ヘタレαにつかまりまして

三日月

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SS(書き下ろし)

生まれ変わったらαだったんだが、思ったより生きづらくて探してしまうのは止められなかった 3

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学園祭が明日に迫ったせいか、校内はどこもかしこも浮き足立ってる。
放課後、生徒会室にずらずら歩きながら、キャッキャッ騒いでる生徒を遠い目で眺めてしまう。

いやぁ、皆わっかいなぁ。

ミカサは、年齢がハッキリしないけど最期は20代とか下手したら30代だったかもなんだよね。
しかも、学校なんて行ったこと無かったからさ。
こう言う雰囲気は、いつにも増して俯瞰して見ちゃう。

ここに居るのに、まるで居ない感じ。
溶け込めてないというか、溶け込める気が全くしない。
まぁ、毎日コイツら見てても慣れないのに通じるな。

時代が変われば、人も変わる。
俺と松野の前を、恋人繋ぎで色がついたら間違いなくドピンクのフェロモンを纏って歩く菊川桜宮御両人を咎める人間は誰一人居ないのもなぁ。

αは、菊川を恐れ。
βやその中に紛れるΩは、結構好意的に見守っている。

周囲の価値観さえ捩じ伏せる菊川の力にも驚くけど、そんな菊川を完全に手懐けてる桜宮の存在はミカサにとったら理解出来る次元に無い。
いくらこの時代がΩに前向きになってるとはいえ。
こんなに堂々と番の隣をΩが歩いてんのがなぁ。

だから、ついつい桜宮には菊川を立てるよう求めちゃうんだよ。


「アレ、どーにかなんねぇのかな?
明日、外部からも人がくんだろ?」


隣を歩く松野に話し掛ける。
松野は、明日の進行表を生真面目に確認していた視線を上げ御両人の姿を、おい、見たよな?
見たのに、見なかったことにして何手元に戻ってんだよ!


「をぃっ」

「俺がなんとか出来るわけないだろう」


悟ったような顔すんな!
ジジィか!
お前に出来なきゃ、俺だったらもっと出来ないんだからな!

ミカサの時には、αになれば幸せになれると憧れてたしそれになれて万々歳な筈だったんだけどさ。
αになれたくらいじゃ、全然無理。
まず、αは行動に移す前から無理だとわかること多すぎる。
わかるってのは、漠然と感じるとかじゃないんだよな。
明白に事実として目の前にあるの。

それの基準になるのが、αの格付け。
生まれ持った資質に左右され過ぎ。
俺なんか、αの中でも医者一家に生まれてんのに個体としては中の下とかになるから四方八方に無理看板が散らばってる。

無知なミカサだった時の方が、フラットに見える。

菊川の群れに入ってから、外れた看板はあるけどゼロにはならない。
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