可愛いΩのナカセカタ

三日月

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番外編

お酒に御用心 5

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「ゆ、由良、ボコボコにされんじゃね?」

「ヤダ、ヤダッ
 由良が、ぼこぼこ、ヤダッ」

「僕もヤダっ」


 そのとき、僕達は。ただただ、三人で身を寄せあい震えることしか出来なかった。疾風様のうなじを甘噛みしたり、頭に触れて髪まで乱してただで済むなんて思える筈がない。αにとって、頭部はプライドそのものだ。気安く触らせるような場所じゃない!いくら、由良には優しい疾風様も怒るに決まってる!
 でもどうしたらいいかもわからなくて、止めるために今の由良に近付くのも怖くて。由良がぼこぼこにされるところを想像し、涙ぐむ。どうしよう、由良が、由良が・・・
 疾風様は、乱れた前髪をかきあげチラリとこっちに視線を向けた。そのまま「はぁ?」と呆れた顔になる。


「お前ら、なんで泣いて・・・」

「疾風、誰と話してる?
 疾風は、自分の・・・ん?」


 由良は、僕達に話しかけていた疾風様の顔を両手で掴んで、強引に自分の方を向けさせた。由良、由良、これ以上止めてーーーっ!ボコるだけじゃ、済まない!疾風様に由良が殺されちゃうっっ
 他の二人もそう思ったらしく、目を見開いて呼吸も忘れ硬直してしまった。風音だけは、楽しそうに机の上に身を乗り出してご飯を手掴みで食べてる。風音の前だけ、料理もお皿もグチャグチャだ。


「んん?
 あれ、自分のらって、ちゃんと名前書いて無いぞ?
 疾風は、由良のじゃにゃいの?」


 由良は鼻が擦れるくらい近くまで顔を寄せ、疾風様の顔をジーと眺める。僕達は、その様子を黙って見ていた。舐めるように、上下左右、疾風様の顔の隅々を至近距離で見渡す由良。そして、きょとんと首を傾げた。
 疾風様は、「ん?どっかに名前でも書いとくか?」なんて嗤いながら答えて。近づいていた由良の唇に、チュッといつもより軽い触れるだけのキスをする。


「は、疾風様は、怒って無いかも?」


 それを見て、ホッとして。青嵐も風花もつられて、「「はぁ~」」と止めていた息を吐いて。三人とも、気が緩んだんだけど。

 由良は、なぜか急に焦りだした。


「は、疾風は、自分のじゃないのか?
 名前、無かったぁぁあああーーーっっ」


 疾風様の首にすがりついて、ボロボロその両目から涙が溢れ。僕達三人も、由良が泣いた姿を見て一斉に泣いた。

 恐怖で。
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