笑わせないでくださる?

山見月あいまゆ

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「ねえ、聞いた?あの悪女っぷり」

「ええ、まさしく悪女だわ」

そんな噂が、学園中を包み込んだ。
一昨日も昨日も今日も、そしてきっと明日もこの噂を続けるだろう
始まりは、図書室だった。
私の後ろにいた女の子が急に膝から崩れ落ちた

「いったぁ、あんまりですわ。本をわたくしに向かって投げるなんて、わたくしはまだしも、本を投げるのはゆるせませんわ。」

もちろん、私は一切本など投げていない
本が好きだし、投げようと思ったこともない
はじめは、おかしいんじゃないのこいつと思ったが、自分のことを言われていると理解するまで数秒かかった

「…は?」

出てきたのはこの言葉だけだった。
どこからいたのか、私の婚約者、カレイ・アストレイが出てきて、しゃがんでいる女の子に寄り添った。

「かわいそうに、痛かっただろう。ミナに何てことしてくれるんだ!」

この女の子ミナっていうのね
でも、私何かした?
何もしてない




似たようなことが約五週間続いた
馬鹿馬鹿しい有様でため息が出そうだった
場所は図書室だけとは限らず、階段、廊下などいろいろなところで起こった
ほんとうに、心底あきれていたころ王族のパーティーが開かれることになった
私たち、貴族はそこに出ることができる
学園に行っているほとんどの人が行くことができる
その学園は貴族たちが通う、名門こうだからこそだが
私は、出るつもりがなかったが婚約者のカレイ・アストレイから、パーティーに出ろという内容の手紙が来た
婚約者は王族の古くからの友達、親友みたいな関係だと聞いている
それが正しければ、嫌、正しくなくても裏がありそうな気がする。





ーーーーパーティー

「ごきげんよう。」

「ごきげんよう。」

などと、みんな笑顔を保っているが、今日も私の陰口を言っている
よく、飽きないな
そのとき、

「おい、セラ・セカイラ!」

と名前を呼ばれた。
何かと思って見ると私を、呼んだ婚約者の姿があった
けど、一人ではなかった
確か、ミナという女の子と一緒だ

「お前の悪女さには失望した。お前みたいなやつとは婚約破棄する。そして、ミナへのいじめとして、お前を牢屋へ入れる。」

その隣でミナがクスッっと笑った

私は何もしてない
ミナがこの婚約者を狙うなら別にそれでいい
けど、私を悪女に仕立て上げるのはこちらとして納得いかない
私を使わないでくれるかな
私の怒りの綱がプチっと切れた

「いい加減、笑わせないでくださる?」

悪女?悪者?意地悪?いじめ?
馬鹿らしい
ちゃんと本人を見ないで他人の話を鵜呑みにした結果、これだ

「防犯カメラ、ちゃんと見まして?」

貴族たちが通う学校だ。防犯カメラなどそこら中にある

「は?そんなもの見なくても十分。ここには、ミナの証言がある。」

「私を、牢屋に入れる?馬鹿なのこと仰らないで、もしいうならば、防犯カメラを見てから言ってくださる?」

「よ、よし、そこまで言うなら見てやろうじゃないか。」

ミナは顔が青くなっているだけで、何もしようとしていない。
私の婚約者に助けを求めているのかしら。






ーーーー

「カレイ様、これをくだご覧ください。」

防犯カメラにはミナが勝手に倒れたりけがをしたりする映像がくっきり、残っている。
流石、名門校の防犯カメラ、うつりがいい。

「そ、そんなばかな。ミナの言うことが間違っているはずがない。」

「嘘ですわ。こんなもの」

と婚約者とミナが愚痴を言っている
こんな、立派な証拠があるんだから、何を言っても無駄だった。

「セラ・スカイラをおとしめようとした罪によりカレイ様とミナ様は牢屋いき!」

二人は顔が青く、恐怖におびえた子犬のように、震えている
牢屋に入れようとした相手に、自分が牢屋へ入れなんて納得いかないよね
まあ、しかたないわ

「人の話は鵜呑みにしないほうがいいわよ。」

と、婚約者にしか聞こえないようにいった。
だが、ミナは真横にいたから聞こえていたかもしれない
二人は、大柄な男の人、数人によって、運ばれていった









ーーーその後…
まだ、悪女と言わているが、前よりか少なくなった
いずれ、言う人はいなくなるだろう
逆にミナが悪者扱いされるようになっていた
これで、私の平和は、守られた!
そうして、セラは静かにほほ笑むのであった



ーーー牢屋

「俺は絶対将来、あんな気が強い奴じゃなくて、おしとやかで、優しく、可愛い女の子と結婚するんだ。」

「私は将来、こんな気の弱い男じゃなくて、かっこいい、お金持ちで、私を守れる男性と結婚するんだ。」

と、ブツブツつぶやいている

時々、

「何をしている、静かにしろ!」

と怒られたりしている












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