可愛いΩのナカセカタ

三日月

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番外編

酒の肴 10

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 番のΩは、相手のαが発情すれば強制的に受け入れる器へと変貌していく。当然、由良も例外じゃない。身体がたちまち熱を帯び、俺を受け入れようと急速に熟成。アルコールで緩んでいた表情が、色欲に覆われて更に弛緩し俺を見上げた瞳が涙でトロリと甘く潤む。


「はぁ、はぁやてぇ」


 俺の下で、ゾクゾク身体を震わせながら強請る由良。伸びてきた手首に力任せに噛み付いてやると、その刺激で由良の腰が震え、軽くイッたのがわかった。伸びた牙が食い込むほど力を入れたんだが、その牙に興奮したらしい。


「あぁ、疾風の牙・・・」


 うっとりと噛み跡に頬を擦り寄せる由良。震える舌で歯型をなぞると呼吸が荒く乱れ、息継ぎの合間に「疾風ぇ、疾風ぇ」と上擦った声で何度も名前を呟き嬉しさを隠しきれないと涙を流している。俺に求められていることを全身で喜ぶ様子に、強引に腰を上げさせようとしていた動きが止まった。
 番になる前の発情期の由良は、盛りのついた獣。正気を失い、過ぎた欲望に狂って壊れた人形のようだった。それまで発情Ω相手なら気にもしていなかった変化だったが、由良は別。意思が感じられない反応がつまらなすぎて、番になってからもわざと俺の発情に引っ張られないよう抑えてきたんだ、が。

 おい、全然違うじゃねぇか。

 チッと、俺に誤った情報を流していたこの場にいないりっちゃんへ舌打ち。番のΩもアングラの発情したΩも変わりがないとか、番持ちでもないりっちゃんの言葉を信じるんじゃ無かった。
 規格外の遺伝子操作のつけで、萩野のαは凶器のペニスを持つ人間が多いからな。相手のΩを壊すし、滅多に番を持たない。りっちゃんも伝え聞いただけなんだろうが、確証も無いのにしたり顔で教えてくるなよな。
 俺の苛立ちを知らない由良は、両手を広げ、柔らかく波打つ求愛フェロモンを部屋中に漂わせながら俺を求める。求められていることを実感出来た喜びに浮かれ、舌打ちにも反応せず、ひたすらαの所有欲を象徴する牙に魅せられていた。


「疾風、疾風・・・お、願いだ・・・その、牙、もっと見せてくれ」


 背後からうなじを噛むときを除けば、由良にじっくりこの牙を見せたことは無かったか・・・俺の頬に触れ、必死に言い募る由良が可愛過ぎるな。

 あぁ、マジで、ヤバイぞ、由良。

 自分の中から途切れることなく湧き上がる発情の昂ぶりに、グラリと視界が歪んで見えた。
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