可愛いΩのナカセカタ

三日月

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 あっさり離れて暮らすことを受け入れられ、寂しく思わないなんて無理だ。俯いた自分に、疾風は優しい声で語りかけてくる。


「だから、アレ引っ張り出したのか?」


 顔をあげると、疾風が指で示した先には積み上げられた段ボール。その下を見るよう指先を動され、そこに黒いベルトの端が見えた。それが、ただのベルトではなく、何の一部かすぐに思い当たってしまい「うぐっ」とおかしな音が喉から漏れた。

 あ、あれは・・・疾風が使い、青嵐、凪も使っていたランドセルで間違いない。疾風から、風音を身籠った時に自分が巣作りでいつも出していたことを明かされた。流石にそれを聞いてから、恥ずかしくて子どもには使わせていない。だが、かといって捨てることもできず。今回の引っ越しでも、置いてくることが出来なかったものだ。
 使うことはないから、開封順は後回しで良いなとそれをしまった段ボールは一番下に置いたはず。それが、既に出ている・・・ま、また、無意識に出して一緒に寝ていたんだろうか?

 疾風は、狼狽える自分に寄り添いクックッと楽しげに喉を鳴らす。自分の頬を指で擽り、そのままうなじに被さる髪をかきあげると。昨夜新しく刻まれた歯形に顔を近づけ、ねっとりとそこをわざと舐めて甘噛み。ビリビリと甘い痺れが身体を駆け抜け、一気に心臓が高鳴り、またおかしな音が出そうで口を押さえた。


「俺はもっと由良を孕ませたいし、大歓迎だけど」


 耳元で囁く疾風から逃れようとしたが、背後から腰に腕を回され身動きがとれなくなる。力付くで押さえられているわけじゃなく、腰骨を指先でなぞる緩い拘束だったんだが。それは、昨日抱き締められた感触を呼び覚ますには十分な動きだった。そのまま胸を揉まれても、抗えずに受け入れるために身体から力が抜けていく。
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