追放、転生、完璧王子は反逆者!!!

ぱふもふ

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第二章公爵として

従兄来たる

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「ふぅ~。あとちょっとだな…待ってろエラクレス…今、レオ兄(にい)が助けてやるからな!」

ここはノース辺境伯の領地。そこに黒い髪と蒼い瞳、顔立ちも美しいうえに身長185cmはありそうな美丈夫が立っていた。男の名前は『レオ』エラクレスの従兄だ。

「クッソー…なんてタイミングが悪いんだ!俺が商隊の護衛任務に就いていたときに追放されちまった。」

彼は大変武勇に優れている一方でとてつもない馬鹿であり、エラクレスの祖父チャロースを生み出した商人の一族ではかなり異質である。

もちろん商家に生まれてそれなりの教育を受けたため文字の読み書きや計算はできるが…

真っ直ぐ…いや…真っ直ぐすぎる人柄で損得勘定抜きで行動してしまうのである。

「どうして我が家に産まれた……。」

これはレオの商才のなさを嘆いたチャロースの言葉である。

ついには商人に育てるのを諦められ、その武勇を活かして兵士になったが、当時のネリーキア王国は財政が破綻寸前だったため費用削減のためクビになってしまい、それからは魔物や盗賊を倒す冒険者として活躍している。

仲間や家族を大切にする好漢として冒険者達や冒険者に仕事を依頼する人達、そして冒険者の権利と秩序を守る冒険者ギルドからは信頼が厚い。

で、その家族想いの彼は今回のエラクレス追放の件を聞いていても立ってもいられず遠くの仕事から帰ったばかりであるにも関わらず家を飛び出し陸路でエラクレス領に向かったのである。

陸路は巨大な岩で道を塞がれて通行困難になり、北に新たに港ができたため海路で行けることも知らずに…。

「よし!あと少しだ!」

レオは進み続ける。

「ギヤッ!ギヤッ!」

突然道の脇から石礫が飛んできた。レオはそれを全て躱す。

ゴブリンが現れた。数は5体。

「やっぱりか!」

そう言ってレオは剣を構えて襲い来るコブリンに備える。

『え?更に北に行くのか?止めとけ、止めとけ。近頃魔物が多く出るようだよ?御領主様もそれをお悩みになっているのに…。』

彼は一泊した宿の主人の言葉を思い出した。

「オラ!」

ガキン!

レオの放つ一撃はコブリンを次々に弾く。コブリン達はなんとか武器で防ぐものの、敗色濃厚だった。
しかし、レオの方もゴブリン達の意外な奮戦に驚かされた。彼ほどの猛者ならば例え1対5であっても普段は一蹴できた。

(コイツラ…やけに武器防具が揃ってやがる…冒険者が来ないから育ったパターンか?)

「中々やるな、だが終わりだ!」

レオは一体のゴブリンの首を刎ねようと剣を振り下ろした。


ガッキーーン


「なん、だと…」

「グエエエ」

剣は止められていた。

「コイツ…」

並のコブリンは身長は130~140cmである。しかし、剣を止めたゴブリンは170cmはある。冒険者からは通常ゴブリンを統率するためゴブリンの将軍…

『ゴブリンジェネラル』

と呼ばれている。

(やばっ!)

レオはポケットに入れておいた砂を投げつけて一時的な目眩ましとしてすぐに逃げ出した。

(一対一なら勝てる…だが、奴の習性的に一人で戦う訳がない!)

未だ最初に出て来た5体のゴブリンさえも始末できていない状態で更にゴブリンジェネラル…そのうえジェネラルは援軍を連れているかもしれないのだ。

『勝てる訳がない』

レオの判断は正しかった。


ガサガサ…

その時、道沿いの茂みから音がした。弓を構えた通常ゴブリンが飛び出してきたのだ。

(やっぱ援軍連れてやがった)


キンキンキン


矢を剣で払い、身を低くしながら突破する。

(当たっかよそんな矢に…だが、ジェネラルの矢だったらまずかったかもな…)

だが…彼は矢に気を取られすぎていた。

「うわっ!」

ドサッ!

