追放、転生、完璧王子は反逆者!!!

ぱふもふ

文字の大きさ
24 / 57
第二章公爵として

メリアの誇りと王都の動向

しおりを挟む
「メリア、一応確認しておくが…その…本当に良いのか?」

ベットに座ったエラクレスは熱くなりすぎた頭を冷やして問いかけた。

「はい!寧ろ私…いえ、臣などが陛下の精をいただけるとは未だに信じられません…。」

メリアもエカと同じくエラクレスの変化を感じ取ったのだろう。一人称が『臣』になっている。

(嘘…では…ない…か…。)

エラクレスはついさっき作った『嘘探知』魔法をこっそり使って真意を探ったが、嘘は感じられなかった。この魔法は文字通り嘘を見抜くことができる魔法で、何となく嘘か真か解る。

(だけどな…なんでだ?だが、流石に考えている事がわかる魔法は『神の特権』とか言われてアリナ様に拒否られたからな。)

メリアがなぜノリノリなのかを測りかねたエラクレスは聞いてみることにした。

「メリアは幼いころはどんな男と結婚したかったの?」

メリアはそう聞かれて、そうですね…と言って

「特に在りませんでしたが、取り敢えず有象無象の妻にはなりたくありませんでした。」

パワーワードが飛び出してエラクレスは驚いた。

「う、有象無象って具体的になに?」

思わず聞き返した。

「臣よりも身分が下で、武勇も下、知恵もない、そして誇りも志もない奴らです。」

「なるほど…」

(全体的に自分より劣る人のことなのか。)

「そういうことで臣は陛下に感謝してもしきれません!」

メリアは跪いた。

(お、なんか急に熱くなった。)

「あのまま時が過ぎれば臣は傲慢不遜な配下の獅子人か貧弱な他種族の王族に政略結婚させられていたでしょう!」

(よくある話だな)

「そのようなときに陛下は臣を迎えてくださいました。!!獅子人最強の戦士である父が敵わなかった炎龍を一蹴し、獣王となり獣人すべてを統一するという壮大な御志を持たれた陛下は臣にとって理想の旦那様というより、理想の主君なのです!自らの思い描く主君に誠心誠意お仕えできることは臣の誇りでございます!例え陛下が100…否…万の女を侍らせていらしても臣はその一人であればそれで満足でございます!寧ろ陛下はもっと妻を娶られ、御子様を増やし、ご血筋の繁栄を確固たるものにするべきでございます。………その御子様の一人に臣の血がぁぁ…考えただけでも恐れ多い……。」

「………。(やっぱり…嘘の反応なし…もう…いいや…疑うのが馬鹿らしい。)」

「………。」【隣で静かにしていたエカ】

「ゼエゼエ」【息切れのメリア】

【こうして長い長い、アツイアツイ夜が始まった。】


一方で少し前の王都…

「なに!北方に一大勢力が興った…だ…と…。」

「あそこは不毛で獣人達の集落が点在しているのではなかったのか!?」

「それは確かなのか!?」

ネリーキア王国の王城では国王フェンネ二世と第一王子フェンネ(即位したらフェンネ三世になる)と第二王子ラントと、第三王子シャルルが報告を行った役人を問いただす。

「ふ、複数の商人からの情報ですので、間違いないかと…。ケーケット伯爵が領有しているケーケット港にとても似ている港が僅かな期間で建設されたようです。」


「「「………」」」

「まさか…それらを束ねる…じゅ、獣王が…」

現れたか…と優しい、というより臆病で有名な第三王子シャルルが言おうとしたが、恐ろしくて最後まで言葉が出なかった。

「だ、だとしたら!北に向かったエラクレスやノース辺境伯はなにをしておるのだ!」

と、フェンネがノース辺境伯を責めると…

「いいえ!兄上!問題の港はノース辺境伯より遥か北に位置します!よって港により近いエラクレスに責任をとらせればよいでしょう?」

とラントはノース辺境伯を庇った。

なぜならノース辺境伯はラントの母の実家ザラーフ侯爵家の派閥に属する人で、有力な武力を持っているのだ。

「いいや!北は北だ!北の守りが彼の管轄であることは変わりない!」

しかしフェンネは好機とばかりに更に責めたてる。

両者の間に火花が散る。


「まあまあ、フェンネ兄上もラント兄上も取り敢えず貴族達を集めてから対策を話し合いましょう。もし北方に獣人をまとめ上げる獣王が現れたのなら国難ですから。今はちょうど年末、新年の宴に出るため全貴族が王都に来ます。その時に北の両者には事情を聞けばよろしいではありませんか。」

そう言って宥めているのは第三王子シャルルだ。

「「俺に命令するな!!」」

「ヒッ!」

二人は自分こそが次の王だと思っているためシャルルの言葉が気に入らなかったようだ。

だが…

((悪くない。貴族達を集められれば派閥の力を借りられる…。))

…と両者の考えが一致し、それ以上の反対はしなかった。また、国王フェンネ二世としても権力が強くないため重大な決定は有力な貴族の賛成が必要だった。

「わかった…ではそのときに改めて話し合うとしよう。また王都から第四騎士団を北方に派遣し、議論に必要な情報の調査と警備にあたらせる。これで良いな。」

「父上、少々よろしいでしょうか。」

「なんだ?申してみよ。」

フェンネ二世が場を締めようとするとフェンネ王子が口を挟んだ。

「エラクレスは幼く、その守役も身分が低うございます。まさかとは思いますが、礼を失するかもしれません。」

『礼を失する』とはこの場合は新年の挨拶に来ないかもしれないということである。また守役の身分の低さに触れたのはエラクレスへの蔑みである。

「ここは新年の挨拶に王都まで出向くよう手紙を出して知らせれば必ず出向くと私は考えます。そうなればエラクレスが不孝者のそしりを受けることはありません。」



「わかった…ではエラクレスには新年の挨拶に王都まで来るように伝えよ。」

「お聞き入れいただき恐縮です。」

(エラクレスめ、荒れ地に追われ領地も獣人どもに侵され…どんな姿になって帰ってくるのやら…。貴様が僅かな供回りと共にこの王都から出て行った様は中々見物だったぞ…。卑賤な娼婦の血が流れている貴様に必ず恥をかかせてやる!)

自身に流れる完全な王族の血を誇りとしている第一王子フェンネは商人の娘であるエラクレスの母を貶して娼婦と呼んでいる。

(いい趣味だな、フェンネのよそ者め…まあ、俺も楽しみにしておこう。)

第二王子ラントは隣国の王女とフェンネ二世の間に産まれた第一王子フェンネをよそ者呼ばわりして嫌っている。

(うわ~…兄上達…性格わっる…。酒、飲むか…。)

第三王子シャルルは二人の兄の権力闘争に日々苦しんでいるため、演劇を見たり好きな楽器を弾いたり絵を描いたりして芸術の世界にどっぷり浸かっている上に、16歳頃から飲酒をして憂さ晴らししている。

フェンネ二世はすぐに右筆(秘書。国で一番字がきれいに書ける人でないと成れない。)に命令書を書かせて海路で件の港に向かわせた。

「はぁ…」

フェンネ二世はため息を吐いて髪に手を当てた。彼ももう40歳…最近はエラクレスが居なくなったことでフェンネ派とラント派の争いが激化しているため彼の悩み事も増える一方である。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

貞操逆転世界の「内助の功」~掃除と料理を極めた俺が、脳筋幼馴染を女王にするまで~

ありゃくね
ファンタジー
前世の記憶が目覚めたそこは、男女の貞操が逆転した異世界だった。 彼が繰り出すのは、現代知識を活かした「お掃除アイテム」、そして胃袋を掴む「絶品手料理」。 ただ快適に暮らしたいだけのマシロの行動は、男に飢えた女騎士たちを狂わせ、国の常識さえも変える一大革命へと繋がっていく。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。 不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。 14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

貧乏育ちの私が転生したらお姫様になっていましたが、貧乏王国だったのでスローライフをしながらお金を稼ぐべく姫が自らキリキリ働きます!

Levi
ファンタジー
前世は日本で超絶貧乏家庭に育った美樹は、ひょんなことから異世界で覚醒。そして姫として生まれ変わっているのを知ったけど、その国は超絶貧乏王国。 美樹は貧乏生活でのノウハウで王国を救おうと心に決めた! ※エブリスタさん版をベースに、一部少し文字を足したり引いたり直したりしています

【完結】発明家アレンの異世界工房 ~元・商品開発部員の知識で村おこし始めました~

シマセイ
ファンタジー
過労死した元商品開発部員の田中浩介は、女神の計らいで異世界の少年アレンに転生。 前世の知識と物作りの才能を活かし、村の道具を次々と改良。 その発明は村の生活を豊かにし、アレンは周囲の信頼と期待を集め始める。

異世界転生、防御特化能力で彼女たちを英雄にしようと思ったが、そんな彼女たちには俺が英雄のようだ。

Mです。
ファンタジー
異世界学園バトル。 現世で惨めなサラリーマンをしていた…… そんな会社からの帰り道、「転生屋」という見慣れない怪しげな店を見つける。 その転生屋で新たな世界で生きる為の能力を受け取る。 それを自由イメージして良いと言われた為、せめて、新しい世界では苦しまないようにと防御に突出した能力をイメージする。 目を覚ますと見知らぬ世界に居て……学生くらいの年齢に若返っていて…… 現実か夢かわからなくて……そんな世界で出会うヒロイン達に…… 特殊な能力が当然のように存在するその世界で…… 自分の存在も、手に入れた能力も……異世界に来たって俺の人生はそんなもん。 俺は俺の出来ること…… 彼女たちを守り……そして俺はその能力を駆使して彼女たちを英雄にする。 だけど、そんな彼女たちにとっては俺が英雄のようだ……。 ※※多少意識はしていますが、主人公最強で無双はなく、普通に苦戦します……流行ではないのは承知ですが、登場人物の個性を持たせるためそのキャラの物語(エピソード)や回想のような場面が多いです……後一応理由はありますが、主人公の年上に対する態度がなってません……、後、私(さくしゃ)の変な癖で「……」が凄く多いです。その変ご了承の上で楽しんで頂けると……Mです。の本望です(どうでもいいですよね…)※※ ※※楽しかった……続きが気になると思って頂けた場合、お気に入り登録……このエピソード好みだなとか思ったらコメントを貰えたりすると軽い絶頂を覚えるくらいには喜びます……メンタル弱めなので、誹謗中傷てきなものには怯えていますが、気軽に頂けると嬉しいです。※※

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

処理中です...