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8章
2 奇跡の再会
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真ん中に小さな噴水があって、バラがたくさん植えられてる。
木陰のベンチに座って、おばあさんがぼんやり花壇を眺めていた。
ぶわっと胸の奥が熱くなって、すうっと息を吸い込んだ。
「むつ子さん!」
私が叫ぶと、むつ子さんが驚いた顔でメガネのフチを持ち上げた。
かけてくる私たちを見て、何度もまばたきをする。
「瑞希くんにひなりちゃんじゃないの! どうしたのこんなところに」
むつ子さんはゆっくり立ち上がって、びっくりした顔で私たちを迎えてくれた。
「あらあら、たくさん花びらをつけて……おや? ずいぶん二人とも背が伸びたわねぇ。まるで一晩で一気に伸びたみたいに」
むつ子さんは顔をくしゃっとさせて、私の肩や髪についた桜の花びらを取ってくれる。
……むつ子さんだ。私、ほんとにむつ子さんに会えてる。
信じられない気持ちと、会えたうれしさで心の中がぐちゃぐちゃだ。
いつも一緒に遊んでくれて、本を読んでくれて、話をきいてくれて、お花の名前を教えてくれた……大好きなむつ子さんが目の前にいる。
「むつ子さん、私っ、……」
胸がいっぱいで言葉が出てこない。
それは瑞希も同じみたいで、何かを言おうとしてるけど、くちびるが少し動くだけ。
「……病院まで来てくれるなんて、びっくりしたけどうれしいわ。ほんと、ごめんなさいね。心配かけて。ひなりちゃん、風邪ひいたってきいたけど、もう治った?」
「……うん。治ったよ。すごく、元気だよ」
「そう。良かった。瑞希くんも走りすぎて足が痛いって言ってたけど、大丈夫?」
「うん。平気」
「良かったわ。二人が元気なのが一番うれしいからね」
むつ子さんが目を細めた時、ピピピピピ……と時間移動機が鳴り響いた。
ハッとして、瑞希が時間移動機に目をやった。
「ひなり、画面が消えかかってる。やばいかもしれない。行くぞ!」
「で、でも……会ったばかりなのに」
「いいから。本当に戻れなくなる」
「でもっ……」
せっかく……せっかく会えたのに、もう行かなきゃならないの?
それに……この後、むつ子さんは倒れちゃうんだよ。
分かってるのに、放っておけないよ。
私たちが今、どうにかしたら、むつ子さんは死んじゃわなくてすむかもしれない。
私の考えてることが分かったのか、瑞希が私の耳元に顔をよせてきた。
「おれたちが勝手に人の運命を……過去を変えるのは許されないはずだ」
瑞希のささやきに、私はぎゅうっと胸が苦しくなる。
「だけどっ……」
瑞希は言い返そうとする私を強くにらみつけた。
「……ひなりだって本当は分かってるだろ?」
瑞希の言葉にぐっと喉が苦しくなる。
……分かってる。きっと、一人の人生を変えるくらいに大きく過去を変えてしまったら、リゼが言ってた通り、私と瑞希は時間警察につかまって時間牢行きだ。
でも。でもっ。むつ子さんが……
分かってるはずの気持ちとコントロールできない感情がぶつかって、頭の奥が熱くなってくる。
「むつ子さん、おれたち行くね。……会えて良かった」
瑞希はかすれた声で言った後、私の腕を無理やり引っ張った。
「ちょ、ちょっと待ってよ、瑞希っ」
瑞希の手を振りほどこうと腕をブンブンするけど、断固として離してくれない。
そのまま、瑞希が走り出した。
「あ、ありがとうねぇ。瑞希くん、ひなりちゃん」
むつ子さんがあわてて私たちに呼びかける。
私は瑞希に引っ張られて走りながらも、何度もむつ子さんに手を振った。
分かってる。もう一度会えただけでもすごいことで、奇跡だってこと。
だけど、もっとむつ子さんと話したかったよ。
これから倒れてしまうむつ子さんの運命を……何とかしてあげたかった。
胸にこみあげてくる、いろんな気持ちをおさえつけながら走る。
丘の下まで走り切ったところで、ようやく私たちは足を止めた。
「よし、帰るぞ」