何かが彼の足にひかかった。

すぐに起き上がろうとしたが、足に何かが絡まっている。それを確かめると縄が絡まっていた。

(切ってやる!)

レオは剣で縄を切ろうとしたが…その時!肩に激痛が走った。

「ぐっ…」

矢が刺さっていた。矢が飛んできた方に目をやるとジェネラルが弓を持っていた。近くに手ぶらの通常ゴブリンがいるところを見ると弓を受け取ったのだろう。

ゴブリン達が駆け寄ってくる…。

(もはや…これまでなのか…。)

「ゲゲゲケ」

ジェネラルも追いついたようだ。

上から獲物を捕えた肉食獣のような目でレオを見ている。

ジェネラルが斧を構える。

(命乞いはしねーよ。魔物の戦いで戦死したのなら本望だ。)

レオは覚悟を決め、目を瞑る。

グチャ!

「ゲッ?!」

「な、何だ!」

斧が振り下ろされる寸前、異変にレオは気付いた。

眼の前には斧を構えていたゴブリンジェネラルが姿横たわっていた。

レオはわけが分からず周囲を見回した。

「お!お前は…」

そこから先は言葉にできなかった。

そこには身長180cmはありそうな鎧兜を身に着けた騎士らしき格好をしたものがいた。ノース辺境伯の騎士か?と思ったが…その顔を見て再び絶望した。

(ゴブリンキング…しかも…く、黒…変異種か…)

これは終わった。完全に終わった。…と改めて覚悟を決めた。

スンスンスン

ゴブリンキングはレオの匂いを嗅いでいる。

「グン!」

しばらくして何かがわかったらしくレオの傷口を少し開いて矢じりが傷に引っかからないように矢を抜いて縄で縛って止血するとさっきのジェネラルが率いていたゴブリン達に何か命令し、ゴブリン達は担架を持ってきてその上にレオを上げた。レオはゴブリンキングが背を向けた隙に逃げ出そうとしたが…

「速っ!」

「ダ、、ダ、メ、」

(力も並のゴブリンキングじゃない。)

引っかかった時に痛めた脚では逃げられず肩を掴まれ担架に戻されてしまった。

「お、おい…」

どこに行く?!と言いそうになったが、聞いてもどうしようもないことだと途中で聞くのをやめた。そして長旅と戦いの疲れが出たのか…担架の上で寝てしまった。

(どうせ死ぬなら寝ている間の方が良いだろう。)


【エラクレスの部屋】

「うん、そうだ。しばらく離れるから領地のことは二人に頼みたい。」

「「はっ!承知しました。」」

エラクレスはそろそろ王都に出発するため留守を預けることを二人の人物に告げた。元貴族のキナーモとエラクレス領に元からあった村の村長であるトマである。

元々村には村長は居なかったが、トマはフィリクから見どころがあるとして推挙されたから村長に任命したのだ。

フィリクとその二人の弟はエラクレスに同行してもらうことにした。

(彼らも家族が恋しいだろうし、まあネリーキア貴族だからな…。出席させてあげたほうが良いだろう。)

