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第四章 ふたりは恋人! オリビア&リアム
120、恋人はマッチョ騎士(後編)3
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しばらくして、リタとエルがふたりで合作したという料理を何品か運んできた。
どちらが調理に貢献したかを褒め合うふたりを見て、オリビアは内心自分をダシにして共同作業とは大胆だなと思っていた。
「ジュエリトスでは味わったことのない味付けだったが、おいしかった」
「お口にあってよかったですわ」
(アレは完全にタンドリーチキンだったわ。エル……スパイスを消費したかったのね)
満足げに目を細めるリアムを見て、料理が口に合って本当によかったと安心した。そして、食後のお茶を飲みながら、本題に入る。
「リアム様、私レオン殿下とお話しいたしました」
「そうか。殿下はなんと?」
「陛下が勘違いをしてレオン殿下を気遣ったため、私たちの婚約は保留となったそうです。期限は二ヶ月。二ヶ月経っても私たちの気持ちが変わらなければ、陛下は婚約を許可すると……」
「なるほど。二ヶ月というのはそういうことだったのか……」
オリビアの話を聞いてリアムが頷き呟いた。話のそぶりだと彼もまた保留の期限について知っていたようだ。今度はオリビアが質問を投げかける。
「リアム様、ご存知だったのですか?」
「実は先日、姉のシャーロットに会ったんだ。婚約者のアイザック殿下から又聞きというかたちだから経緯はわからなかったが、「レオン殿下のために二ヶ月間保留にした」と聞いてね」
「そうでしたか……。では、レオン殿下の話は本当のようですね」
「そうみたいだ。ただ、本当にレオン殿下の君への気持ちは陛下の勘違いなのだろうか?」
リアムが今度は不安げに深緑の瞳を伏せる。先日のサイラスの話や入学時のパーティーの件が後を引いてるのだろう。オリビアはテーブルの上にあったリアムの手に、自分の両手を重ねた。
「大丈夫ですわ、リアム様。レオン殿下は「自分も止めたが聞き入れてもらえなかった」と謝ってくださいました。私のことは友人だと思ってくれているようです。私はリアム様の恋人です。安心してください」
「そうだったな。婚約がお預けになったのは寂しいが、私たちが恋人であることは変わらなかったな……。ありがとう、オリビア嬢」
リアムが手を返して軽く握る。彼の手は大きく先ほどまで重なっていたオリビアの両手はその中にすっぽりとおさまった。そしてとても温かい。
愛おしいという感情を惜しげもなく込めた優しい笑顔に応えながら、オリビアは心の中までポカポカと温まるのを感じた。
>>続く
ここまで読んでいただきありがとうございます!
感想など頂けたら嬉しいです😊
次回もよろしくお願いします!
どちらが調理に貢献したかを褒め合うふたりを見て、オリビアは内心自分をダシにして共同作業とは大胆だなと思っていた。
「ジュエリトスでは味わったことのない味付けだったが、おいしかった」
「お口にあってよかったですわ」
(アレは完全にタンドリーチキンだったわ。エル……スパイスを消費したかったのね)
満足げに目を細めるリアムを見て、料理が口に合って本当によかったと安心した。そして、食後のお茶を飲みながら、本題に入る。
「リアム様、私レオン殿下とお話しいたしました」
「そうか。殿下はなんと?」
「陛下が勘違いをしてレオン殿下を気遣ったため、私たちの婚約は保留となったそうです。期限は二ヶ月。二ヶ月経っても私たちの気持ちが変わらなければ、陛下は婚約を許可すると……」
「なるほど。二ヶ月というのはそういうことだったのか……」
オリビアの話を聞いてリアムが頷き呟いた。話のそぶりだと彼もまた保留の期限について知っていたようだ。今度はオリビアが質問を投げかける。
「リアム様、ご存知だったのですか?」
「実は先日、姉のシャーロットに会ったんだ。婚約者のアイザック殿下から又聞きというかたちだから経緯はわからなかったが、「レオン殿下のために二ヶ月間保留にした」と聞いてね」
「そうでしたか……。では、レオン殿下の話は本当のようですね」
「そうみたいだ。ただ、本当にレオン殿下の君への気持ちは陛下の勘違いなのだろうか?」
リアムが今度は不安げに深緑の瞳を伏せる。先日のサイラスの話や入学時のパーティーの件が後を引いてるのだろう。オリビアはテーブルの上にあったリアムの手に、自分の両手を重ねた。
「大丈夫ですわ、リアム様。レオン殿下は「自分も止めたが聞き入れてもらえなかった」と謝ってくださいました。私のことは友人だと思ってくれているようです。私はリアム様の恋人です。安心してください」
「そうだったな。婚約がお預けになったのは寂しいが、私たちが恋人であることは変わらなかったな……。ありがとう、オリビア嬢」
リアムが手を返して軽く握る。彼の手は大きく先ほどまで重なっていたオリビアの両手はその中にすっぽりとおさまった。そしてとても温かい。
愛おしいという感情を惜しげもなく込めた優しい笑顔に応えながら、オリビアは心の中までポカポカと温まるのを感じた。
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