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9、英雄大魔法を実行する
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『ピーピーピーッ』とどこかで音が聞こえてくる。
その音は睡眠ボックスの時間がきたと言う音で、強制睡眠が終わって自動的に蓋が開くと、これまた強制的に覚醒させられる。
少しの眩しさを感じてゆっくりと目を開けると、ルルとララが自分を見下ろしていた。
『おはようございます。ご主人様。』
挨拶が終わると二人はそれぞれヘンリーが起きるのを手伝ってくれる。
「おはよう。二人とも」
大きく背伸びをして、肩を押さえながら首を動かしてみて体の状態を確認する。
「ま、寝ないよりはマシだったかな?」
ボックスからでてその場所を後にする。
「……さて、と、次は魔法の実行だな」
そう呟きながら、魔法を使うために屋敷の地下へと向かう。
奥にある魔法訓練する部屋に行くと、早速準備に入る。
部屋の保護魔法や結界が機能しているか確認してから、手をかざし、さっき考えた魔方陣を発動させる。
「……うん。やっぱり綺麗だな」
自分の作った魔方陣の美しさに見とれつつ、完成した魔方陣に魔力を込めた。
いざ、床に魔方陣が展開されると、頭の中で構築していた時には気付かなかった小さなミスを発見。
「………ん? あそこの図式間違ってるな……」
その小さなミスに気付いたヘンリーは修正すべく、魔方陣の中に入っていく。
その小さなミスは中心近くの場所で、
「………え~~っと、この部分の正しい図式は……」
そう魔方陣の中で正しい図式に修正しようと、一瞬考え込んだヘンリー。
ーー次の瞬間、魔方陣が強く光だす。
「!?」
その輝きを見て、
「しまった! すでに魔法が発動してしまったのか!!」
自分のミスにようやく気がついた。
魔方陣を修正するなら、外からするべきだったのに、中に入ってしまっていたのだ。
ーーそう、睡眠ボックスで取れたのは、あくまでその時の眠さだけ……脳の疲れは完全には取れていなかったためにいつもならやらかさないミスをしてしまったのだ。
ーーそう、魔力を込めた魔方陣の中に入るなどと言うミスなんて……。
「……ええい、くそったれが~~!」
慌てて打ち消すための魔方陣を展開する。
「……間に合うか……」
ヘンリーの心配をよそに、ふたつの魔方陣の魔法が発動されてしまい、その相乗効果でどんな結果を招くのか、確認する間もなく、ヘンリーは大魔法に巻き込まれるのだった。
ーー強い光が部屋から溢れだし、屋敷の外にまでも漏れてしまっていた。
その結果、
「……何だ!? あの光は?」
と、ヘンリーの屋敷を目指していた《ある人物》に目撃されることとなったのだった。
ーーこうして、物語の冒頭の出来事へと繋がったのだった。
気が付いたヘンリーはぼうっとしていた頭を何とか働かせながら、自分の状態を確認する。
それでも、しばらくの間は《自分の身に起きている状況》に気付かないまま、体の感覚を取り戻そうとしていた。
そして、気が付いた《自分の体の違和感》。
そう、自分の手が小さくなっていることにようやく気がついたヘンリー。
「(……な? な、な、な……な、何だ? こ、これは本当に俺の手なのか!?)」
一瞬声もでないほどに驚いてしまったヘンリーは、目の前にある自分の手がまるで自分の手でないような感覚に一瞬なってしまい、さらに混乱してしまう。
ーーどう見ても子供の手にしか見えない自分の手に動揺してから、ようやくそれに気が付く。
自分の手が小さいと言うこと、手だけそうなったなんてもっとあり得ないのだと思って、小さい手で自分の体を触って確認する。
明らかに締まりのないぷよぷよむちむちした体になってしまっていた自分の体。
近くなった床、逆にかなり遠くなってしまった天井に背が縮んでしまったことがわかる。それを確認するためにも部屋の角に布を掛けて立て掛けていた鏡の布を引っ張った。
子供の力だから布を取り去ることが出来ずに、下の方が見える程度に布がずれただけ。
ーー鏡に映っているのは間違いなく子供で、どう見ても幼児!!
