麗しのマリリン

松浦どれみ

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6月

9−3バスでの出来事

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「じゃあ、二班はいつもの組み合わせで座ろう」

 全員が集合し校内のバス乗り場に移動したあと、スミちゃんが二班全体に提案した。それを聞いたヨナ以外の四人は首を捻る。

「「いつもの?」」
「この前の、ULRユナイテッド・ランド・リゾートのお化け屋敷の時と同じだね」

 彼らの質問にはヨナが答えるべく口を開いた。後ろでスミちゃんが頷いている。

「じゃあ乗ろっか」
「うん」

 一班が乗ったところで新堂がマリに笑顔を向けた。マリは頷いて彼についていく。

「マリ、窓と通路側どっちがいい?」
「私はどっちでも。新堂乗り物に弱いんだから窓の方にしたら?」
「ありがとう」

 マリは新堂に窓側をすすめて自分は通路側に座った。通路を挟んで反対側にはヨナがいる。

「マリたち、飴食べる?」
「うん、もらう。ありがとう」

 マリはヨナから飴を受け取り新堂に手渡した。

「新堂、飴食べよう。ヨナがくれたの」
「ありがとう、マリ。ヨナもありがとう」
「ううん」

(ヨナもって……)

 ヨナは新堂とマリに笑顔を返しながら、自分がすっかりおまけになっていることに心の中で苦笑した。彼らに言ってもしかたがないので隣の席にいるスミちゃんに耳打ちする。

「あの二人、すっかり付き合ってる感出てるよね。マリは無意識みたいだけど」
「そうなんだよね。新堂はけっこう確信犯的なのにね」

 スミちゃんがヨナ越しに、談笑しているマリと新堂に視線を移した。ヨナが何度も首を縦に振る。

「そうそう、溺愛してますっていうのがダダ漏れ」

 ヨナの言葉に、スミちゃんは口角を上げる。

「この宿泊研修で、カップル宣言しちゃうのか~?」
「ワクワクするね」
「ん?」

 小声で盛り上がりヨナとキャッキャしていたスミちゃんは、眉を上げ瞬きをした。なぜなら視線の先の新堂が、マリに見られないようこっそり目配せをしてきたように見えたからだ。彼の目は前髪で隠れてほぼ見えないし、いくらなんでも会話が聴こえる距離ではない。間にいるマリは全くの無反応だ。

 しかし、スミちゃんはそれが自分の思い違いではないと知る。

 マリが研修のしおりを開いている隙に、スミちゃんは再び新堂と視線が合ったのだ。
 そして、新堂は人差し指を立てて自分の唇に前に持っていった。わずかに開いて「シー」と言っているように見える。

「はいはい。わかりましたよ」

 スミちゃんが呟くと、彼は一度頷いてマリに視線を戻していた。

「スミちゃん、どうしうたの?」

 発言の意図が分からなかったヨナが不思議そうに問いかける。

「なんでもない。しいて言うなら私たちは「見守る会」だって話」

 スミちゃんはヨナに返事をしながら、会話を弾ませ笑顔を見せるマリと新堂を見て静かに微笑んだ。
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みんなの感想(2件)

宝月 蓮
2023.09.03 宝月 蓮

青春ど真ん中な雰囲気でとても面白いです!
続きも楽しみにしてます!

2023.09.04 松浦どれみ

蓮さん
こんにちは☺️
感想ありがとうございます!
とうの昔に高校生活を終えていますが、いつまでも大好きな少女漫画のような世界を作りたくて書きました。
ちょっとお休みしていますが最後まで書き切りますので、引き続き応援お願いします✨

解除
2023.04.19 ユーザー名の登録がありません

退会済ユーザのコメントです

2023.04.19 松浦どれみ

ふりったぁさん
こんばんは😊
感想ありがとうございます✨
これから恋愛をカンフル剤にヒロインの成長を描いていくつもりなのでどうか見守ってやってください。
拙い文章ですが読んでいただけたことが励みになっています!
これからもよろしくお願いします✨

解除

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