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1章
雨の中の男の子
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夕立の時の真っ黒な雲が、私の手にくっついてる。
その黒い雲がゆっくりゆっくり、ヘビみたいに形を変えて腕の方へと上ってくる。
ん? 私、目がおかしくなった?
ゲームのし過ぎで、疲れ目かな?
なんて思ったけど、ちがう。
黒い雲がぎゅうっと締めつけてきたせいで、腕が痛くなってきた。
腕をブンブン振り払うけど、全然取れない!
「やだっ。何なのこれ⁈」
思わず叫ぶと、
ぱこっ、ぱこっ。軽い音がして、テーブルに目をやった。
あれ? 箱が光って、小さくジャンプしてる!
思わず左手を伸ばしたら、側面に当たって箱が横に倒れた。
その拍子にぱかっとふたが開いた!
え? どうして? さっきは絶対に開かなかったのに。
コトリ。
箱から出てきたのは、長細い棒。
持ち手みたいな部分は透明なしずく型。
棒と持ち手の境目に、紫の石と緑の石が一つずつついてる。
こんなおしゃれな棒が入ってたんだ!
棒はまるで私を呼ぶように、やわらかく点滅してる。
……助けてくれるの?
そんな気がして、左手を伸ばして棒をぎゅっと握りしめた。
カチリと何かの音がした。なんの音だろ?
不思議に思ってるヒマもなく、もうすでに、黒い雲が肩までのぼってきてる。
「やだっ、どっか行って!」
たたくみたいに、棒を肩に向けて思い切りブンッと振った。そしたら、
きらん、きらん ♪♪♪♪♪
棒の先から氷みたいな結晶と一緒に、光る音符が出てきた!
「え? えええ?」
黒い丸に旗みたいなものがついた音符が五つほど!
音符たちはしばらくぷかぷか浮いた後、それぞれ黒い雲に向かっていって、ぴたっとくっついた。
シュウウ!
うわ! 蒸発するみたいに黒い雲が消えちゃった!
さっきまで、腕や肩にまとわりついていたのに。黒い雲が跡形もなく、消えちゃった!
「良かった。消えた……」
な、なんかよくわかんないけど、助かったぁ。
コハクは開かない箱だからいらないって言ってたけど、ちゃんといいおもちゃが入ってたじゃない!
いや~~。音符が出てくるなんて、今時のおもちゃってすごいなぁ。
ブンブン振ってみるけど、もう何も出てこない。
そう言えば、小さい頃、アニメのマネして魔法使いごっこやったなぁ。
なつかしい~~
「ぴろりん、ぱろりん、マジカルシャワー……なーんて」
一回転して棒を振ったら、
「……それ、呪文?」
……いきなりの声に、凍りついた。
だって、目の前に青い傘をさした男の子がにこにこ笑って私を見てたから。
背は私より少し高いくらい。少し長めの前髪に、茶色の瞳。
パーカーとジーンズを着てて、すらっと細い。
や、や、やばい。すっごくはずかしいところ見られた。
一人で魔法使いごっこしてるなんて……な、なんて言い訳したらいいの⁈
唐辛子を丸ごと食べたみたいに、かーっと熱くなってくる。
「そのタクト、ちょっと見せてもらってもいい?」
男の子が手を差し出してきて、私はとっさに棒を隠す。
な、な、なんで? この子、一緒に魔法使いごっこしたいの?
いや、ちがう。まさかこのタクトを奪おうとしてる⁈
「あの、わ、私、急いでるので。さよならーーーー!」
まだ降ってる雨の中を夢中で走って逃げだした。
その黒い雲がゆっくりゆっくり、ヘビみたいに形を変えて腕の方へと上ってくる。
ん? 私、目がおかしくなった?
ゲームのし過ぎで、疲れ目かな?
なんて思ったけど、ちがう。
黒い雲がぎゅうっと締めつけてきたせいで、腕が痛くなってきた。
腕をブンブン振り払うけど、全然取れない!
「やだっ。何なのこれ⁈」
思わず叫ぶと、
ぱこっ、ぱこっ。軽い音がして、テーブルに目をやった。
あれ? 箱が光って、小さくジャンプしてる!
思わず左手を伸ばしたら、側面に当たって箱が横に倒れた。
その拍子にぱかっとふたが開いた!
え? どうして? さっきは絶対に開かなかったのに。
コトリ。
箱から出てきたのは、長細い棒。
持ち手みたいな部分は透明なしずく型。
棒と持ち手の境目に、紫の石と緑の石が一つずつついてる。
こんなおしゃれな棒が入ってたんだ!
棒はまるで私を呼ぶように、やわらかく点滅してる。
……助けてくれるの?
そんな気がして、左手を伸ばして棒をぎゅっと握りしめた。
カチリと何かの音がした。なんの音だろ?
不思議に思ってるヒマもなく、もうすでに、黒い雲が肩までのぼってきてる。
「やだっ、どっか行って!」
たたくみたいに、棒を肩に向けて思い切りブンッと振った。そしたら、
きらん、きらん ♪♪♪♪♪
棒の先から氷みたいな結晶と一緒に、光る音符が出てきた!
「え? えええ?」
黒い丸に旗みたいなものがついた音符が五つほど!
音符たちはしばらくぷかぷか浮いた後、それぞれ黒い雲に向かっていって、ぴたっとくっついた。
シュウウ!
うわ! 蒸発するみたいに黒い雲が消えちゃった!
さっきまで、腕や肩にまとわりついていたのに。黒い雲が跡形もなく、消えちゃった!
「良かった。消えた……」
な、なんかよくわかんないけど、助かったぁ。
コハクは開かない箱だからいらないって言ってたけど、ちゃんといいおもちゃが入ってたじゃない!
いや~~。音符が出てくるなんて、今時のおもちゃってすごいなぁ。
ブンブン振ってみるけど、もう何も出てこない。
そう言えば、小さい頃、アニメのマネして魔法使いごっこやったなぁ。
なつかしい~~
「ぴろりん、ぱろりん、マジカルシャワー……なーんて」
一回転して棒を振ったら、
「……それ、呪文?」
……いきなりの声に、凍りついた。
だって、目の前に青い傘をさした男の子がにこにこ笑って私を見てたから。
背は私より少し高いくらい。少し長めの前髪に、茶色の瞳。
パーカーとジーンズを着てて、すらっと細い。
や、や、やばい。すっごくはずかしいところ見られた。
一人で魔法使いごっこしてるなんて……な、なんて言い訳したらいいの⁈
唐辛子を丸ごと食べたみたいに、かーっと熱くなってくる。
「そのタクト、ちょっと見せてもらってもいい?」
男の子が手を差し出してきて、私はとっさに棒を隠す。
な、な、なんで? この子、一緒に魔法使いごっこしたいの?
いや、ちがう。まさかこのタクトを奪おうとしてる⁈
「あの、わ、私、急いでるので。さよならーーーー!」
まだ降ってる雨の中を夢中で走って逃げだした。
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