ヘタレαにつかまりまして 2

三日月

文字の大きさ
911 / 911
38 記憶 side 陸

21

しおりを挟む
上気した顔で、身体の熱を冷ますように息をふぅと吐いた渡は、俺の下半身に目を向けふにゃりと笑う。
スエットパンツを押し上げてるこの物騒な凶器を前にこの態度。
実物を見て触れたあとだぞ?
思ってたもんと違ってたとか、尻込みしたりはねぇのかよ?

無防備な渡を前に耐えてる俺の気も知らねぇで、渡は続けて俺の口元を見上げるとくふふっと嬉しそうに笑顔を重ねた。
なんだ?と訝しんでいたら、渡の指が頬に触れてくる。
じんわりと俺より温かい指先から渡の熱が伝わってきて、その心地よさに自然と目を細めていた。
荒ぶっていた食い気が、簡単に飼いならされてくのを感じる。


「俺な。
自分がΩになってるってわかってから、いつか陸の牙をこんなふうに見られるんかな、陸に抱かれて噛まれるんかなって妄想しまくっててん。
それが、ここに来てからいっぱい見れて嬉しいねん」

「お前の豪胆さに驚くわ」


ニコニコと言われた内容に、目を見開く。
実物前にしても、まだそんなふうに言えんのかよ。
あぁ、もぉ、コイツには一生驚かされそうだ。

その手を捕らえ、今後に思いを馳せつつ嗤いながら軽く指先を噛む。


「んなこと言ったら、遠慮なくそこら中噛んじまうぞ」


渡は「ひゃあっ」と声を上げると、即座に手を引っ込めた。
流石にやり過ぎたかと思ったんだか、その手で耳を擦りながら「もぉ、声がヤバいっっ」とブルッと震わせ俺を潤んだ目で見てくる。


「り、陸の声、いつもとちごて色っぽすぎるんわ」

「そりゃ、当たり前だろ」


ここに何しに来てるんだよ、あほ。
俺よりヤル気満々なとこもあんのに、急にこんなところを見せてくる。
アンバランスな渡を抱き寄せ、腰を押し付けた。


「練習、するんだろ?」

「す、するっ」


渡の肩越しに右手の指をたっぷりの唾液で濡らす。
背後から左手でパンツと下着を摘み、窄まりの場所を探るために右手をその下に入れた。
柔らかな湾曲の狭間に指が触れると、渡はぎゅっと首にしがみついて来た。
緊張で閉じた蕾に、円を描くように塗り込む。
渡は、ヒュッと息を吸い込み身体を強張らせた。


「力、入れんな。
傷つけたくねぇ」

「う、うん」


腕の中で、渡はコクコク頷いてからゆっくりと息を吸って吐いてを繰り返した。
違和感を散らすために、渡の呼吸に合わせて入り口を刺激し緩んだタイミングを見計らう。
さっきよりもかてぇな⋯慎重にいかねぇと。
目の前の噛みつきたくなる首筋から気を逸らすために、俺も深呼吸で緊迫した熱を下げようと試みた。
渡が何回目かに吐いた呼吸で指が沈み、暖かくぬめり絡みついてくる肉を注意深く割り開いていく。


「あ、あっ・・・」


反射的に侵入の違和感から逃れようと、渡の腰が浮く。
一度動きを止めた方が良いと頭ではわかってんのに、渡の甘い声をもっと引き出してぇ気持ちが強過ぎる。
しおりを挟む
感想 962

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(962件)

Hanamama
2025.06.10 Hanamama

渡と陸、命と武留の関係がどうなっていくのか、とても気になってます。
是非、続きをお願いします。

解除
Q
2023.11.22 Q

笹部と三枝カプが大好きです
番になってからの学園生活が読みたいです
続き待ってます!