瑞希が私の返事をきくことなく、ボタンを押した。
目の前がぐるんと回転して、その後何も見えなくなった。
木陰のベンチに座って、おばあさんがぼんやり花壇を眺めていた。
ぶわっと胸の奥が熱くなって、すうっと息を吸い込んだ。
「むつ子さん!」
私が叫ぶと、むつ子さんが驚いた顔でメガネのフチを持ち上げた。
かけてくる私たちを見て、何度もまばたきをする。
「瑞希くんにひなりちゃんじゃないの! どうしたのこんなところに」
むつ子さんはゆっくり立ち上がって、びっくりした顔で私たちを迎えてくれた。
「あらあら、たくさん花びらをつけて……おや? ずいぶん二人とも背が伸びたわねぇ。まるで一晩で一気に伸びたみたいに」
むつ子さんは顔をくしゃっとさせて、私の肩や髪についた桜の花びらを取ってくれる。
……むつ子さんだ。私、ほんとにむつ子さんに会えてる。
信じられない気持ちと、会えたうれしさで心の中がぐちゃぐちゃだ。
いつも一緒に遊んでくれて、本を読んでくれて、話をきいてくれて、お花の名前を教えてくれた……大好きなむつ子さんが目の前にいる。
「むつ子さん、私っ、……」
胸がいっぱいで言葉が出てこない。
それは瑞希も同じみたいで、何かを言おうとしてるけど、くちびるが少し動くだけ。
「……病院まで来てくれるなんて、びっくりしたけどうれしいわ。ほんと、ごめんなさいね。心配かけて。ひなりちゃん、風邪ひいたってきいたけど、もう治った?」
「……うん。治ったよ。すごく、元気だよ」
「そう。良かった。瑞希くんも走りすぎて足が痛いって言ってたけど、大丈夫?」
「うん。平気」
「良かったわ。二人が元気なのが一番うれしいからね」
むつ子さんが目を細めた時、ピピピピピ……と時間移動機が鳴り響いた。
ハッとして、瑞希が時間移動機に目をやった。
「ひなり、画面が消えかかってる。やばいかもしれない。行くぞ!」
「で、でも……会ったばかりなのに」
「いいから。本当に戻れなくなる」
「でもっ……」
せっかく……せっかく会えたのに、もう行かなきゃならないの?
それに……この後、むつ子さんは倒れちゃうんだよ。
分かってるのに、放っておけないよ。
私たちが今、どうにかしたら、むつ子さんは死んじゃわなくてすむかもしれない。
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瑞希のささやきに、私はぎゅうっと胸が苦しくなる。
「だけどっ……」
瑞希は言い返そうとする私を強くにらみつけた。
「……ひなりだって本当は分かってるだろ?」
瑞希の言葉にぐっと喉が苦しくなる。
……分かってる。きっと、一人の人生を変えるくらいに大きく過去を変えてしまったら、リゼが言ってた通り、私と瑞希は時間警察につかまって時間牢行きだ。
でも。でもっ。むつ子さんが……
分かってるはずの気持ちとコントロールできない感情がぶつかって、頭の奥が熱くなってくる。
「むつ子さん、おれたち行くね。……会えて良かった」
瑞希はかすれた声で言った後、私の腕を無理やり引っ張った。
「ちょ、ちょっと待ってよ、瑞希っ」
瑞希の手を振りほどこうと腕をブンブンするけど、断固として離してくれない。
そのまま、瑞希が走り出した。
「あ、ありがとうねぇ。瑞希くん、ひなりちゃん」
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分かってる。もう一度会えただけでもすごいことで、奇跡だってこと。
だけど、もっとむつ子さんと話したかったよ。
これから倒れてしまうむつ子さんの運命を……何とかしてあげたかった。
胸にこみあげてくる、いろんな気持ちをおさえつけながら走る。
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「よし、帰るぞ」
瑞希が私の返事をきくことなく、ボタンを押した。
目の前がぐるんと回転して、その後何も見えなくなった。
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