例えβに生まれても

三日月

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26 初対面の王子様

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「清人様のときは..........」


言い淀んだ父さんの眉間の皺が一段と深くなる。
俺を見ていた視線が外れて、後ろから更に彼方へ流れた。


「.....澪様のご意志があったとは言え、そのときの当主はまだ渚様だった。
菊川家では許されざる二人目の子どもに、どうされるか想像してごらん。
使用人は、渚様の指示に従うしかなかったとは言え...清人様が誕生されてから一年後、陽太様が去られてから澪様に代替わりするまでの期間は........」


期間は.......期間は...........

電話で清人様が話されていた言葉が頭に響いた。
『無いものとして扱われたとき』
あぁ、本当に、その期間はどんなふうに清人様は過ごされていたんだろう。

じわり、と。
涙が滲み、視界が歪む。
父さんは、黙って優しく頬を撫で、溢れた涙を指ですくった。
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