「エラクレス様!ゴブキン殿が人を連れてきましたぞ!どうやら…お目通りを願っている様子です。」

部屋に入ってくるなりフィリクが言った。

「は?」

珍しいなと思いながらエラクレスは

「わかったすぐに行く。どこだ?」

「南門です。」

「よし。」

エラクレスはテレポートを使い、一瞬で到着した。そこにはゴブキンと複数のゴブリンが居た。

「おう!どうしたゴブキン!」

「シュ…クン……コ、コノ…ヒ、ヒト…キット…シュ…クン…ノ…カ…カゾ…ク…。」

エラクレスに会うなりゴブキンはそう言った。

おそらくかなりの人間を食べたのだろう、前より人の言葉が話せるようになっていた。

すると配下のゴブリンが担架を運んで来た。

「え?家族?……あ!」

そこに横たわっている人は見覚えがあった。

「レオ兄!」

「イマ、ネテ…「え、エラクレス!」ル…アレ?」

担架の人…もといエラクレスの従兄レオは担架から跳ね起きた。

「エラク…あ!イテテテてて…。」

「今、治します!」

エラクレスは回復魔法(傷)を使いレオの矢傷を治した。

「イッタ!…く、ない!」

(あっ!そう言えば初対面の印象的に口が軽そうだったから俺の秘密を言ってなかったけ?)

「レオ兄、俺は…「エラクレス!やっぱりエラクレス!俺の従弟だ!」…。」

説明しようとしたら遮られてしまった。

「いや~無事で何よりだ!見たところ健康そうだ!いや~本当に良かった…。オオオオ(泣)」

(えっ?そんな泣き方する?)

レオはエラクレスの身長に合わせて膝を付いて肩をバシバシ!と叩きながら泣き出した。

(気が引けるけど念のため…嘘探知を使って…うん!『真』だ。)

もしこれで『偽』だったらレオは俳優の素質があると思いながらエラクレスは安心した。それからゴブキンにお礼を言おうとゴブキンに声をかけたが…

「ゴブキン!ありがとう!」

「イイエ、シュ…クン…ブ、ブカガ、コノ、ヒトヲ…フ、フショウ…サセテ…シ、シマッタ…。ブカハス、スデニシマツシ、シマシタガ…ツ、ツミハ、シ、ショウカンニモゴザイマス。ド、ドウカ…オ、お裁き…ヲ……。」

ゴブキンはエラクレスの前にこの首を切ってくれと言わんばかりに首を差し出した。

「ん~、レオ兄!レオ兄はどう思います?」

(俺としてはここまで育った優秀な部下だから殺したくないが、実際にゴブリンに襲われたレオ兄の意見を聞くべきだろう。)

ゴブキンは現在南のノース辺境伯領から陸路で来る招かれざる客(貴族からのスパイ)が来るのを防ぐためにエラクレスが設置した南軍団(全員ゴブリンで編成)の総指揮官だ。

「へ?いや、俺は寧ろその…ゴブキン?だっけ?そいつに助けられたから感謝しても恨みはないぞ!それにしても助けに来といて逆に助けられるとは…俺ダッサ!」

レオはエラクレスとの再開の喜びが落ち着いて、助けるつもりが逆に助けられたという事実に少し凹んでいるようだ。

(あ、何かフォローしないといけないな。)

「いえいえ、お気持ちだけで嬉しいですよ!それにしてもゴブキンを恨んでいないようで良かったです!」

「嬉しいこと言ってくれるじゃないか!」

(良かった。少し元気になってくれたかな?)

エラクレスはゴブキンに目を向ける。

「じゃあ今回の事は不問にする、これからの働きを期待する。」

「ナ、ナント、カ、カンヨウナ…ア、アリガタキシアワセ。」

それだけお礼を述べると直ぐ様ゴブキンは手下を連れて去って行った。

「つーかエラクレス!お前って魔物使いだったのか?!俺、初めて魔物使いに会ったぜ!」

魔物使いは殆どこの世界にはいない。理由は定かではないが、まず多大な魔力が必要(多くの人はこの時点で駄目)な上に生まれながら魔物との相性が抜群でなくてはならないと考えられている。

このように考えられている訳は歴史上大魔法使いと呼ばれる人達でも、魔物を従えていた人は10分の1に満たないからである。

なお、エラクレスがあらゆる魔物を従えられている理由は魔神も兼任している戦神アメーナから直接力を与えられているからである。魔神とは『魔』が付く全ての存在を司る。そのような存在から力を与えられたエラクレスはいわばアメーナの一部、彼女に劣ってもその能力の欠片を受け継いでいる。