「にゃんにゃのだ!こりぇわ!?(何なのだ!これは!?)」
思わず叫ぶ。しかし、それは言葉にすらなっていなかったことでさらにショックを受けてしまう。
「にゃんにゃんだ~~きょとびゃがへんにゃ!(何なんだ~~言葉が変だ!)」
言葉になっていない、叫び。
青くなって叫ぶ姿も愛らしいのが今の自分の姿。
とうとう頭を抱えて膝をついて床に手をついて落ち込む。
「こりぇわいっにゃいにょうゆうにょうきょうにゃ。(これはいったいどういう状況だ)」
「(考えるんだ。落ち込んでばかりいられないぞ)」
鏡に映る幼児自分に戸惑いながらも何とか思考を巡らす。でも、お陰で頭の中で考えるのはこれまで通りに考えていることに気が付く。
「(なるほど。幼児になったのは姿形だけなんだな)」
何とか冷静に考えることができ始める。
ーー改めて、使った魔方陣を調べてみる。
「ふみゅ。」
「(なるほどね。やっぱりあそこの図式が間違っていたんだな。)」
ーーはぁっ。まったくそんなことにも気付かなかったなんて……。やっぱり短時間では完全に疲れは取れるわけなかったな……(苦笑)。
また、些細なミスがとんでもないミスをおかしてしまったのだった。
「(……さて、どうするべきか……)」
ーー少し考え込んだ。
まずは、さっきの魔方陣を修正するべきか。
それとも、今の姿を戻す魔法を考えるべきか……。
「……どょーしゅりゅかにゃ?(どうするかな?)」
思わず口から漏れた自分の言葉の言葉にならない幼児言葉もちょっと恥ずかしくもあった。
ーーしばらく、その場で胡座を組んだ(組んだつもりの立てた足)姿勢で、考えていた……つもりだった。
いつの間にか眠ってしまっていた。
慌てて目をパチパチさせて起きて考えようとするものの、また眠ってしまう。
「……くっ。こりぇがようにたぁいしぇいきゃ(これが幼児体勢か)」
すぐ眠くなってしまう幼児の体力のなさに情けなくて呆れてしまうーーのだったが、ふと思ってしまう。
「こりぇってぇちゃんちゅにゃにゃいきゃ?……ちょ(これってチャンスじゃないか?……と)」
そう、思ってしまったのだった。
その音は睡眠ボックスの時間がきたと言う音で、強制睡眠が終わって自動的に蓋が開くと、これまた強制的に覚醒させられる。
少しの眩しさを感じてゆっくりと目を開けると、ルルとララが自分を見下ろしていた。
『おはようございます。ご主人様。』
挨拶が終わると二人はそれぞれヘンリーが起きるのを手伝ってくれる。
「おはよう。二人とも」
大きく背伸びをして、肩を押さえながら首を動かしてみて体の状態を確認する。
「ま、寝ないよりはマシだったかな?」
ボックスからでてその場所を後にする。
「……さて、と、次は魔法の実行だな」
そう呟きながら、魔法を使うために屋敷の地下へと向かう。
奥にある魔法訓練する部屋に行くと、早速準備に入る。
部屋の保護魔法や結界が機能しているか確認してから、手をかざし、さっき考えた魔方陣を発動させる。
「……うん。やっぱり綺麗だな」
自分の作った魔方陣の美しさに見とれつつ、完成した魔方陣に魔力を込めた。
いざ、床に魔方陣が展開されると、頭の中で構築していた時には気付かなかった小さなミスを発見。
「………ん? あそこの図式間違ってるな……」
その小さなミスに気付いたヘンリーは修正すべく、魔方陣の中に入っていく。
その小さなミスは中心近くの場所で、
「………え~~っと、この部分の正しい図式は……」
そう魔方陣の中で正しい図式に修正しようと、一瞬考え込んだヘンリー。
ーー次の瞬間、魔方陣が強く光だす。
「!?」
その輝きを見て、
「しまった! すでに魔法が発動してしまったのか!!」
自分のミスにようやく気がついた。
魔方陣を修正するなら、外からするべきだったのに、中に入ってしまっていたのだ。
ーーそう、睡眠ボックスで取れたのは、あくまでその時の眠さだけ……脳の疲れは完全には取れていなかったためにいつもならやらかさないミスをしてしまったのだ。
ーーそう、魔力を込めた魔方陣の中に入るなどと言うミスなんて……。
「……ええい、くそったれが~~!」
