212 / 461
209 Ω
しおりを挟む
「それは、萩野で好きに使って構わん。
ただし、二度と地上に出すな」
自分に背を向け、吐き出された言葉。あぁ、だから、自分は。あのアンダーグラウンドから逃げる選択肢も思い付かずに居続けたんだ。記憶の底に、この声を刻んでいたから。
陽太さんに勧められても、地上で働いてみる気が全く起きなかった。アンダーグラウンドが、居心地が良い場所、自分に似合いの場所、ここから出ていくべきじゃないと父親の言葉に縛られていた。
両脇を抱えられ、身体を持ち上げられる。視界から、父親の背も久し振りに見た座敷も消える。この後は・・・何があったんだろう。気付いたらアンダーグラウンドにいたんだ。自分が今まで覚えていた記憶には、会場で薬を打たれてからアンダーグラウンドで自分の現状を説明されるまでの間は抜け落ちていた。父親に会った記憶は、散々な目にあった現実逃避、夢の一部としか考えていなかった。
瞼を閉じたまま車に乗せられ移動が始まる。α三人の声が飛び交うけれど、酩酊した頭ではそれを理解し、言葉として手繰り寄せることが出来なかった。
ただし、二度と地上に出すな」
自分に背を向け、吐き出された言葉。あぁ、だから、自分は。あのアンダーグラウンドから逃げる選択肢も思い付かずに居続けたんだ。記憶の底に、この声を刻んでいたから。
陽太さんに勧められても、地上で働いてみる気が全く起きなかった。アンダーグラウンドが、居心地が良い場所、自分に似合いの場所、ここから出ていくべきじゃないと父親の言葉に縛られていた。
両脇を抱えられ、身体を持ち上げられる。視界から、父親の背も久し振りに見た座敷も消える。この後は・・・何があったんだろう。気付いたらアンダーグラウンドにいたんだ。自分が今まで覚えていた記憶には、会場で薬を打たれてからアンダーグラウンドで自分の現状を説明されるまでの間は抜け落ちていた。父親に会った記憶は、散々な目にあった現実逃避、夢の一部としか考えていなかった。
瞼を閉じたまま車に乗せられ移動が始まる。α三人の声が飛び交うけれど、酩酊した頭ではそれを理解し、言葉として手繰り寄せることが出来なかった。
0
あなたにおすすめの小説
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる