可愛いΩのナカセカタ

三日月

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「殺っちゃった・・・ん?
 間に、合った、のか?」


 息切れしているりっちゃんの到着に、上げていた足を顔ではなく床に下ろした。りっちゃんは、俺のことをよく知っているからな。すでに殺しているんだろうと諦めていたようだ。虫の息ながらも、壁に写されたαが生きていることに驚きすぎ。目を見開き、出入り口の壁にへばりつくように立つ姿は間抜けの一言につきる。
 映像がリアルタイムなのか信じられず、αの様子を慌てて見に走ってきた。アングラ仕事ばかりしてるからって、体力落ちすぎだ。

 俺は、仕方なく、仕方なく、由良を抱えて地上に向かう。りっちゃん、αの状態を確認する暇があるなら車を出せっ!腹いせに、しゃがんだりっちゃんの背中を足の甲で軽く押して舌打ち。仕事じゃなく、俺がここまで殺したいと思った相手をみすみす見逃さなくちゃならないのか。
 不機嫌な俺を見上げる由良の口角は、こんな状態なのに上がっていた。


「由良、後悔するぞ」

「しない。
 自分が原因で、命を奪う方が、後悔する」


 由良の掠れた声には、力強い意志が宿っていた。俺には理解不可能だな。由良がここまでされて、相手を殺さない理由が思い付かない。ここで殺さない方が後悔する・・・そうわかっていても。
 自分の腕に取り戻した由良が、怪我だらけの顔を歪ませて笑うのを見てしまうとどうでも良いかと思えてきた。由良は、感情のコントロールをはずしたり、知らない感情を教えてくれたり・・・俺にとって、どれくらい大切な存在なのか自覚して欲しい。
 番を拉致した相手を赦すとか、知りたくもなかったが。アレに時間を割くより、由良の治療が先だな。ボロボロの身体に少しでも負担がかからないよう注意しながら、俺は階段を登った。
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