ヘタレαにつかまりまして

三日月

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10 嫉妬

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竹居なら、自分を取り合うαやΩを面白がり煽ってわざと争わせそうだ。
今も、向かい側で整列している女子に満遍なく笑顔を向けているせいで、竹居の気を引きたい女子が先生の目を盗み手を振り返したり、ウィンクを送ってくる。


「やだなぁ、俺もそんな気ないよ。
表に立つなんて、めんどくさい」

「へぇ、意外だな」


思わず出てしまった本音。
竹居は気分を害した様子もなく、肩をすくめる。


「αはさ、α同士の格付けがはっきりしてるの。
他のリーダーのテリトリーに入った時点で、どっちが上か下かをハッキリさせたがるのもいてイチイチ絡まれるのめんどくさい。
今の先生の中に、めちゃくちゃ強いαがいないからさ。
校内は群れを作ってるαの数は少ないのに、勢力図が拮抗してるとこもあって自分達の下にどれだけ下らせたかを競わせたり騒がしいんだぜ?
同世代αの格付けで菊川はずば抜けてるから、下に付くなら菊川以外考えられないし、その上なんて頼まれても立ちたくないね」

「倭人さんは、αの格付けから見てそれほど上位なのか?」


素朴な疑問、でしかなかったのに。
竹居も、聞いていた笹部まで吹き出し、松野は頭を掻く。
周りの男子生徒は、何事かとこちらを振り向いてチラチラ伺ってきたけれど、ヤマに睨まれ慌てて前を向きなおしていた。
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