可愛いΩのナカセカタ

三日月

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番外編

真似っこ、お揃い、あのひとと 11

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「・・・ふぅ、誰もいないね」


 扉の隙間から中を確認して、安堵の吐息を漏らしながら入ってきたのはーーー御木 清丸(みき きよまる)先生。御大層な名前と正反対の、くたびれた独身国語教諭44歳。さっきも授業を終えて、早速廊下にプリントをぶちまけるどじっ子。私より頭ひとつ小さくて、横には顔もお腹もふっくらと膨らんでるの。伸び盛りの生徒に囲まれると埋もれちゃう。

 ヨレヨレのシャツにシワだらけのスラックス。ペタペタ音が煩いと、教頭から嫌みを言われても愛用している室内履き用の白黒ストライプスリッパ。伸ばしっぱなしの髪ははね放題。せっかくのつぶらで優しい瞳を前髪と眼鏡で隠し、日によっては髭を剃り忘れて登校するから、お小言を学年主任から貰っていたり。
 あんまりどころか、自分の見た目にはとことん無頓着。

 慣れたそぶりで円卓に座るなり、ゴソゴソ胸ポケットを探りタバコを出そうとするヘビースモーカー。軽くにらんで咳払い。ここに来るようになって二週間も経つのに、保健室でタバコを吸おうとしないで欲しいわよね。


「ハハハ、クセで・・・ごめんねぇ」


 ん、許しちゃうっ
 前髪が揺れ、その下でヘラッと笑う目尻は人の良さが表れて優しく垂れる。丸眼鏡越しに見える目尻の皺も、クッキリ・・・くそぅっ、可愛いなぁ~


「ハイハイ、座ってください。
 お茶用意しますから」


「悪いねぇ」


 震える口元を固めて涼しげな顔を意識して作り、すっかり慣れた手付きで二人分の冷茶の用意。冷茶と一緒に冷蔵庫から取り出したお弁当に、キラキラ期待してる目と目があっただけで、照れ笑いを浮かべられたら。

 あぁ、たまらないじゃないっ

 「はわわぁ~」ってね。さっきの世良ちゃんと同じ顔をしそうになっちゃう。柄じゃないし、私なんかには似合わないのに。
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