人を洗脳してはいけません!

からぶり

文字の大きさ
20 / 31

緑と遭難と行動開始

しおりを挟む
 画面に表示された残酷なまでに簡明なその二文字は、つまり俺とココア・ブラウンを助けに来たのは、助けなんかではなくただの足手まといであることを証明するものだった。

「「はぁ…………」」

 なまじジャングルから脱出できると思っていたために落胆は大きい。

「なぜ二人してそんな目で私を見る! 電波が届かないのは私のせいではないだろう!」
「いいんだ、お前に期待した俺がバカだった」
「ひどくないかっ!?」

 これで振出しに戻ってしまった。それも遭難者が増えるおまけ付きで。

「結局シンプル・グリーンは役に立たなかったの」
「二人ともひどいぞ! 私は二人を心配してやってきたというのに!」
「そもそもお前たちが川に飛び込まずに助けを呼んでいれば、今頃助かってたかもしれないんだよ!」
「い、いいやまだだ! もしかしたらここが特別電波が悪いだけで、少し行けば電波が届く場所に出られるかもしれない!」
「おい待て!」
「そうか、ここが特別妖精の少ない場所で声が聞こえないかもしれないのか。私もマジカルパワーの溢れる場所を探しに行ってくる」
「そんな場所は絶対にないぞ鈴ちゃん! 二人とも待て!」

 制止の声もむなしく、二人はジャングルの奥へと走って行ってしまった。

 こんなにも木が生い茂ってる場所でそんな行動なんてしたら戻って来れないぞ!
 しかしすでに姿は見えなくなっている。呼び戻そうにも、俺まであの二人の後を追いかけたらミイラ取りがミイラになってしまう。

 そう思い、追いかけることを諦め──俺の手の中のある物に気づく。ああ、これはもう本当にあの二人には何も期待できないな。

「まあ、あやつらも流石に迷子になることはないのではないか? それに、シンプル・グリーンの方は、もしかしたら本当に電波の通じる場所があるかもしれん」
「いや、もし仮にそんな場所があったとしても、あいつらは助けを呼ぶことは出来ない」
「む、そうなのか?」
「ああ」

 そう、通普は助けを呼べない。なぜなら――

「あいつ、俺に携帯を渡したままなんだよ」
「……もう、あの二人のことはあきらめるとするかの」


 〇


 通普と鈴ちゃんがいなくなってから一時間が経とうとしていた。これだけ待っても戻ってこないということは、予想通り二人はジャングルで迷ってしまったらしい。

「さて、いい加減どうするか決めないとな」
「そうだの。陽も落ちて暗くなってきたし、動くなら早くせんとな」

 時間的には六時頃だろうか。冬に比べて、最近は太陽の出ている時間も長くなってきたとはいえ、流石にそろそろ完全に夜になってしまう。ジャングルから脱出するならその前に行動しなければならないし、野宿するにしても安全の確保、すなわち火の確保をしなければならない。

 ちらりとココア・ブラウンを見る。ココア・ブラウンは通普たちがいなくなった後、仮面を外していた。どうやら暑苦しい仮面はあまり好きではないようだ。

そんな彼女は現在、自分たちがどう動くべきかを考えている様子だった。

「どうするココア・ブラウン。脱出か、野宿か」
「そうだの……」

 脱出するにしろ野宿するにしろ、どちらも危険が伴うのは間違いない。日本とは言え、このジャングルに猛獣がいないとは言い切れない……というか、普通にいそうで怖い。
 とにかく、早く決めなければならない。完全に陽が落ちて何も見えなくなってからでは遅いのだ。

 考え込むココア・ブラウン。俺としては脱出を選択したいところだが……

「よし、脱出にかけてみるとするかの」

 どうやら同じ考えだったようだ。

「そうだな、俺も賛成だ」
「なんだ緑、おぬしもか」

 にやりと笑うココア・ブラウン。
 すべきことは決まった。ならばあとは行動するだけだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~

菱沼あゆ
キャラ文芸
 突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。  洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。  天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。  洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。  中華後宮ラブコメディ。

里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります> 政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・? ※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

君への気持ちが冷めたと夫から言われたので家出をしたら、知らぬ間に懸賞金が掛けられていました

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【え? これってまさか私のこと?】 ソフィア・ヴァイロンは貧しい子爵家の令嬢だった。町の小さな雑貨店で働き、常連の男性客に密かに恋心を抱いていたある日のこと。父親から借金返済の為に結婚話を持ち掛けられる。断ることが出来ず、諦めて見合いをしようとした矢先、別の相手から結婚を申し込まれた。その相手こそ彼女が密かに思いを寄せていた青年だった。そこでソフィアは喜んで受け入れたのだが、望んでいたような結婚生活では無かった。そんなある日、「君への気持ちが冷めたと」と夫から告げられる。ショックを受けたソフィアは家出をして行方をくらませたのだが、夫から懸賞金を掛けられていたことを知る―― ※他サイトでも投稿中

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

処理中です...