「ハハッ、レオ兄あまり言いふらさないでくださいよ!貴族共がうるさいですから。」

もう少しで公になるかもだけどと心で思いながら一応注意した。

「むう!お前をここに追いやった貴族がか?!わかった!喋らない!」

思ったよりレオは貴族に怒りを持っているらしく確固たる意志が感じられた。

「しっかしな…やけに栄えてないか?王都ではもっぱらお前は追放されたとか荒野で野垂れ死にしているとか物乞いにまで身を落としたとか言われていたが…ここは立派な城壁、広大な畑、大量の家屋、極めつけにあれは……ネリーキア城じゃないか?」

「それはですねちょっと長くなりますが聞いてください…(省略)」


【5分後】


「ええ!あれを全部お前が!?つまり……お前って最強!?」

当然レオは驚いた。

「ええ…知る限りでは…。」

「はっは~…そいつは驚いた…。」

するとしばらくレオは考え込んだ。

(多分さっきの俺の話を整理しているのだろう流石にあんな現実離れしたことを瞬時に理解できるわけがない。しばらくそっとしておこう。)とエラクレスは思っていたが、レオは…

「じゃあ、俺はここを拠点に冒険者活動をする!仲間も連れてこようと思うが良いか?!」

(どうしてそうなった。でも、やった~!最近はエカとメリアとの時間を大事にしたくて迷宮から溢れ出て来た魔物を虐殺する時間も惜しいからその道の専門家がきてくれるのは助かる!何よりも親族が近くにいるのが嬉しいな。あ、でもお仲間は大丈夫なのか?)

家族の温かみを知りつつも心配するエラクレスであった。

「はい、構いません!それでは家を用意させてましょう!フィリク!頼む。」

「承知しました。」

「おう!頼む!冒険者ってのは野宿も多いからあまり高い家じゃなくて良いぞ、金は…契約書にサインするから冒険者ギルドにそれを送って俺の口座から引き出してくれ。」

「いいえ、レオ兄、今移民は大歓迎ですからタダでいいですよ!」

「マジカ!それは助かる、せっかくの好意だ、甘えさせてもらおう。この分はしっかりと働いて返すぜ!」

「じゃあレオ兄、テレポートするから手を繋いでください。」

「わかった!もう何も驚かないぞ!」

(俺と会った人はみんなもう驚かないとか何も言わないとか言うな。)


こうしてエラクレスとレオは王都の冒険者ギルドに到着しレオと一緒に、戦友4人に来てもらえるように説得に取りかかった。

「あれっ!?お前さんもう帰ってきたのかい?!一週間はかかるとか言ってなかったか?!」

「あーすまん。事情が変わってな…(説明中)」

「へーその子供がなんかいろいろ言われているお前さんの従弟の公爵様か…王都ではあまり良い話を聞かないが、その身なりを見るところ結構しっかりしてそうだな。」

…と弓使いが言った。

(噂に惑わされず、しっかり自分の目を信じれる人だな。知的な人物だ。参謀でもしてるのかな?)

「だが悪いな…お前さんが帰ってくるまでに一仕事しようと思ってもう受けちまった。でも短期任務だから3日とかそこらで終わるよ。」

…と鎧がゴツくていかにも前衛の重戦士っぽい人が野太い声で言った。もう一人は軽装だったため斥候だと思われた。残り一人は弓の手入れをしていたので後衛だと思われる。

「わかった、俺もこんな急に言ってすまない。油断するなよ!そんじゃ!また!」

「「「じゃあな!」」」

戦友達は思ったより早い帰還に驚きつつも興味を示してくれたが、彼らは既に任務を受けておりまた今度となった。

エラクレスとレオはギルドから出た。

「すまんなエラクレス、また頼む事になりそうだ。」

「いや、全然。じゃあ帰りましょうか。」

「おう!」

こうして二人はエラクレス領に帰還した。
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