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36 計略の王子様
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薄い夏用制服ズボン一枚だと、生地が薄くて下半身が心元無くてね。
清人様のお膝の上でモゾモゾしてしまう。
清人様は、背後からそんな俺の腰に手を回しておられるんだけどね。
く、首にチクチクどころかザクザク視線を感じるっ
とてもとてもご機嫌がよろしいみたいで、フフフッて頭の上から声が漏れ聞こえてくるんだ。
その度に、ブルッと身体が震えちゃう。
清人様はこの事態を喜んでいらっしゃるみたいなんだけど、俺は全然ついていけてないし不安でいっぱいだよ!
「待たせたな」
扉から、疲れた顔の陽太様と不機嫌な顔の飛鳥様が続けて入って来られた。
清人様とバトルにならないよう、二人だけでお話をしてくださっていたのかな。
そのままソファーに座りに来られるって思ったんだけどね。
俺と清人様の体勢を見た途端、お二人の足はストップ。
片眉がピクリと上がる。
き、き、清人様ーーっ
離してくださいっ
俺、慌ててそこからどこうとしたんだよ。
でもね。
清人様は手を緩めてくださらないし、離れようとした俺の項に頬ずりまでしちゃうし、お二人のことなんて眼中にないご様子。
陽太様は、深ーい溜息をつかれると、重い足取りを隠そうともせずにドカッと俺と清人様の前に腰掛けられた。
それから、扉の前で仁王立ちしてる飛鳥様に視線を送って、座れってアイコンタクトされたのかな?
飛鳥様は、渋々といったご様子で、ヒールを必要以上にカツカツ鳴らしながら陽太様の隣に座られたよ。
ガラスのローテーブルを挟んで2対2。
ゴクリと思わず生唾を飲み込んじゃった。
これから何が始まるんだろう。
一番最初に口を開いたのは、陽太様。
「悪いな、ハルちゃん」
俺のことを心配してくださる目は辛そうに陰っていて、そんなの見ちゃうと「とんでもないですっ」って身体を縮めて恐縮。
俺には何も考えつかないし、今がどういう状況なのかもわからない。
陽太様しか頼れなくて、御負担ばかりかけてしまっている自覚はある。
飛鳥様に僕が清人様に噛まれたのを知られちゃったせいで、ずっと車の中で考えておられたし。
飛鳥様は、陽太様が俺に謝るのを見て顔を益々険しくされた。
眉間の皺と引きつった頬の線がクッキリだよ。
睨まれる前に目を逸らしたよ。
「さて、今後のことだが、肝心の澪は出張中で一週間は戻れない。
だから、それまでの間は俺が決めることに従ってもらう」
陽太様は、良いなって一人一人と目を合わせて確認されたんだけど。
飛鳥様はプイッと目を逸らされるし、後ろの清人様はちゃんと聞いておられるのかな?
俺が確認のためにチラッと振り返ったら、ニッコリ微笑まれてね。
「ハルは何も心配しなくて大丈夫だよ」と甘く囁いてくださった。
し、至近距離ぃっっ
威力が強すぎて、ぷしゅう~と頭から湯気が出ちゃうよっ
顔を真っ赤にして項垂れた俺は、清人様に背を引き寄せられてされるがまま。
陽太様と目を合わせることが出来なかったよ。
清人様のお膝の上でモゾモゾしてしまう。
清人様は、背後からそんな俺の腰に手を回しておられるんだけどね。
く、首にチクチクどころかザクザク視線を感じるっ
とてもとてもご機嫌がよろしいみたいで、フフフッて頭の上から声が漏れ聞こえてくるんだ。
その度に、ブルッと身体が震えちゃう。
清人様はこの事態を喜んでいらっしゃるみたいなんだけど、俺は全然ついていけてないし不安でいっぱいだよ!
「待たせたな」
扉から、疲れた顔の陽太様と不機嫌な顔の飛鳥様が続けて入って来られた。
清人様とバトルにならないよう、二人だけでお話をしてくださっていたのかな。
そのままソファーに座りに来られるって思ったんだけどね。
俺と清人様の体勢を見た途端、お二人の足はストップ。
片眉がピクリと上がる。
き、き、清人様ーーっ
離してくださいっ
俺、慌ててそこからどこうとしたんだよ。
でもね。
清人様は手を緩めてくださらないし、離れようとした俺の項に頬ずりまでしちゃうし、お二人のことなんて眼中にないご様子。
陽太様は、深ーい溜息をつかれると、重い足取りを隠そうともせずにドカッと俺と清人様の前に腰掛けられた。
それから、扉の前で仁王立ちしてる飛鳥様に視線を送って、座れってアイコンタクトされたのかな?
飛鳥様は、渋々といったご様子で、ヒールを必要以上にカツカツ鳴らしながら陽太様の隣に座られたよ。
ガラスのローテーブルを挟んで2対2。
ゴクリと思わず生唾を飲み込んじゃった。
これから何が始まるんだろう。
一番最初に口を開いたのは、陽太様。
「悪いな、ハルちゃん」
俺のことを心配してくださる目は辛そうに陰っていて、そんなの見ちゃうと「とんでもないですっ」って身体を縮めて恐縮。
俺には何も考えつかないし、今がどういう状況なのかもわからない。
陽太様しか頼れなくて、御負担ばかりかけてしまっている自覚はある。
飛鳥様に僕が清人様に噛まれたのを知られちゃったせいで、ずっと車の中で考えておられたし。
飛鳥様は、陽太様が俺に謝るのを見て顔を益々険しくされた。
眉間の皺と引きつった頬の線がクッキリだよ。
睨まれる前に目を逸らしたよ。
「さて、今後のことだが、肝心の澪は出張中で一週間は戻れない。
だから、それまでの間は俺が決めることに従ってもらう」
陽太様は、良いなって一人一人と目を合わせて確認されたんだけど。
飛鳥様はプイッと目を逸らされるし、後ろの清人様はちゃんと聞いておられるのかな?
俺が確認のためにチラッと振り返ったら、ニッコリ微笑まれてね。
「ハルは何も心配しなくて大丈夫だよ」と甘く囁いてくださった。
し、至近距離ぃっっ
威力が強すぎて、ぷしゅう~と頭から湯気が出ちゃうよっ
顔を真っ赤にして項垂れた俺は、清人様に背を引き寄せられてされるがまま。
陽太様と目を合わせることが出来なかったよ。
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