちちんぷいぷい

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道理

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領地に面している、アルヴィス海を介した
他国との交易が、力の源泉となり、シーザリアは大国となっている。

渡る船の上で、大海原を吹きぬける風のような
きままさを好み、上からの束縛を
毛嫌いする民衆が力を持っているのが
シーザリアの国柄だ。

国として、潜在的な力があっても
下からの民衆の力が強く自由、奔放なため
考え方がバラバラで、纏まりがつかなかった。

「でありますので、シーザリアは、かくかくしかじかーー」

ところがヴェサリウス王が領内にある
深き森の住人であるエルフ達の王姫と婚姻し
生まれた姫が、類まれなる天性の資質に恵まれて
民衆への癒しだけでなく、先頭に立って
王や貴族に意見する、精霊の巫女になる運命を
自ら進んで受け入れてしまう。

王族の巫女の誕生により
民衆からの厚い支持と、協力を得やすい関係が
できた事により、シーザリアが一致結束し
勢いを増し力で、強引に全てを解決していこうとしているのが
どうにも、ミストラルには、受け入れ難い。

「わが信頼しているデュランも、かくかくしかじか、といっておりーー」

世を争いなく治めることを第一としている
デュランも、時代を感じていて
別に王とか、貴族とか、そういった身分や制度に
執拗に拘り過ぎるところがままある宮中には、内心では辟易としている。

エリサニアを力によって、無理に統一することは
返って良くないと考えていて、どちらかというと
待つと言う点ではデュランも、ラーラントのアウグスト王と
考え方は似ていてる。

力づくでの解決を嫌っている
自らの考えを一言で、デュランは
臣下や貴族達には、道理だと難しく言っている。

道理を伝えるのが神話や伝説といった
夢物語の役割で、何を基本に
学ぶべきかが一番、大事なのだと。

神々が定めた運命こそが、世の理で
道理は、常にその上にあるものだと
子供のアレクシスには、もっとわかりやすく
教えようとはしてくれてはいるが
結局、最後にデュランは、いつもこういうのだ。

「それは、実はわからないのです」

「我らの希望で母なるライナルに、正しき形などありません」

「賢きものほど、己が無知を知らねばなりません」

アレクシスは正直
世の理というものは見える事はないから
わかりもしないと、平気で言う
デュランが一番、正しいという気がしていた。

だから、大人の貴族達が、たしなむ、わかってるつもりの
哲学みたいなものを学んで、言葉を並べ立てて
上品な雰囲気を漂わせ、周囲を煙に巻くために
本を開くなんて事には興味はない。

「はい、アレクシス様、哲人アリスターレスは、こうするのが正しいと」

「おまえは、行うべき、正しいことはわかってるんだな」

「はい、アリスターレスは正しさにおいて絶対です、無視はできません」

「でも、今、死んでいるアリスターレスと話すことはできないんだぞ」

「失礼ながら、何をおっしゃられておるのか……」

「公国は、常に相手を尊重して、話し合いで解決することを、第一にするとデュランは言ってるが?」

「たしかに、デュラン様は、そうおおせです」

「過去のおしつけは一方的だし、アリスターレスとは、もう話し合えないじゃないか」

「哲人というアリスターレスは、話し合いをするなと言ってるのか?」

「違います、常に集い、誠実に正しさについて、話し合えと、それが幸福で希望というものだと」

「だろう、デュランと同じだ、わからん」

「う~ん、私もわからなくなってきました」

無理をして、難しい本を、うんうん唸りながら
読むよりは、臣下の眼を盗んで、たまに読んでいる
庶民が読むような、理想には、ならないような
日々の疲れを癒せる、娯楽のための物語でも読んで
笑ってるほうが、意味があると思っている。

「デュラン、最近、庶民の間で、流行っている異世界転生物に、ついてどう思う?」

「戦乱の世が続いております、皆の心も絶望し、すさむことでしょう」

「闇の魔王達を、封印し、人の世に移り変わった、この異世界さえも絶望的だからな」

「常に、理想を掲げ、皆に夢を見せれる世を作るのが、我らの役割なのです」

理想にはならなくて、全てが、おかしな嘘であっても
実は教養があるくせに、隠して、ひけらかしたりはしないで
傲慢で悪しき者達を、笑いで卑下する、宮廷道化師(ピエロ)と
同じ役割だと、デュランも、検閲の為に
たまに、目を通しているので、感心していると言っていた。

だから、勉強はなんとなく、デュランと同じ事をいっているような
感じがする、結局、何を言ってるか、よくわからないで
自分で考えなければならない、神話や伝説の物語を、大切に読む事にしている。

「う~ん、わからんぞ、アリア」

「アレクシス様、あの~、何がわからないんですか?」

「わからんのがいいのだと、デュランだけでなく、リオルドまでいうのがわからん」

「あの~、何いってるか、わからないです」

「その、わからないのが、とても、いいらしいんだ」

「う~ん、でも、わからないほうが、夢とか希望はあります」

「たしかに、わくわくするぞ」

「もう、絶対しますう~」

憧れの騎士として、尊敬している
ベルナルドは
余り、熱心に、本を読んでいるとは思えなく
剣が全てなのに、軍の指揮官も、立派に果たしている。

どうすべきか、聞いてみたこともあるのだが
強い騎士になりたいなら
普段から町に出歩き、よい剣を探して、良い出会いをして
休むことなく、自分で、悩み続け、剣を磨くための鍛錬し
苦しみぬいて、なんとなく、それがわかる時が来るまで
極めていかなければならないと
いつも、うれしそうな顔をするだけだ。

振るう剣の切れ味に、敗北感を感じているのか
ギルドの総力を上げて、誇り高い職人達が結集し
全てを捧げて造った、挑戦状である、
ぶ厚い鎧や、盾さえ簡単に、
真っ二つにしてしまうような
特別な何かに、好かれているとしか思えない
天才肌のベルナルドの真似が出来るとはとても思えない。

「ハアーーーーーーーーーーーーーーーーー タアーーーーーーー ズバッ☆」

「タアーーーーーーー ズバッ☆」

今度こそはと思い、見守っていた職人達は、全員
再び、絶望の淵へと落とされた。

「そ……、そんな馬鹿な…… シクシク」
「心が折れたら、職人として、終わりだぞ」
「そうだ、私達の考えが、甘かったんだ」
「自惚れていた、我らの腕が、足りんだけだ」
「そうだ必ず、殿下を、ぎゃふんと言わせて見せるぞ」
「精製する、材料から、製法まで、全て見直すべきだ」
「そうだ、次こそは、必ず」
「そう言って、今回で何回目になる?」
「唯一の答えだと、皆で信じた結果が、これだぞ」
「う、うるさい、とにかく、やるんだ」

「お見事です、ベルナルド様」
「おっ、アレクシス、来ていたのか」

「はい、姉の様子を伺いに来ました」
「そうか、アンも喜ぶだろうし、ゆっくりしていってくれ」

「あの~」
「なんだ?」

「どうして、ベルナルド様は、そんな事ができるんですか」
「わからないんだ、毎回、斬る鎧や盾も、初めてだし、断ち割る筋も、いつも違うからな」

「えっ?」
「その時々で、変わるし、常にどうするかなんて、わからないな」

「う~ん?」
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