2023.11.23 三日月

Q様

楽しみにして下さりありがとうございます!
…今年の予定では、BL強化月間の11月に笹部両親の話を動かしつつ、二部組の学園に帰ってからのことを年内までに書きたかったのですが(¯―¯٥)
一歩も進むないままで(_ _;)スミマセン
お待ちしてくださる方の感想を糧に頑張ります(*˘︶˘*).。.:*♡

解除
rose
2023.07.17 rose

久しぶりに最新話まで読みました。陸に対してかなちゃんと一緒に怒ってイライラしてたのが、肝の座った無自覚天然小悪魔な渡に振り回される陸が不憫で笑えます(* ̄∇ ̄*)
渡と陸の心情が丹念に描かれていて、恋愛給餌特化型αの事もより知る事が出来て良かったです。
番を食べちゃいたくなる様子も究極な表現というか形というか、心理学を学んで書いておられるのかなとふと思いました。
作者様は療養中との事、私も療養中の身ですので、無理せずに療養して回復されたら無理のない範囲で更新お願いします。

学校でもところ構わずイチャつき、渡に振り回される陸を気長に楽しみに読み返しながら待っています。

2023.07.18 三日月

rose様

感想ありがとうございます〜
陸は、渡には全面降伏(幸福)負け確定なのでこれからもどんどん振り回されまくってぜひ鬱憤を晴らして今後もどんどん笑っていただければ•̀.̫•́✧
オリジナルをどんどん入れても良いオメガバなだけに、初めて書いた特化型(未発表作では諸々有)が伝わっていて嬉しいです〜
心理学は学んでないのですが、いろんな学に触れたほうが表現力は深まるんでしょうね⋯理解するのが難しそう(;´Д`)

rose様も療養されてるんですね。
お心遣いありがとうございます。
rose様も御自愛くださいね。

現在、第二部の途中からぼちぼちと読み返してるところです。
全体の流れ&断片的にしか覚えてないので、自分の書いたものなのに新鮮味が⋯目標のせめて年内教室に戻すをなんとか達成出来るように読み返しを進めます。

解除

あなたにおすすめの小説

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

【bl】砕かれた誇り

perari
BL
アルファの幼馴染と淫らに絡んだあと、彼は医者を呼んで、私の印を消させた。 「来月結婚するんだ。君に誤解はさせたくない。」 「あいつは嫉妬深い。泣かせるわけにはいかない。」 「君ももう年頃の残り物のオメガだろ? 俺の印をつけたまま、他のアルファとお見合いするなんてありえない。」 彼は冷たく、けれどどこか薄情な笑みを浮かべながら、一枚の小切手を私に投げ渡す。 「長い間、俺に従ってきたんだから、君を傷つけたりはしない。」 「結婚の日には招待状を送る。必ず来て、席につけよ。」 --- いくつかのコメントを拝見し、大変申し訳なく思っております。 私は現在日本語を勉強しており、この文章はAI作品ではありませんが、 一部に翻訳ソフトを使用しています。 もし読んでくださる中で日本語のおかしな点をご指摘いただけましたら、 本当にありがたく思います。

番解除した僕等の末路【完結済・短編】

藍生らぱん
BL
都市伝説だと思っていた「運命の番」に出逢った。 番になって数日後、「番解除」された事を悟った。 「番解除」されたΩは、二度と他のαと番になることができない。 けれど余命宣告を受けていた僕にとっては都合が良かった。

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。

愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない

了承
BL
卒業パーティー。 皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。 青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。 皇子が目を向けた、その瞬間——。 「この瞬間だと思った。」 すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。   IFストーリーあり 誤字あれば報告お願いします!

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

当たり前の幸せ

ヒイロ
BL
結婚4年目で別れを決意する。長い間愛があると思っていた結婚だったが嫌われてるとは気付かずいたから。すれ違いからのハッピーエンド。オメガバース。よくある話。 初投稿なので色々矛盾などご容赦を。 ゆっくり更新します。 すみません名前変えました。

王が気づいたのはあれから十年後

基本二度寝
恋愛
王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。 妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。 仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。 側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。 王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。 王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。 新たな国王の誕生だった。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。