116 / 230
第四章 ふたりは恋人! オリビア&リアム
117、恋人はマッチョ騎士(中編)4
しおりを挟む
それから、少し歩いて広場へ向かう。一度振り向くとアンナの店には「閉店」と書かれた看板がかかっていた。どうやら今日の売り上げ分に大いに貢献したようだとオリビアは思った。
「リアム様、本当にありがとうございます。知らずとはいえこんなに高額なものを……」
「いいんだ。それに首飾りが欲しかったのは、私が贈った指輪のためだろう? むしろ嬉しいよ」
「大切にします」
今日会ってからリアムは終始優しい笑顔で、一緒にいる時間がこんなに楽しいのかと思う。今まで恋愛には全く興味がなかったオリビアだが、世の男女がのめり込む理由が少し理解できる気がした。
そして、先日の指輪に続き今日も高額なプレゼントをもらったオリビアは、自分も彼に何か返したいという気持ちに駆られる。
「リアム様、先日の指輪も含めてお礼に私も何か贈りたいのですが……」
「オリビア嬢から私に?」
リアムにとっては予想外の申し出だったのか、彼は目を丸くして首を傾げた。オリビアは力強く頷く。
「はい。私も店舗経営などで収入はありますから、なんでも構いません! 何か欲しいものや買い替えを検討しているものはありませんか?」
「うーん……。本当になんでもいいのか?」
「え、ええ。「家」とかになりますとクリスタル領内限定になりますが……」
オリビアは口元を引きつらせて返事をした。さすがになんでもは言い過ぎただろうか。しかし三十万エールが高額という認識がある彼はきっとまともな金銭感覚の持ち主だと信じて返事を待った。
「ではその耳飾りはどうだろう?」
「え? 耳飾り……ですか?」
リアムからの返事は意外なものだった。彼が指差している耳飾りは一見なんの変哲もないクリスタルの耳飾りだ。しかし、実際にはリタやジョージとの連絡手段である。オリビアの問いにリアムが頷き、話を続けた。
「ああ、その石はリタやジョージがつけているものと同じではないか? 私も同じ石を使った耳飾りが欲しいと思ったんだ。……ダメだろうか?」
オリビアは一瞬悩んだ。この耳飾りは自分の魔法を明かさないと渡せない代物だからだ。
「……わかりました。ご用意しますわ。加工などにしばらくお日にちをいただきたいのですがよろしいでしょうか?」
「ああ、もちろんだ! ありがとう、オリビア嬢。嬉しいよ」
いずれそう遠くない未来、彼に魔法を明かすそのときに渡そう——。
オリビアは目を細め口元から白い歯を覗かせ、まるでまだあどけない少年のような笑みを浮かべるリアムを見て自分にそう誓った。そして彼の腕に自分の腕を絡ませ、ゆっくりと歩き出した。
>>続く
「リアム様、本当にありがとうございます。知らずとはいえこんなに高額なものを……」
「いいんだ。それに首飾りが欲しかったのは、私が贈った指輪のためだろう? むしろ嬉しいよ」
「大切にします」
今日会ってからリアムは終始優しい笑顔で、一緒にいる時間がこんなに楽しいのかと思う。今まで恋愛には全く興味がなかったオリビアだが、世の男女がのめり込む理由が少し理解できる気がした。
そして、先日の指輪に続き今日も高額なプレゼントをもらったオリビアは、自分も彼に何か返したいという気持ちに駆られる。
「リアム様、先日の指輪も含めてお礼に私も何か贈りたいのですが……」
「オリビア嬢から私に?」
リアムにとっては予想外の申し出だったのか、彼は目を丸くして首を傾げた。オリビアは力強く頷く。
「はい。私も店舗経営などで収入はありますから、なんでも構いません! 何か欲しいものや買い替えを検討しているものはありませんか?」
「うーん……。本当になんでもいいのか?」
「え、ええ。「家」とかになりますとクリスタル領内限定になりますが……」
オリビアは口元を引きつらせて返事をした。さすがになんでもは言い過ぎただろうか。しかし三十万エールが高額という認識がある彼はきっとまともな金銭感覚の持ち主だと信じて返事を待った。
「ではその耳飾りはどうだろう?」
「え? 耳飾り……ですか?」
リアムからの返事は意外なものだった。彼が指差している耳飾りは一見なんの変哲もないクリスタルの耳飾りだ。しかし、実際にはリタやジョージとの連絡手段である。オリビアの問いにリアムが頷き、話を続けた。
「ああ、その石はリタやジョージがつけているものと同じではないか? 私も同じ石を使った耳飾りが欲しいと思ったんだ。……ダメだろうか?」
オリビアは一瞬悩んだ。この耳飾りは自分の魔法を明かさないと渡せない代物だからだ。
「……わかりました。ご用意しますわ。加工などにしばらくお日にちをいただきたいのですがよろしいでしょうか?」
「ああ、もちろんだ! ありがとう、オリビア嬢。嬉しいよ」
いずれそう遠くない未来、彼に魔法を明かすそのときに渡そう——。
オリビアは目を細め口元から白い歯を覗かせ、まるでまだあどけない少年のような笑みを浮かべるリアムを見て自分にそう誓った。そして彼の腕に自分の腕を絡ませ、ゆっくりと歩き出した。
>>続く
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
65
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる