ヒロインに転生したけど地味に生きたい

さといち

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今日は学園入学式の日だ。

ゲームの世界観だということは判っていたが、改めて見ると壮観だ。何がって?学園の建物の外観の事だ。

お城と言っても不思議ではないくらい豪華で、これが本当に学園なのかと途方に暮れる。


豪華な建物に不釣り合いな位地味な姿を装っている私は逆に目立ってしまっているかもしれない…


私の姿は制服こそ身にまとっているものの、腰まである紫色のストレートな髪は後ろでひとまとめに縛り、

伊達眼鏡をかけている。所謂地味系真面目女子といったところか。

この世界にも眼鏡があってよかった…


そもそもなぜ眼鏡までかけるのかっていうと、ヒロインチートな顔面偏差値で煩わしい思いをしたくないからである。

私は普通に静かに学園生活を送りたいのだ。


後は、もし悪役令嬢役の令嬢も転生者だった場合、私がヒロインだと気づかれないためでもある。

彼女が良い子ならいいが、そうでない場合、絶対面倒になりそうな予感しかない。

よくある悪役令嬢もののライトノベルでヒロインが逆ざまあされる…とか。

そんなのはごめんだ。


そんな貴族令嬢らしからぬ私の姿を見たお兄様は、一瞬驚いた顔をしたが、すぐにいつもの優しい表情になり

そのまま送り出してくれた。


意外だった。絶対何か言われると思っていたのに。

などと今朝の出来事を振り返っている間に入学式は進んでいく。

ふと檀上を見ると攻略対象であろうこの国の第一王子、王太子のエリアス・クレーズ殿下がちょうど挨拶を終えたところだった。


……?何だろう、あの殿下の顔を見ていると、何かデジャヴ?な感覚が…

いや、前世でゲーム画面でも見てたのだからそうなってもおかしくはないのだが…



「ねえねえ、ほんと殿下って素敵よね~あなたもそう思わない?」

「ええ、そうですね。王太子殿下は素晴らしい方だと思います。」


ゲームの設定を抜きにしても、殿下の評価はとても良く聞いている。

頭脳、魔法、剣技、容姿、そして性格も優しく全てにおいて優れ、未来のこの国は殿下のおかげで安泰だと。


突然隣に座っていた同じ新入生の令嬢から話しかけられた私は無難な返事を返す。


全てを手に入れた人って本当にいるんだなあ…物語かよって、そういや物語でもあるな。

でもそんな王子も婚約者を蔑ろにして裏切るんだから、結局は完璧な人なんていないということなんだろう。



うん、やはりなるべく関わらない方向でいこう。それが普通に学園生活を送るための必須事項だ。





なんて考えていたこの時の私はバカだった…自分がヒロインとして転生したのだということを、

頭から綺麗さっぱり抜け落ちていたのだろう。そうでなければいいなどという願望があったせいかもしれない。


殿下や他の攻略対象と関わらずに済むなんてこと、できるはずがないのに…









その後、クラス発表の紙に並んで書かれた名前をみた私はがっくりと項垂れたのだった…

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