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序章
ツボる田中
しおりを挟む「俺は出て行くつもりだ‥こんなところ‥ごめんだからなーー」
ふんっと腕を組んで、クールキャラを気取る村上に少し笑いそうになる。
こいつこんなキャラやったんや。
いつも木下と話してる時に近くにおったけど、喋ったとこみたことないから、無口な奴やと思ってた。
でもな~、まさか倉本さんに恋する健全な男やったなんて~
うぷぷ‥
だめやって、これ以上嫌われたら睨み殺されそうや‥我慢し、我慢
はあ、こういうとこが空気読まれへんって言われるんやろな。
「っ、ちょっと!?まってよ秋!?」
焦る倉本さんが、村上の手を掴む。
「っ、お前は‥許せるのか‥?もう、家族にも親友にも会えないんだぞ?それでも、あいつらを信じるのか?俺なら‥お前を‥」
真面目な顔をして真面目な事を語るこの男。
でも、バレバレやぞ村上。
手を握られて嬉しいのか、少しニヤついた口元が全てを語ってて、また笑いそうになる。
あかん、こいつツボや。
この中で一番青春してる。
「っ秋‥」
「いい加減にしろよ秋‥今、俺達が揉めて何になるんだ。」
ああああ、きました鈍感木下っ!!
それも流石モテ男、グイッと倉本さんの肩を引き寄せるところがまた、乙女心をキュンキュンさせる!
揉めてると思って入ってきたんやろうけど、
それ逆効果やで!!
「ッ、は、お前は‥いいよなッ‥勇者なんだから‥」
「っ、どういう意味だよ‥」
ほら、見いや。
村上くん嫉妬の炎に抱かれて、今にも燃え上がりそうや。
これやから鈍感男は‥
「俺達はお前に巻き込まれたんだッ。理由もなく、何の意味もなくッ!お前の側にいたばっかりにっ」
「それ、は‥」
「もう、やめてってば‥ふっ、ゔ‥」
あーあ。修羅場やな。
倉本さんを泣かせた責任は重いぞ村上~。
そして、慰めるチャンスやぞ村上~。
ガツンといったれ!!‥って‥もうこうしんみりするの苦手やねん‥
はあ‥はよ、帰ってゲームしたい。あ、そや‥帰られへんのやったな‥
そうか、そうや。
帰られへんのやな俺。
なんか、現実味がなくて、
どうも未だに信じられへん。
あいつ‥今頃、俺の事怒ってるやろうな‥
誕生日すっぽかすだけで、キレて殴ってくる生意気な弟。
どんだけお兄ちゃんの事好きやねんって言ってやったら、
きしょい死ねって言われてボコボコにされた‥。
あいつはまじで可愛くない‥
でも‥
「琴美も泣いてないで‥選べ、俺と行くか、そいつと行くのか。」
「っ!?そん、な‥私は、皆んなと一緒にっ」
「っ、そう‥なら、さよならだな‥」
「っ、秋‥、しゅうっ!!!」
もう、会われへんのは‥
寂しいな‥
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