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4 笹部家食卓
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こころが「じゃあ、鈴ちゃんのごはん、運んでくるわね」と笑顔で立とうとしたが、鋼が先に立ち上がり「自分が行くよ」と告げた。こころに料理を運ばせても良いのだが、鋼が運んで鈴が食べた方が給餌行動として成立し鋼の気持ちが安定する。こころは、そういった説明を何度も受けて入るのだが理解しているかと言えば怪しい。今も「鋼ちゃんは、お姉ちゃん想いねぇ」とにこやかに鋼を褒める。
「今日は、父さん遅いの?」
「そうなの。年末年始のナイラン?が多いから、忙しいんですって。
ふふっ、福ちゃん、鈴ちゃんが帰ってくるのを楽しみにしてたのよ。えーっと、セイセキヒョウ?でね。お年玉の金額を決めるって言ってたわ」
「そうなの?んー、どうだったかなぁ。悪くはなかったと思うけど、まぁ、あとから見てみるよ」
姉と孕親を残し、鋼は廊下に出た。落ちていた鈴の鞄の横を通ると、焼き菓子の匂いが鼻腔をくすぐる。きっと、鈴が給餌行動を自分やこころにするためにお土産を買ってきてくれているのだろう。鋼は楽しみだなぁとウキウキしながら、シンクの隅まで磨き上げられた台所に向かった。
この台所は父親の領域だ。ここで鈴も鋼も福に料理を教わっている。笹部一族では、3歳の誕生日に子ども用のマイキッチングッズ一式を親から贈るのが習わしだ。読み書きと同時かそれより早く料理のいろはを覚える。求愛給餌特化型にとって、料理の腕を上げることは最優先事項だからだ。ただし、番相手が確定するまでは三親等内の家族にしか料理を振舞えない。うっかり相手を変異種Ωにしないよう厳しく躾けられている。その分、家族や自分の番への給餌行動は際限がなくなるので親戚同士でやんわり注意し合う。(互いに気持ちがわかるので、肥満症にさせてしまうと分かっていてもやんわりしかできない)
不動産会社を営む福は、仕事の合間を縫って食事を作るためにわざわざ家まで戻ってくる。こころの食が細いので、太るほど食べさせられないから監視は必要ないのだが、量より回数で気持ちを満たそうとしているのだ。
昼休みや定時前になると、本社よりも自宅から一番近い営業所に入り浸る。残業があっても、今日のように一旦夕飯を作りに戻ってくることが多い。一族経営のため黙認されているが、一般社会ではなぜそこまで食事の用意にこだわるのか理解されないだろう。
福がこころと鋼のオムライスを作ったので、鈴の分は鋼が作る。すでにケチャップライスは用意されているから、レンジで温めている間にふわふわのオムレツを焼いて乗せるだけだ。鋼は手を洗い、自分用のエプロンを着けて身支度を整える。
思い浮かべるのは、家族のご飯を嬉しそうに作る父親の姿。
(あーぁ、俺もちーちゃんに作りたいなぁ)
「今日は、父さん遅いの?」
「そうなの。年末年始のナイラン?が多いから、忙しいんですって。
ふふっ、福ちゃん、鈴ちゃんが帰ってくるのを楽しみにしてたのよ。えーっと、セイセキヒョウ?でね。お年玉の金額を決めるって言ってたわ」
「そうなの?んー、どうだったかなぁ。悪くはなかったと思うけど、まぁ、あとから見てみるよ」
姉と孕親を残し、鋼は廊下に出た。落ちていた鈴の鞄の横を通ると、焼き菓子の匂いが鼻腔をくすぐる。きっと、鈴が給餌行動を自分やこころにするためにお土産を買ってきてくれているのだろう。鋼は楽しみだなぁとウキウキしながら、シンクの隅まで磨き上げられた台所に向かった。
この台所は父親の領域だ。ここで鈴も鋼も福に料理を教わっている。笹部一族では、3歳の誕生日に子ども用のマイキッチングッズ一式を親から贈るのが習わしだ。読み書きと同時かそれより早く料理のいろはを覚える。求愛給餌特化型にとって、料理の腕を上げることは最優先事項だからだ。ただし、番相手が確定するまでは三親等内の家族にしか料理を振舞えない。うっかり相手を変異種Ωにしないよう厳しく躾けられている。その分、家族や自分の番への給餌行動は際限がなくなるので親戚同士でやんわり注意し合う。(互いに気持ちがわかるので、肥満症にさせてしまうと分かっていてもやんわりしかできない)
不動産会社を営む福は、仕事の合間を縫って食事を作るためにわざわざ家まで戻ってくる。こころの食が細いので、太るほど食べさせられないから監視は必要ないのだが、量より回数で気持ちを満たそうとしているのだ。
昼休みや定時前になると、本社よりも自宅から一番近い営業所に入り浸る。残業があっても、今日のように一旦夕飯を作りに戻ってくることが多い。一族経営のため黙認されているが、一般社会ではなぜそこまで食事の用意にこだわるのか理解されないだろう。
福がこころと鋼のオムライスを作ったので、鈴の分は鋼が作る。すでにケチャップライスは用意されているから、レンジで温めている間にふわふわのオムレツを焼いて乗せるだけだ。鋼は手を洗い、自分用のエプロンを着けて身支度を整える。
思い浮かべるのは、家族のご飯を嬉しそうに作る父親の姿。
(あーぁ、俺もちーちゃんに作りたいなぁ)
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