R18『サマーネイビーブルー』

緑野かえる

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夏の終わりに

桃と穂高と筋トレ(2/3)※

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 今日は穂高さんのお家に泊まって秋の行楽について計画を練っていた……筈だった。あら?と思っている内に互いのノートパソコンをテーブルに置いたまま、その横で組み敷かれてしまった。

 積極的な人、と……でもその気持ちは分かる。
 穂高さんが忙しかったのと入れ違いで今度は私の方が忙しくて暫く夜を明かせる程、一緒になれる時間が作れなかった。やっと落ち着いて来た今日の休日は昼からお部屋にお邪魔して、夕飯は食べてみたかったお店のデリバリーを頼んで、それで――まあ、そうなりますよね。
 私もそう、ちょっと良い下着を買ってしまって身に着けている。穂高さん、こういうの好きかなーなんて、思ったりもして。

「桃さん」

 そう言えば穂高さんは私の事を“桃さん”と呼んでいる。もう付き合っているのに気軽に呼んでくれても構わないのだけど。
 着ていたお泊り用のワンピースを捲りあげられても今更どうこう思う年齢でもないから、と思っていたら変だな、穂高さんが私の服を全部脱がさない。

 あら?と穂高さんの様子を伺っていればちょっとせっかちにブラジャーの上から胸をぎゅっと掴まれた。痛くはないけど、どうしたんだろう。

「穂高さん……?」
「っ、あ……ごめん、急に掴んで」

 俺が外すよ、と本当に今日は積極的で。
 ついでに私が胸元に溜まっていたワンピースの袖を抜いて潔く脱いでしまえば何か言いたそうな彼の視線に本当にどうしたんだろう、と少し体を起こす。

「……桃さんはその、俺が忙しかったりしても大丈夫?あまりこういった事も、それに桃さんの方の体調の事もあるし、出来る機会が上手くかみ合わない時とか長く続いたりしても」

 ああ、何となく察しが付いた。
 穂高さん、前の彼女と“そうなって”しまったんだ。

「間が空いても、私は気にしないです。それなら今日はこのまま、いっぱいします?」
「桃さん……」

 穂高さんはほっとしたのか、表情が柔らかくなる。
 そして私の軽い冗談を……真に受けてしまったらしい。


 つい、夏帆と一緒にいる時みたいに気軽になってしまった口。
 相変わらず彼の腹筋とか凄くて、引き寄せられるように掴まれた両腕のその先で僅かに触れるその筋肉の隆起を感じていたら「くすぐったい」と言われてもっと引き寄せられてしまう。
 そんなにぐいぐいと寄せられては互いに身動きが取れない。

「桃さん、体が」
「え……」
「前はこんなことしても体が支えられなかったのに」

 背中が浮いている、と言われて気が付く。
 確かに、穂高さんに引っ張られてもどうすることも出来なくてクッションに埋もれてるだけだったのに。

「……ッんん」

 どすん、と強い衝撃がお腹に響く。

「耐えられそう?」

 もう一度。
 引かれて、突き刺さる。

「は、ぐ、」

 どんなに耐えようとしても一度で駄目だった。
 あまりにも深いひと突きに私は負けてしまって背中をラグに落とせばそうだ、ベッドじゃない場所でしてたんだ、と気が付く。

「ごめんごめん」

 もうしない、と力なく落ちてしまった私を見て眉尻を下げる彼を見上げれば「いっぱいする、だっけ」とあの軽い冗談を現実にしてしまおうと……いつもよりゆっくりとした動きで、中の質感を確かめているような、そんな感じで。

 そしてその手もまた、私の体の輪郭を撫でている。
 まだ全然、鍛えられてなんかいない私をそんなに撫でないで欲しいのに。

「あんまり鍛えちゃうと、硬くなっちゃうから」

 むに、とわき腹を軽く摘ままれて種類の違う羞恥に頬が熱くなる。

「俺は程よく柔らかい桃さんがいいな」

 その手が私の胸を遠慮なく掬い上げて寄せたり、指先で弄ばれて形を変えている。
 私は穂高さんが自分の手で“覚える”のが好きなのだと知ってからは揉まれても、ちょっと強めにしつこく擦られてもそのままにしていたけど、今日みたいにずっと確かめられていると流石に恥ずかしい。

 それにナカ、挿れっぱなしだ。
 やっぱり体力のある人に付き合うにはこちらも相応の、ああもう、もどかしくて、どうしたら。

「ふ、」

 息をついた穂高さんをまた、見上げる。

「桃さん、気が付いてない?」

 すり、と下腹部に手が降りてきて、撫でられる。
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