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序章
少女と田中
しおりを挟む「なにが寂しいの‥?」
ギュッと何かが俺の袖を掴む。
うおっ、
小さい‥女の子‥?
いつから‥そこに‥
「なにが、寂しいの?」
そう聞かれ、虚ろな目が、俺を見上げて首をかしげる。
俺はその子の異様な雰囲気に戸惑いつつも、
弟くらいのその少女に、にこりと笑いかけた。
「そやなー。俺、家族ともう会われへんって言われちゃってさ。‥君ぐらいの弟がおんねんけど、今日誕生日でな‥なんか、せめて最後に誕生日だけでも、祝ってやりたかったなって‥そう思ったら寂しくなってな‥」
俺は女の子の前にしゃがみ込み、頭を撫でながらそう伝える。
えらい、寒そうな服着てるけど、
どこの子やろ?
俺はパーカーを脱いで、そっとその子の肩にかけてやる。
「風邪引くで?お母さんはどこにおるん?」
「‥あったかい」
「えっと‥」
「あったかいね」
ふわりと笑ったその子は、とても嬉しそうな顔をしていて、俺は聞きたい事を胸にしまい込み、にこりとまた少女に笑いかけた。
「っ、‥はは、そやな~」
訳あり‥なんかな‥
それにしても‥銀色の髪に赤い瞳‥
ほんまに、ファンタジーな世界に来てもうたんやな。ちょっと実感‥。
俺のパーカーを抱きしめる少女を見つめながら、そんな事を思う。
「田中‥お前、誰と話しているんだ‥?」
ふと、木下が俺に気づいたのか、そんな事を聞いてきた。
なんや?修羅場終わったんか?
「ああ、なんかな、この子が急に話しかけてきて‥」
「その子?その子って誰だ?」
「は?ここにおるやろ?銀色の長い髪の女の子。」
ザワリと、先程まで俺達を見張っていた騎士達が騒めく。
な、なんや?
‥‥ッーーまさかっ
‥‥そんなはずっ
‥‥でも、銀色ってーー
「なんや‥?」
なにをそんな必死な顔して‥
「た、田中‥そんな子、いないぞ?」
木下が、焦ったようにそう言う。
「は?お前目悪いんか?ここに俺のパーカー着て立ってるやん‥」
「そうか。そうだよな‥、田中だって混乱するよな。うん、いるな少女。いるよ!少女」
「なにその反応‥若干きもいで‥。」
「田中‥俺が言える立場じゃないが、悩みがあれば、何でも相談しろよ?‥そういえば、田中、パーカー脱いだんだな」
「いや、だからっ、この子に!!」
さては、こいつちゃんと話聞いてないなッ
はあ、もうなんなん‥。
つか、見えるのに、見えへんとか、本人の前で失礼やろ。
まだ小学生ぐらいやん。そんな子傷つけたらいくら木下でも捕まるぞ~
「なんかごめんな‥こいつも悪気はないねん‥たぶん‥。ちょっと責められすぎて頭おかしくなってんのかな‥いや、それは木下に限って‥うーん、でもな~ッうわ!!なに?!」
急にギュッと抱きつかれて驚く。
少女が俺を見てニコニコ笑った。
なにこの子ほんま可愛い!!
うわあ!もう妹にしてしまいたい!!
俺は少女を抱きしめ返して、うりゅうりゅとほっぺ同士をスリスリさせる。
弟がもっと小さい時にやってたやつ懐かし~
いまやったら、殴られるからな‥
「へへ、あったかいねー!!」
「うん!あったかいな~!」
少女がそう言うから、俺も同じように返す。
少し、寂しいのがましになった気がした。
ありがとうな、見知らぬ少女!!
そんなこんなでほんわか2人で笑いあっていると、
どこからか視線を感じて振り返る。
「おい、なんだアイツ。1人で笑ってきもちわりぃ」
「き、きっと‥ショックで‥」
「‥やっぱり田中‥悩みがあるなら、俺に‥」
え、なに?
皆んななんでそんな目で俺を見んの?
は!
まさかっ、もしかしてロリコンやと思われてるっ!?
違う誤解や!!誤解なんやああああ
ただ、この子が可愛くてつい‥って、俺はロリコンかーい!!
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