麗しのマリリン

松浦どれみ

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4月

2−1彼の日記2

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 ※※四月某日、彼の日記から抜粋

 前世で徳でも積んでいたのかと、彼は思った。

「新堂、これ悪いけど一二種類を一枚ずつで綴じて、人数分四〇部作っといてくれ。あ、日直ー! ちょっと来て!」

 帰りのホームルームの後、竜崎が彼を引き留め、プリントの束とホチキスを二つ教卓に置いた。日直の生徒も教卓へ向かってくる。
 今日の日直は彼女だ。

「マリ、放課後少し残ってこれ頼んでいいか? ふたりならそんなに時間もかからないし」
「わかりました」

 特にやる気も不満もなさそうな表情で彼女が返事した。

「詳しくは後で新堂に聞いてくれ。よろしく! あ、これよかったら使って」

 竜崎はそう残し、彼に何かを渡してから足早に教室を去った。
 入学時から、知り合いであることをいいことに雑用を頼まれ若干うっとうしかったが、今日ばかりは彼は竜崎に感謝した。
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