慌てて打ち消すための魔方陣を展開する。
「……間に合うか……」
ヘンリーの心配をよそに、ふたつの魔方陣の魔法が発動されてしまい、その相乗効果でどんな結果を招くのか、確認する間もなく、ヘンリーは大魔法に巻き込まれるのだった。
ーー強い光が部屋から溢れだし、屋敷の外にまでも漏れてしまっていた。
その結果、
「……何だ!? あの光は?」
と、ヘンリーの屋敷を目指していた《ある人物》に目撃されることとなったのだった。
ーーこうして、物語の冒頭の出来事へと繋がったのだった。
気が付いたヘンリーはぼうっとしていた頭を何とか働かせながら、自分の状態を確認する。
それでも、しばらくの間は《自分の身に起きている状況》に気付かないまま、体の感覚を取り戻そうとしていた。
そして、気が付いた《自分の体の違和感》。
そう、自分の手が小さくなっていることにようやく気がついたヘンリー。
「(……な? な、な、な……な、何だ? こ、これは本当に俺の手なのか!?)」
一瞬声もでないほどに驚いてしまったヘンリーは、目の前にある自分の手がまるで自分の手でないような感覚に一瞬なってしまい、さらに混乱してしまう。
ーーどう見ても子供の手にしか見えない自分の手に動揺してから、ようやくそれに気が付く。
自分の手が小さいと言うこと、手だけそうなったなんてもっとあり得ないのだと思って、小さい手で自分の体を触って確認する。
明らかに締まりのないぷよぷよむちむちした体になってしまっていた自分の体。
近くなった床、逆にかなり遠くなってしまった天井に背が縮んでしまったことがわかる。それを確認するためにも部屋の角に布を掛けて立て掛けていた鏡の布を引っ張った。
子供の力だから布を取り去ることが出来ずに、下の方が見える程度に布がずれただけ。
ーー鏡に映っているのは間違いなく子供で、どう見ても幼児!!
「にゃんにゃのだ!こりぇわ!?(何なのだ!これは!?)」
思わず叫ぶ。しかし、それは言葉にすらなっていなかったことでさらにショックを受けてしまう。
「にゃんにゃんだ~~きょとびゃがへんにゃ!(何なんだ~~言葉が変だ!)」
言葉になっていない、叫び。
青くなって叫ぶ姿も愛らしいのが今の自分の姿。
とうとう頭を抱えて膝をついて床に手をついて落ち込む。
「こりぇわいっにゃいにょうゆうにょうきょうにゃ。(これはいったいどういう状況だ)」
「(考えるんだ。落ち込んでばかりいられないぞ)」
鏡に映る幼児自分に戸惑いながらも何とか思考を巡らす。でも、お陰で頭の中で考えるのはこれまで通りに考えていることに気が付く。
「(なるほど。幼児になったのは姿形だけなんだな)」
何とか冷静に考えることができ始める。
ーー改めて、使った魔方陣を調べてみる。
「ふみゅ。」
「(なるほどね。やっぱりあそこの図式が間違っていたんだな。)」
ーーはぁっ。まったくそんなことにも気付かなかったなんて……。やっぱり短時間では完全に疲れは取れるわけなかったな……(苦笑)。
また、些細なミスがとんでもないミスをおかしてしまったのだった。
「(……さて、どうするべきか……)」
ーー少し考え込んだ。
まずは、さっきの魔方陣を修正するべきか。
それとも、今の姿を戻す魔法を考えるべきか……。
「……どょーしゅりゅかにゃ?(どうするかな?)」
思わず口から漏れた自分の言葉の言葉にならない幼児言葉もちょっと恥ずかしくもあった。
ーーしばらく、その場で胡座を組んだ(組んだつもりの立てた足)姿勢で、考えていた……つもりだった。
いつの間にか眠ってしまっていた。
慌てて目をパチパチさせて起きて考えようとするものの、また眠ってしまう。
「……くっ。こりぇがようにたぁいしぇいきゃ(これが幼児体勢か)」
すぐ眠くなってしまう幼児の体力のなさに情けなくて呆れてしまうーーのだったが、ふと思ってしまう。
「こりぇってぇちゃんちゅにゃにゃいきゃ?……ちょ(これってチャンスじゃないか?……と)」
そう、思ってしまったのだった。
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