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序章
絶望する田中
しおりを挟む「仲良くねえ‥」
ボソリと村上が呟いて、また暗くなる空気にため息をつく。
「おう!皆んな仲良くだ!」
こいつ、
異性の好意すら気づかん鈍感なとこが、欠点やな‥
「はあ‥皆んな仲良くって‥よくこの雰囲気で言えるわよね‥そんなんだから秋には彼女できないんだよ!!モテるくせに鈍感!!」
トンッと木下のおでこをデコピンする倉本さん。
おいおい、いきなりどうした。
「なっ!俺のどこが鈍感なんだよ!」
「滲み出てるの‥顔に鈍感って書いてあるし‥」
「どう言う事だよ!?」
「ぷはは、本気にしたの?」
「おい、お前ら!そんな呑気に笑いあってる場合じゃ!?」
「はあ、村上こそいい加減離して‥」
「ッ、くそ」
パッと離された腕。
息のしやすい開放感に、俺は一安心する。
「ふう‥なあ、俺達はいつ家に戻れんの?」
ずっと抱いてた疑問。
誰も教えてくれへんから、後回しにしたけど、そろそろ教えてほしい。
「、それは‥」
急に暗くなる2人の顔。
さっきまで笑ってた2人が、口を閉じた。
またや‥なんで‥
「‥俺たちは、もう元の世界には帰れないーーー」
ギロリと睨まれて、俺は眉を寄せる。
お前には聞いてないし‥
「またまた~、冗談上手いな!村上くん面白いわ!」
ツッコミのつもりで、
肩に触れようとした時や、
「触んな!!」
パチンッと、大きな音が響く。
「っ!?」
「冗談なんかじゃないッ!窓から景色をよく見てみろよ馬鹿!ここは異世界だ!科学ではなく魔法が発展している‥エルフに魔人‥人間以外の知能を持つ生物に、凶暴な魔獣だって存在するーー
俺達は夕‥木下の勇者召喚に巻き込まれた、ただのイレギュラー。召喚に用いる魔法陣は一方通行。こちらへ呼べても、向こうへと送ることができないっ」
叩かれたことに、何も言えなくなるほど
怒りと悲しみが混じったそんな表情やった。
歯をくいしばるその姿は、絶望。
俺は言われた通りに窓の外を見る。
大きな鳥のような、いや、あれば
物語でよく見るドラゴンーーー
ありえへん
そんな
「う、嘘、やろ‥嘘やんな木下‥村上くんそういう冗談はあかんて‥」
思わず、足がすくみ、すぐ隣にいた木下につめ寄った。
頼む、冗談やと笑って‥
「本当、なんだ‥さっき倒れた人がこの国の王様らしくて、田中がまだ目覚めていなかった時に、説明されて‥その、たぶん石像の裏に倒れていたから、気づかれなかったんだと思う‥。」
「う、嘘や。そんなん‥だって‥それなら俺らはこれからどうすればいいん?」
「それは‥」
「衣食住や必要になりそうな金はこの国が保証してくれる。」
冷静なその態度に困惑する。
村上は怒ったり、涼しい顔したり、
何考えてるか分からんから、正直信用できひん。
でも1つだけ分かるのは
「そ、そうなん‥で、でも、もう二度と‥」
「‥うん。家族や友達‥皆んなに‥会えないんだって‥」
今にも泣きそうな倉本さんの顔。
それを見て、村上が拳を握りしめる。
「琴美‥」
だから、あの時、
俺が目を覚ました時に、
倉本さんの為にあんなに怒って揉めてたんか。
村上は、
倉本さんの事好きやねんな。
恋愛的な意味で
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