367 / 461
番外編
嵐に舞う雪 7
しおりを挟む
初めて俺の視界に飛び込んできた雪さんは、迫る冷たい現実から目を背け、出口を完全に塞がれた地下通路を逃げていた。俺は、その姿に見惚れてしまった。赤い瞳に怒りと涙を滲ませ、成人間近の雪さんは必死に走っていたんだろうけど。初めて見たアルビノの、色彩が抜けたその現実味がないくらい他と違う存在に俺は心が奪われ震えていた。
雪さんはそれどころじゃなく、突然連れてこられただろうこの場所の異様な雰囲気に、何も考えずに、考えられずに、道が続く限り足を動かしていただけなんだろうけど。
その姿は、俺に向かって走ってくるように見えたんだ。
雪さんに出会って初めて知った感情の揺れは、まさに初恋。恐怖でひきつる雪さんが、まだ160cmにも満たない俺を前方に見つけ。場にそぐわない俺に一瞬気が逃亡から逸れた時、雪さんはスタッフに後ろから羽交い締めされていた。
次の瞬間。
俺のΩだと、まるで根拠の無い自信に突き動かされ。俺は迷いなくスタッフの腕を蹴り飛ばし、雪さんをこの背に匿っていた。
あのとき初めて触れた雪さんの、冷たい指先の感触は今でもこの手に残っている。あぁ、俺はこの人に出会うのをずっと待っていたんだと、その場で力一杯抱き締めたくなった衝動も。
雪さんはそれどころじゃなく、突然連れてこられただろうこの場所の異様な雰囲気に、何も考えずに、考えられずに、道が続く限り足を動かしていただけなんだろうけど。
その姿は、俺に向かって走ってくるように見えたんだ。
雪さんに出会って初めて知った感情の揺れは、まさに初恋。恐怖でひきつる雪さんが、まだ160cmにも満たない俺を前方に見つけ。場にそぐわない俺に一瞬気が逃亡から逸れた時、雪さんはスタッフに後ろから羽交い締めされていた。
次の瞬間。
俺のΩだと、まるで根拠の無い自信に突き動かされ。俺は迷いなくスタッフの腕を蹴り飛ばし、雪さんをこの背に匿っていた。
あのとき初めて触れた雪さんの、冷たい指先の感触は今でもこの手に残っている。あぁ、俺はこの人に出会うのをずっと待っていたんだと、その場で力一杯抱き締めたくなった衝動も。
0
あなたにおすすめの小説
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる