未来の殺戮王は愛に溺れる

三日月

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信心する神に選ばれましたが全力でお断りしたい

5 贄

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生き神だと崇められ、恐れられ線を引かれて生きてきた。
全てを肯定されるのに、常に気持ちは渇いて満たされない焦燥から逃れられない。
選択の儀のために入った祈りの間。
自分に選ばれようと媚びた視線が鬱陶しく、この中から選ぶのかと億劫になったが。
目の前で祈りを捧げる神官を目にした途端、内なる乾きが増して飛びかかりそうになった。

欲しいっ、欲しいっ、欲しいっ

同じ部屋にいるのに自分に全く興味をもたず、ルルドへの祈りを捧げる姿に欲望を根刮ぎ持っていかれた。
それは、理屈など伴わない本能。
敬虔な神官を手にいれたい。
そう願っただけで、今回も自分の望みのままに花弁がツィードの手にもたらされた。

「お、お赦しくださぃっ、王子っ」

絶望にひきつる顔で自分を拒むツィード。
その答えとして、香油をたっぷりと含ませ蕾の中へ探る指を増やす。

「アルス様、そこばかりでなく前も触れた方が力が緩むかと」
「なっ、何を言い出すんだ、レオン?!」

ツィードに馴れ馴れしい従者は邪魔だったが、男を相手にするのは初めてで知識もない。
渋々その言葉に従い、頭をもたげ始めていたツィードにも指を絡ませしごく。

「ひっ」

良くしてやろうと触れたのに、思いがけず痛いと暴れられアルスは傷付いた。
この俺が与えたものをなぜ拒むっ

「アルス様、ツィード様はそう言ったことに慣れていません。
もっと優しく」

笑いを堪えたレオンの言葉に、これが終わったらコイツの首は跳ねてやろうと物騒なことをアルスは決めた。


堪え性の無いアルスを宥め、時間をかけて指で慣らさせたかいがあったな。
拘束していた手をほどくと、ツィードの両腕は迷うことなくアルスを求めて宙を掻く。
パチュンパチュンと水音を打ち鳴らすアルスには応える余裕など無いが。
この日のために、あの磨窟の神殿でツィードを守りきった。
額から汗を滴らせ、ツィードを貪り喰らう未来の残虐王。
王族の血に眠る神の力が目覚めてしまった孤独な子どもに捧げるために。

「あ、ア、アルッ、助け・・・ぁあっ」
「俺はここだ」

初めて味わう快感に啼くツィードの腕を、アルスは漸く気付いて握り返す。
甘い笑みに、レオンの知る残虐王の面影は欠片もない。
レオンは静かにその場から退くと、無人の廊下で固く閉じていた掌を開けた。
刺青に紛れた星形の聖痕。
二人をひきあわせたのに、未だに消えず刻まれたまま。

「まだ、解放していただけませんか」

レオンは、真の主ルルドに尋ねる。
それに応える声は無く、聖痕からじわりと血が滲んだ。
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