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第四章 ふたりは恋人! オリビア&リアム
119、恋人はマッチョ騎士(後編)2
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「ごめんなさい。からかうつもりはないのよ。これでお兄様の花嫁候補がいなくなってしまったわね?」
「最初から違います! デートのお邪魔でしょうから、私はカウンターに戻りますね」
オリビアは顔を真っ赤にしてカウンターに戻っていくリタを眺めながら、クスクスと笑う。
先日は呼び方がいつも通りリタ様だった気がするので、今日、自分たちが来る前にふたりには何か進展があったのだろう。
あの様子では小さな一歩と言ったところだろうが、姉妹同然のリタに恋人ができる兆しはオリビアにとっても嬉しいものだった。
「リタはあの店主と?」
「あの様子ですともうしばらくかかりそうですが……」
「そうか、それは楽しみだな」
「ええ、とっても」
その後、エルがハーブティーを用意してオリビアとリアムの前に差し出した。カップから花のようなふわりと甘い香りが立ち上る。
「いただきます……おいしい!」
「本当ですか?」
「花の香りと、柑橘の爽やかな風味が絶妙だな。おいしい」
「嬉しいなあ~。気を落ち着かせる効果のある花ですから、きっと夜もぐっすり眠れますよ。おふたりとも明日も学校やお仕事があるでしょう?」
オリビアとリアムがハーブティーを飲んで感想を伝えると、エルは口元を緩ませ微笑んだ。首を傾げた拍子に彼の灰色の髪が揺れ、長い前髪の隙間から灰色の瞳が弧を描いているのがわかる。
「ありがとう、エル。助かるわ」
「喜んでもらえて嬉しいです! あ、僕食事の準備しますね!」
エルはほんのりはにかんでパタパタとカウンターへ戻っていった。
「いい店だな」
「気に入っていただけて嬉しいです」
リアムがハーブティーを飲んで笑顔を漏らした。そして、カウンターで食事の準備をしているエルに視線を移していた。その隣にはリタもいる。手伝いをしているようだ。
「彼、瞳も灰色なんだな。珍しい、初めて見た」
「リタの話ではどうやらお母様が異国の出身だとか……あ!」
オリビアは言い切る直前でハッと目を見開き慌てて自分の手で口を塞いだ。ジュエリトスの貴族の中には他国との混血を良しとしない者がいるからだ。目の前のリアムが静かに微笑む。
「そうか……。ああ、私は人の出自に興味はないから心配しないで。貿易などで他国との交流はあるのだから、異国の民と結ばれる者も当然いるだろう。ジュエリトスは国王陛下がそうなのだから」
「それを聞いて安心しました。私は辺境の出身なので他国からの移民や混血は珍しくありませんでしたので……」
「アレキサンドライト家は全員私と同じ意見だから安心していいよ」
「はい」
リアムからの優しい言葉にオリビアはホッと安堵の息を漏らした。
>>続く
「最初から違います! デートのお邪魔でしょうから、私はカウンターに戻りますね」
オリビアは顔を真っ赤にしてカウンターに戻っていくリタを眺めながら、クスクスと笑う。
先日は呼び方がいつも通りリタ様だった気がするので、今日、自分たちが来る前にふたりには何か進展があったのだろう。
あの様子では小さな一歩と言ったところだろうが、姉妹同然のリタに恋人ができる兆しはオリビアにとっても嬉しいものだった。
「リタはあの店主と?」
「あの様子ですともうしばらくかかりそうですが……」
「そうか、それは楽しみだな」
「ええ、とっても」
その後、エルがハーブティーを用意してオリビアとリアムの前に差し出した。カップから花のようなふわりと甘い香りが立ち上る。
「いただきます……おいしい!」
「本当ですか?」
「花の香りと、柑橘の爽やかな風味が絶妙だな。おいしい」
「嬉しいなあ~。気を落ち着かせる効果のある花ですから、きっと夜もぐっすり眠れますよ。おふたりとも明日も学校やお仕事があるでしょう?」
オリビアとリアムがハーブティーを飲んで感想を伝えると、エルは口元を緩ませ微笑んだ。首を傾げた拍子に彼の灰色の髪が揺れ、長い前髪の隙間から灰色の瞳が弧を描いているのがわかる。
「ありがとう、エル。助かるわ」
「喜んでもらえて嬉しいです! あ、僕食事の準備しますね!」
エルはほんのりはにかんでパタパタとカウンターへ戻っていった。
「いい店だな」
「気に入っていただけて嬉しいです」
リアムがハーブティーを飲んで笑顔を漏らした。そして、カウンターで食事の準備をしているエルに視線を移していた。その隣にはリタもいる。手伝いをしているようだ。
「彼、瞳も灰色なんだな。珍しい、初めて見た」
「リタの話ではどうやらお母様が異国の出身だとか……あ!」
オリビアは言い切る直前でハッと目を見開き慌てて自分の手で口を塞いだ。ジュエリトスの貴族の中には他国との混血を良しとしない者がいるからだ。目の前のリアムが静かに微笑む。
「そうか……。ああ、私は人の出自に興味はないから心配しないで。貿易などで他国との交流はあるのだから、異国の民と結ばれる者も当然いるだろう。ジュエリトスは国王陛下がそうなのだから」
「それを聞いて安心しました。私は辺境の出身なので他国からの移民や混血は珍しくありませんでしたので……」
「アレキサンドライト家は全員私と同じ意見だから安心していいよ」
「はい」
リアムからの優しい言葉にオリビアはホッと安堵の息を漏らした。
>>続く
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